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157:メルシャ村の結界
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「ふ・・む。」
ユージィンは、ホルスト伯爵に宛がわれた客室にて、フェリス王国の地図を見ていた。
(なんだろう?何かが引っ掛かるんだが・・・)ユージィンは地図を見ながら、まだはっきりとはわかっていないが、モヤモヤするものを感じていた。魔物の襲撃ヶ所は全部で六ヶ所・・・なぜ六ヶ所なのか?それに何故この場所だったのか・・・ユージィンはジッと地図を見つめていた。そこへ部屋をノックする音が聞こえた。
コンコン
「どうした?」
「はっ!騎士団が到着しまして、あちらの隊長がご挨拶がしたいとのことです。」
「わかった、伺おう。」
そう言って、立ち上がったユージィンは地図をしまい、思考を中断させた。
「で、どうするの?」
セレスティアとカイエルはメルシャ村の敷地内の端にまで移動していた。
「取り敢えず、この村の加護の強化をしようと思ってな。とはいえ、今の俺にできることは制限があるけど、まぁ何もしないよりはマシだからな。雑魚い魔物ぐらいなら、そもそも村に入らないようにするぐらいは今の俺でもできるし。」
カイエルはメルシャ村の加護を強化しようと、メルシャ村の家にある鱗だけでなく、そもそも村の敷地内に魔物が入れないようにと、自身の鱗を追加して結界を構築しようとしていた。
「この岩なんか、仕えそうだな。これに俺の鱗を埋め込んで・・・と。」
カイエルは何個かの大きな岩に鱗を埋め込んで、魔力を流し込んでいた。
「ね、カイエル・・・」
「ん?どうした?」
カイエルがせっせと結界を作っている後ろでセレスティアは声をかけた。
「・・・まだカイエルの封印が完全には解けていないものね」
今のカイエルは、通常の飛竜より身体も大きく魔力も高いが飛竜の域はでていない。番を見つけたことと、記憶は取り戻したが、まだ本来の『竜の祖』としての力は取り戻していないからだ。
「あ、あぁ、あと1個残ってるな。」
「それはどうやって解呪できるものなの?まだ教えてくれないの?」
「あー、えーと・・・」
カイエルが記憶を取り戻し、最後の封印の解除方法を把握しているはずなのに、未だ解呪には至らなかった。セレスティアはさすがにおかしいと思い、何度か質問をしてきたが、いつもカイエルは何故か言い淀んでいた。
「カイエルは『器』のこと、教えてくれたけど、何となくだけど・・・カイエルもそろそろ封印を全部解かないと不味くはないの?」
「!!」
セレスティアの言葉にカイエルは振り向き、目を見開いていた。
「セレスティア・・・」
「このままカイエルが力を取り戻さないままなのは、よくない気がするの。本当に何となくなんだけど、漠然となんだけど。」
セレスティアの心はざわついていた。今ならば先程聞いたばかりの自分が『魔王の欠片』を持つ『器』のせいかもしれないと、確信に近い物をセレスティアは感じ取っていた。
※次回は2/14(月)の更新予定です!
ユージィンは、ホルスト伯爵に宛がわれた客室にて、フェリス王国の地図を見ていた。
(なんだろう?何かが引っ掛かるんだが・・・)ユージィンは地図を見ながら、まだはっきりとはわかっていないが、モヤモヤするものを感じていた。魔物の襲撃ヶ所は全部で六ヶ所・・・なぜ六ヶ所なのか?それに何故この場所だったのか・・・ユージィンはジッと地図を見つめていた。そこへ部屋をノックする音が聞こえた。
コンコン
「どうした?」
「はっ!騎士団が到着しまして、あちらの隊長がご挨拶がしたいとのことです。」
「わかった、伺おう。」
そう言って、立ち上がったユージィンは地図をしまい、思考を中断させた。
「で、どうするの?」
セレスティアとカイエルはメルシャ村の敷地内の端にまで移動していた。
「取り敢えず、この村の加護の強化をしようと思ってな。とはいえ、今の俺にできることは制限があるけど、まぁ何もしないよりはマシだからな。雑魚い魔物ぐらいなら、そもそも村に入らないようにするぐらいは今の俺でもできるし。」
カイエルはメルシャ村の加護を強化しようと、メルシャ村の家にある鱗だけでなく、そもそも村の敷地内に魔物が入れないようにと、自身の鱗を追加して結界を構築しようとしていた。
「この岩なんか、仕えそうだな。これに俺の鱗を埋め込んで・・・と。」
カイエルは何個かの大きな岩に鱗を埋め込んで、魔力を流し込んでいた。
「ね、カイエル・・・」
「ん?どうした?」
カイエルがせっせと結界を作っている後ろでセレスティアは声をかけた。
「・・・まだカイエルの封印が完全には解けていないものね」
今のカイエルは、通常の飛竜より身体も大きく魔力も高いが飛竜の域はでていない。番を見つけたことと、記憶は取り戻したが、まだ本来の『竜の祖』としての力は取り戻していないからだ。
「あ、あぁ、あと1個残ってるな。」
「それはどうやって解呪できるものなの?まだ教えてくれないの?」
「あー、えーと・・・」
カイエルが記憶を取り戻し、最後の封印の解除方法を把握しているはずなのに、未だ解呪には至らなかった。セレスティアはさすがにおかしいと思い、何度か質問をしてきたが、いつもカイエルは何故か言い淀んでいた。
「カイエルは『器』のこと、教えてくれたけど、何となくだけど・・・カイエルもそろそろ封印を全部解かないと不味くはないの?」
「!!」
セレスティアの言葉にカイエルは振り向き、目を見開いていた。
「セレスティア・・・」
「このままカイエルが力を取り戻さないままなのは、よくない気がするの。本当に何となくなんだけど、漠然となんだけど。」
セレスティアの心はざわついていた。今ならば先程聞いたばかりの自分が『魔王の欠片』を持つ『器』のせいかもしれないと、確信に近い物をセレスティアは感じ取っていた。
※次回は2/14(月)の更新予定です!
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