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153:ハインツの前世~⑰~
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ハインツはここまで見て、なぜ自分の前世が魔王になったのか、最後まで見ずともわかってしまった。イベルナはあの時に壊れてしまったのだろうと・・・。
幼少期から虐げられた彼女は決して幸せそうではなかった。唯一はジャックと結婚したわずか3年程ではあったが、その時が一番穏やかに暮らせていた時だったのだろう。なのに・・・ジャックが亡くなった直後まだ悲しみが拭いきれていない時に、それをぶち壊すようなカルロス達の来襲。
肉親でさえずっと疎まれていたイベルナに仕えてくれていたマーサの死。そして純潔は多数の男に奪われ、彼女の中で積もり積もったモノが壊れてしまったのだと、ハインツは見ていてわかったのだ。
殺人を依頼されたときは驚いたが、カルロス達については話を聞いていたラーファイルも当然許せるはずもなく、躊躇なく殺した。だがイベルナはそれで終わりではないというのだ。
「ねぇ、ラーファイル。世の中は不公平ね?どうして生まれだけで差別されなくてはいけないのかしら?」
「イベルナ・・・」
ラーファイルは悲しい顔をしていた。
「私はね、こんな世界の道理をぶち壊したいの。力でしか変えられないというのなら、私はその力が欲しい・・・だから・・・」
イベルナは、ラーファイルの前で惜しみなく自身の裸体を見せつけていた。
「な・・なぜ・・・?」
まさかいきなり目の前で、服を脱ぐとは思わなかったので、ラーファイルは赤面した。だが次の言葉で、何か意図があってのことだとわかった。
「ラーファイル、抱いて。私の言ってる意味はわかるわよね?」
「だ、だめだ。今のイベルナでは・・・」
ラーファイルは勿論番であるイベルナと繋がりたい。だが、今のイベルナでは危険だとわかっていたのである。だが、それに抗うのは・・・・
「私は力が欲しいの。ラーファイル、貴方の精が私に力をくれることは知っているわ。」
ラーファイルは驚いていた。その事はイベルナには伝えていなかったのに、どうして知っているのか、不思議でならなかった。
「ど、どこでそれを?」
「ふふっ、そんなにどうだっていいじゃない。ふーん眉唾と思っていたけど、本当のようね。」
「だ、だめだ。それに君は・・・」
「ふふ、私が凌辱されたから?」
まさにその通りだった。ラーファイルは、イベルナを抱きたいけれど、それ以上に彼女のトラウマになった行為をすることに抵抗があったのだ。
「気にしなくていいわ。私は力が手に入るならなんだってやるのよ。」
ラーファイルはイベルナの様子を見て不味いと思った。これはまさしく魔王になる兆候だとわかったからだ。
「仕方ないわね・・・」
イベルナは、ラーファイルの耳元である言葉を言った。
「!!」
それを聞いたラーファイルは項垂れてしまった。
「罪滅ぼしをしたいなら・・・言うことを聞いてくれるわよね?」
イベルナはニコニコとラーファイルに微笑んでいたが、それはどこか禍々しい物であった。しばし、ラーファイルは苦悩していたが・・・
「イベルナ!!」
そして結局ラーファイルはイベルナを抱いた。
『竜の祖』の精をもらった、イベルナの身体には、緑色の『竜紋』ができていた。
ハインツはそれを見て、自分の竜紋と全く同じであったことに驚いていた。(そうか、やっぱりイベルナ・・・君は僕の前世なんだね・・・)
「あははははは!力が漲っているわ!!これで、この力で!世の中を是正してやるのよ!」
イベルナは笑っていた。狂気含んだそれを見て、ラーファイルは憐憫の眼差しをイベルナに向けていた。
そこで、ハインツの視界は次第に真っ暗になっていった。
幼少期から虐げられた彼女は決して幸せそうではなかった。唯一はジャックと結婚したわずか3年程ではあったが、その時が一番穏やかに暮らせていた時だったのだろう。なのに・・・ジャックが亡くなった直後まだ悲しみが拭いきれていない時に、それをぶち壊すようなカルロス達の来襲。
肉親でさえずっと疎まれていたイベルナに仕えてくれていたマーサの死。そして純潔は多数の男に奪われ、彼女の中で積もり積もったモノが壊れてしまったのだと、ハインツは見ていてわかったのだ。
殺人を依頼されたときは驚いたが、カルロス達については話を聞いていたラーファイルも当然許せるはずもなく、躊躇なく殺した。だがイベルナはそれで終わりではないというのだ。
「ねぇ、ラーファイル。世の中は不公平ね?どうして生まれだけで差別されなくてはいけないのかしら?」
「イベルナ・・・」
ラーファイルは悲しい顔をしていた。
「私はね、こんな世界の道理をぶち壊したいの。力でしか変えられないというのなら、私はその力が欲しい・・・だから・・・」
イベルナは、ラーファイルの前で惜しみなく自身の裸体を見せつけていた。
「な・・なぜ・・・?」
まさかいきなり目の前で、服を脱ぐとは思わなかったので、ラーファイルは赤面した。だが次の言葉で、何か意図があってのことだとわかった。
「ラーファイル、抱いて。私の言ってる意味はわかるわよね?」
「だ、だめだ。今のイベルナでは・・・」
ラーファイルは勿論番であるイベルナと繋がりたい。だが、今のイベルナでは危険だとわかっていたのである。だが、それに抗うのは・・・・
「私は力が欲しいの。ラーファイル、貴方の精が私に力をくれることは知っているわ。」
ラーファイルは驚いていた。その事はイベルナには伝えていなかったのに、どうして知っているのか、不思議でならなかった。
「ど、どこでそれを?」
「ふふっ、そんなにどうだっていいじゃない。ふーん眉唾と思っていたけど、本当のようね。」
「だ、だめだ。それに君は・・・」
「ふふ、私が凌辱されたから?」
まさにその通りだった。ラーファイルは、イベルナを抱きたいけれど、それ以上に彼女のトラウマになった行為をすることに抵抗があったのだ。
「気にしなくていいわ。私は力が手に入るならなんだってやるのよ。」
ラーファイルはイベルナの様子を見て不味いと思った。これはまさしく魔王になる兆候だとわかったからだ。
「仕方ないわね・・・」
イベルナは、ラーファイルの耳元である言葉を言った。
「!!」
それを聞いたラーファイルは項垂れてしまった。
「罪滅ぼしをしたいなら・・・言うことを聞いてくれるわよね?」
イベルナはニコニコとラーファイルに微笑んでいたが、それはどこか禍々しい物であった。しばし、ラーファイルは苦悩していたが・・・
「イベルナ!!」
そして結局ラーファイルはイベルナを抱いた。
『竜の祖』の精をもらった、イベルナの身体には、緑色の『竜紋』ができていた。
ハインツはそれを見て、自分の竜紋と全く同じであったことに驚いていた。(そうか、やっぱりイベルナ・・・君は僕の前世なんだね・・・)
「あははははは!力が漲っているわ!!これで、この力で!世の中を是正してやるのよ!」
イベルナは笑っていた。狂気含んだそれを見て、ラーファイルは憐憫の眼差しをイベルナに向けていた。
そこで、ハインツの視界は次第に真っ暗になっていった。
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