【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
上 下
158 / 233

157:メルシャ村の結界

しおりを挟む
 「ふ・・む。」

 ユージィンは、ホルスト伯爵に宛がわれた客室にて、フェリス王国の地図を見ていた。

 (なんだろう?何かが引っ掛かるんだが・・・)ユージィンは地図を見ながら、まだはっきりとはわかっていないが、モヤモヤするものを感じていた。魔物の襲撃ヶ所は全部で六ヶ所・・・なぜ六ヶ所なのか?それに何故この場所だったのか・・・ユージィンはジッと地図を見つめていた。そこへ部屋をノックする音が聞こえた。

 コンコン

 「どうした?」

 「はっ!騎士団が到着しまして、あちらの隊長がご挨拶がしたいとのことです。」

 「わかった、伺おう。」

 そう言って、立ち上がったユージィンは地図をしまい、思考を中断させた。






 
 

 
 「で、どうするの?」

 セレスティアとカイエルはメルシャ村の敷地内の端にまで移動していた。

 「取り敢えず、この村の加護の強化をしようと思ってな。とはいえ、今の俺にできることは制限があるけど、まぁ何もしないよりはマシだからな。雑魚い魔物ぐらいなら、そもそも村に入らないようにするぐらいは今の俺でもできるし。」

 カイエルはメルシャ村の加護を強化しようと、メルシャ村の家にある鱗だけでなく、そもそも村の敷地内に魔物が入れないようにと、自身の鱗を追加して結界を構築しようとしていた。
 
 「この岩なんか、仕えそうだな。これに俺の鱗を埋め込んで・・・と。」

 カイエルは何個かの大きな岩に鱗を埋め込んで、魔力を流し込んでいた。

 「ね、カイエル・・・」

 「ん?どうした?」

 カイエルがせっせと結界を作っている後ろでセレスティアは声をかけた。

 「・・・まだカイエルの封印が完全には解けていないものね」

 今のカイエルは、通常の飛竜より身体も大きく魔力も高いが飛竜の域はでていない。番を見つけたことと、記憶は取り戻したが、まだ本来の『竜の祖』としての力は取り戻していないからだ。

 「あ、あぁ、あと1個残ってるな。」

 「それはどうやって解呪できるものなの?まだ教えてくれないの?」

 「あー、えーと・・・」

 カイエルが記憶を取り戻し、最後の封印の解除方法を把握しているはずなのに、未だ解呪には至らなかった。セレスティアはさすがにおかしいと思い、何度か質問をしてきたが、いつもカイエルは何故か言い淀んでいた。

 「カイエルは『器』のこと、教えてくれたけど、何となくだけど・・・カイエルもそろそろ封印を全部解かないと不味くはないの?」

 「!!」

 セレスティアの言葉にカイエルは振り向き、目を見開いていた。

 「セレスティア・・・」

 「このままカイエルが力を取り戻さないままなのは、よくない気がするの。本当に何となくなんだけど、漠然となんだけど。」

 セレスティアの心はざわついていた。今ならば先程聞いたばかりの自分が『魔王の欠片』を持つ『器』のせいかもしれないと、確信に近い物をセレスティアは感じ取っていた。


 ※次回は2/14(月)の更新予定です!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

報酬を踏み倒されたので、この国に用はありません。

白水緑
ファンタジー
魔王を倒して報酬をもらって冒険者を引退しようとしたところ、支払いを踏み倒されたリラたち。 国に見切りを付けて、当てつけのように今度は魔族の味方につくことにする。 そこで出会った魔王の右腕、シルヴェストロと交友を深めて、互いの価値観を知っていくうちに、惹かれ合っていく。 そんな中、追っ手が迫り、本当に魔族の味方につくのかの判断を迫られる。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...