【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

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168:第三の封印解除~前編~

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 「イール!じゃない、イシュタルさん大丈夫?!」

 「あ、貴方まで?!」 

 イシュタルの元に、カイエルだけでなくセレスティアまで現れたことに驚いていた。だが、イシュタルはヴェリエルから受けた攻撃の傷も完全には癒えてないところへ、イリスの天雷弓の弓矢の攻撃も受けたことから、立ったものの痺れが残っていたのでよろめいていた。

 「ご、ごめんなさい。まだ少し痺れていて。・・・」
  
ふらついたイシュタルをすかさず、セレスティアが肩を貸した。

 「すみません、本当ならこの場で休ませてあげたいけど、このままここにいると、カイエルの邪魔になっちゃうから、移動しますね。」

 セレスティアはイシュタルに肩を貸したまま、その場から急いで離れた。先程の場所から離れた岩陰で、セレスティアはカイエルとイリスの様子を伺っていた。そんな様子を見ていたイシュタルはあることに気が付いた。

 「セレスティア・・・貴方もしかして・・・」

 「え?なんですか?」

 「・・・そう・・・解除できたのね。」

 イシュタルは安堵した顔をセレスティアに向けていた。

 「えーと、その、えーと!!」

 セレスティアは、言われるだろうとは思ってはいたが、心の準備ができていなかったので、しどろもどろに顔を真っ赤にしていた。

 「カイエルの第三封印を解いてくれて、本当にありがとう」

 イシュタルは本当に嬉しそうにそういった。

 「えっと、その・・・はい。」

 セレスティアは真っ赤になったまま頷いていた。

 
 




 時を遡ること_____
 
 ルッツと別れてから、引き続きカイエルはメルシャ村で結界の補強を行っている時に、気が付いたのだ。

 「・・・あれ?」
 
 「どうかしたの?カイエル?」

 「あーそうか、ここ龍脈が流れが大きいんだな。」

 「龍脈?」

 「あぁ、まぁわかり易く言うと、大地の気のエネルギーってやつで、わりかし大きい物のことを言うんだよ。まぁフェリス王国には今期は割と流れてるけどな。」

 「あぁ、そういえば思い出したわ。自然に発生する気のエネルギーなのよね?だけど 今期ってどいうこと?その龍脈とやらが、フェリス王国と関係があるの?」

 セレスティアは騎士学校時代に授業の中で龍脈という言葉には聞き覚えがあった。気のエネルギーなので、どういったサイクルかまだ解明されていないが、同じところにずっと留まるわけではないことはセレスティアも知っていた。
  
 「あぁ龍脈はな、実は俺達の番と密な関係でな、番が現れる土地に集約しやすいんだよ。」

 「ええ?!そうだったの?!」

 まさか龍脈が番に関係しているとはセレスティアは思ってもいなかったので驚いたが、同時に、そういった事情ならば、解明されていないことに納得することもできた。

 「もしかしたら、龍穴があるかもしれねぇ。辿ってみるか。」

 そういってカイエルは龍脈を辿りはじめた。




 「あった!ここだ」

 「これが龍穴?パッと見は全然わからないのね」

 実際、龍穴は気のエネルギーであるため、表面上わからないのだ。ただ草むらがあるようにしか見えなかった。

 「あぁ、でも竜である俺達には龍穴は癒しスポットになるからな。」

 「癒しスポット?」

 「龍穴は龍脈の特に大きいエネルギーの塊だからな。このエネルギーは分かり易く言うと、俺達の治療に使えるんだよ。まぁ『竜の祖』である俺達は固い鱗だし、滅多と傷を負うようなことも疲弊することもあまりないから使うことはほとんどないけどな。」  

 「そうなのね。」

 セレスティアは、感心していた。

 「・・・なんだけど、なんかおかしいな?」
 「え、何が?」
 
 「エネルギーが不自然に流れている・・・」

 カイエルはさらに気配をこらして探っていた。

 「これか?!!」

 カイエルが見つけた龍穴からさほど離れていないところに、紫水晶が地中に埋まっていたのだ。

 「こいつが龍脈のエネルギーを吸収している・・・」

 「ねぇ、これって・・・」

 セレスティアも、これが自然にではなく、人為的にエネルギーを集めるためにしたことは瞬時にわかった。

 「あぁ、大方イリスらの企みだろう。」

 カイエルは紫水晶を抜こうと手を伸ばしたが、

 「ちょっと待っ・・!!」

 セレスティアは、無防備に紫水晶があることに疑問があった為、カイエルを止めようとしたが、間に合わず、

 「ぐぅぁああ!!」

 「カイエル?!」

 カイエルは紫水晶の周りに張ってあった結界に触れて弾き飛ばされてしまった。

 「くっ・・・そ!!」

 『竜の祖』であるイシュタルとは違い、カイエルはまだ封印が解けきっていない飛竜であったため、イシュタルの時よりも、かなりダメージを負ってしまったのだ。
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