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194:魔王化イリス
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「お主、ハーフじゃな?」
イリスの顔色は変わったが、アンティエルはそれに構わず話を続けた。
「その赤い瞳、基本的に人族の『魔女』か『魔人』の人種だけじゃからな。あとは人間では珍しいがここフェリス王国の王族だけが赤い瞳を持つからの。」
「え?そうなんですか?」
セレスティアは初めて聞く事実に驚き、フェルディナントは頷いていた。
「うむ、そうじゃ。妾の番であるルディも瞳は赤いじゃろ?あれはここの王族の証しなのじゃ。」
アンティエルがそう言ったことで、セレスティアやエメリーネなどの番たちが一斉にフェルディナントを見つめたので、フェルディナントは少し照れていた。
「正確には、フェリス王国の王族の特徴は金髪で赤目になるんだけどね。もちろん全員必ずそうなる訳ではないけれど。」
と、フェルディナントは補足を入れた。
「それに『魔女』と『魔人』は必ず黒髪なのでな。こ奴の髪色は水色じゃからな、だからハーフだと言ったのじゃ。」
しかしそれに意を唱えたのはエメリーネだった。
「あの・・・でもそれっておかしくありませんか?」
「エメリーネさんどういうこと?」
少しおずおずとしながらもはっきりと疑問点を述べた。
「たしか『魔女』と『魔人』はハーフっていう概念はないんです。『魔女』や『魔人』は他の種族と交尾をして子を成しますが、ハーフは生まれません。『魔女』の子は必ず女で生まれるのは『魔女』。『魔人』の子は必ず男で『魔人』になります。なので黒髪と赤目の色彩と決まっているんですよ。」
『魔女』と『魔人』は人族の中でも希少な人種で、その生態ははっきりとはわかっていない。ただ二つの人種は、同じ色彩ではあるものの、その社会は全く相入れない別物だということは周知されているのである。そして希少種である、この二つの人種は持っている魔力がずば抜けていることも周知されているのだ。
「・・・本来はそうであるな。じゃが・・・恐らくこやつは間違いなく・・・」
アンティエルが続きを話し出すとそれを遮るように、イリスは話し出した。
「さすが、竜の長ってところか!だがそれを知ったところでどうだって言うんだ?!俺が本来持つ力とこの龍脈の結晶が合わせれば、俺は魔王になれる!!」
イリスは先程横取りした手に持っていた『龍炎浄化』でヒルダから抽出し結晶となった力の玉を、躊躇なく飲み込んだ。イリスは飲んだ瞬間は余裕の顔をしていたが、次第に苦しみ始めた。
「ぐぅっ、うぐっ!・・・」
「い、イリス様?!」
その様子の傍にいたディアナは狼狽えていた。
だが、その苦しみも直ぐに収まり、その変化はすぐに現れた。イリスの身体からヒルダの時と同じように、黒いオーラがイリスの身体から滲んだかと思うと、ソレは纏うように広がっていった。そしてイリスの両目はこれもまたヒルダと同じように、反転したかのように白目が赤に瞳が黒色になり、イリスの頭には巻いた大きな角が生えてきた。髪も根元から黒く染まっていき、元の水色髪とのグラデーションのような色合いになった。そして背中には、大きな蝙蝠のような羽も生え、その姿は伝承で伝えられている魔王を象った姿にイリスは変貌していった。
「ははははははは!!これで、これで俺が魔王になる!!!」
イリスは己の中に、今までに感じたことがないほどの力が充満していることを実感していた。かつてないほど気分が高揚していたのだ。
「イリス様・・・」
ディアナは不安そうな顔で、変わってしまったイリスを見ていた。
※次回更新は4/11になります。
イリスの顔色は変わったが、アンティエルはそれに構わず話を続けた。
「その赤い瞳、基本的に人族の『魔女』か『魔人』の人種だけじゃからな。あとは人間では珍しいがここフェリス王国の王族だけが赤い瞳を持つからの。」
「え?そうなんですか?」
セレスティアは初めて聞く事実に驚き、フェルディナントは頷いていた。
「うむ、そうじゃ。妾の番であるルディも瞳は赤いじゃろ?あれはここの王族の証しなのじゃ。」
アンティエルがそう言ったことで、セレスティアやエメリーネなどの番たちが一斉にフェルディナントを見つめたので、フェルディナントは少し照れていた。
「正確には、フェリス王国の王族の特徴は金髪で赤目になるんだけどね。もちろん全員必ずそうなる訳ではないけれど。」
と、フェルディナントは補足を入れた。
「それに『魔女』と『魔人』は必ず黒髪なのでな。こ奴の髪色は水色じゃからな、だからハーフだと言ったのじゃ。」
しかしそれに意を唱えたのはエメリーネだった。
「あの・・・でもそれっておかしくありませんか?」
「エメリーネさんどういうこと?」
少しおずおずとしながらもはっきりと疑問点を述べた。
「たしか『魔女』と『魔人』はハーフっていう概念はないんです。『魔女』や『魔人』は他の種族と交尾をして子を成しますが、ハーフは生まれません。『魔女』の子は必ず女で生まれるのは『魔女』。『魔人』の子は必ず男で『魔人』になります。なので黒髪と赤目の色彩と決まっているんですよ。」
『魔女』と『魔人』は人族の中でも希少な人種で、その生態ははっきりとはわかっていない。ただ二つの人種は、同じ色彩ではあるものの、その社会は全く相入れない別物だということは周知されているのである。そして希少種である、この二つの人種は持っている魔力がずば抜けていることも周知されているのだ。
「・・・本来はそうであるな。じゃが・・・恐らくこやつは間違いなく・・・」
アンティエルが続きを話し出すとそれを遮るように、イリスは話し出した。
「さすが、竜の長ってところか!だがそれを知ったところでどうだって言うんだ?!俺が本来持つ力とこの龍脈の結晶が合わせれば、俺は魔王になれる!!」
イリスは先程横取りした手に持っていた『龍炎浄化』でヒルダから抽出し結晶となった力の玉を、躊躇なく飲み込んだ。イリスは飲んだ瞬間は余裕の顔をしていたが、次第に苦しみ始めた。
「ぐぅっ、うぐっ!・・・」
「い、イリス様?!」
その様子の傍にいたディアナは狼狽えていた。
だが、その苦しみも直ぐに収まり、その変化はすぐに現れた。イリスの身体からヒルダの時と同じように、黒いオーラがイリスの身体から滲んだかと思うと、ソレは纏うように広がっていった。そしてイリスの両目はこれもまたヒルダと同じように、反転したかのように白目が赤に瞳が黒色になり、イリスの頭には巻いた大きな角が生えてきた。髪も根元から黒く染まっていき、元の水色髪とのグラデーションのような色合いになった。そして背中には、大きな蝙蝠のような羽も生え、その姿は伝承で伝えられている魔王を象った姿にイリスは変貌していった。
「ははははははは!!これで、これで俺が魔王になる!!!」
イリスは己の中に、今までに感じたことがないほどの力が充満していることを実感していた。かつてないほど気分が高揚していたのだ。
「イリス様・・・」
ディアナは不安そうな顔で、変わってしまったイリスを見ていた。
※次回更新は4/11になります。
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