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141:ハインツの前世~⑤~
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インジュシカのイベルナへの政略結婚の話を聞いて、ハインツは思い出していた。
ハインツは、実は貴族に対してあまり良い感情は持っていなかったのだ。それは自身の生い立ちからきていた。
ハインツには年の離れた姉ペトラがいた。ペトラはハインツと同じく、ピンクブロンドの髪を持つ美しい娘だった。巷ではその美貌で有名だったほどだ。だが二人の母が病弱だった為に、母親は働くことが適わず、姉のペトラだけが家族の中で唯一の働き手だったのだ。ハインツも当初は騎士学校に行くことなど考えてるどころか、視野にも入っておらず、家計を助けるためにも早々に働くつもりでいたのだ。だが、母や姉から最低限の学はあった方がいいと言われ、児童が通う学校に通っていた。だが、家にいる間は家事を率先してやるようにしてた。
「児童学校を卒業したら、絶対働こう!姉さんだけに働かすわけにいかない!」
ハインツはそう思っていたのだが、ハインツの才能は学校の教師が見出した。
「この子は学もそうですが、何より身体能力が素晴らしい!是非騎士学校に通わせるべきです!」
学校に話があるので、保護者に来て欲しいといわれ、母が病弱なためにペトラが代わりに教師から話を伺っていたのだが、
「あの、そうさせてやりたいのは、山々なんですが・・・うちにはそこまでの資金がありません。」
ペトラは、ハンイツに申し訳ない気持ちになっていた。せっかく弟には才能があると言われているのに、貧しいばかりに騎士学校に通わせるのは、経済状況的に厳しかったからである。
「お姉さん、大丈夫ですよ!この子ならきっと奨学金制度の資格が取れますよ!」
「奨学金?って何ですか?」
ペトラも最低限の学校しか通っていないので、制度について詳しくはなかった。
「将来有能な子の為の制度なんです!つまり簡単に言えば、学費は免除されるって事ですよ!騎士学校なら、寮もありますからね。衣食住も一人分減れば助かるんじゃないですか?」
それを聞いた時、確かに今のハインツとペトラにすれば有り難い話だった。
「ほ、本当に?」
ペトラは半信半疑であったが、
「本当ですよ!ただ、先にも言いましたが、あくまで優秀な子の権利なのです。ハインツくんにはその試験を受けてもらいますが、私は受かると信じていますよ!」
教師は自信満々にそう答えた。実際、ハインツは優秀だった。その後は実際に竜騎士の職にも着いているので、その当時の教師の見立ては間違っていなかったのだ。
それから、ハインツは教師から詳しいことを教えてもらった。騎士学校にはいろんな騎士職があり、中でも竜騎士が最難関だと聞いた。だが、最難関なだけであって、給与も破格な上、平民であれば貴族の一員になれることも知ったのだ。ハインツは貴族になりたいわけではなかったが、それだけ稼ぎがあれば母や姉を楽させてやれると思い、頑張ろうと決めたのだ。
そして、ハインツは見事、奨学金の権利をもぎ取り、騎士学校に入れることになった。
「姉さん、手紙書くから。」
「うん、こっちのことは心配しないで。お母さんもそう思ってると思うわ。」
騎士学校に出立の為、ハインツは村を離れてるので、姉ペトラと馬車乗り合い所でお別れをしていた。母親は寝込んでいるので、家を出るときに別れの言葉を交わしていた。
「僕、帰れる時は帰るようにするから!本当に何かあったら教えてね!僕すっ飛んで帰ってくるから!絶対だよ!」
ハインツは姉の性格をよくわかっていた。姉はできるだけハインツに心配させまいと、何かが起こってもダンマリを決め込んでしまう傾向があったからだ。
「わかったわ、何かあれば必ず手紙を出すから・・・ハインツは騎士になれるように頑張ってね。」
「うん、僕頑張るよ!できれば竜騎士になれるように頑張る!」
「ふふ、あれは難しいのではないの?飛竜との相性もあると聞いてるし。」
竜騎士は、自身の努力だけではどうにもならないことがあるからだ。
「大丈夫だよ!飛竜は絶対僕の事を気に入ってくれる!自信あるんだ!」
ハインツは竜騎士の話を聞いてから、妙に飛竜が頭から離れなかった。何となく、自分の目指すモノがそこにあるのでは?と思うようになっていたのだ。
「すごい自信ね。でも、ハインツなら頑張ったら慣れると思うわ。」
ペトラに言われ、ハインツは頬が紅潮していた。
「うん、期待しててね!僕、絶対竜騎士になってみせる!」
「あらら、なれるようにから、絶対になったのね。」
ペトラはハインツの様子に笑顔を浮かべていた。
そして、馬車は動き出し、ペトラは大きく手を振り、ハインツは騎士学校のある王都に出発していった。
だが、ハインツはこのあと、自分が騎士学校に赴いたことを後悔することになるなど、この時は夢にも思っていなかった。
次回は1/11に更新予定です。
ハインツは、実は貴族に対してあまり良い感情は持っていなかったのだ。それは自身の生い立ちからきていた。
ハインツには年の離れた姉ペトラがいた。ペトラはハインツと同じく、ピンクブロンドの髪を持つ美しい娘だった。巷ではその美貌で有名だったほどだ。だが二人の母が病弱だった為に、母親は働くことが適わず、姉のペトラだけが家族の中で唯一の働き手だったのだ。ハインツも当初は騎士学校に行くことなど考えてるどころか、視野にも入っておらず、家計を助けるためにも早々に働くつもりでいたのだ。だが、母や姉から最低限の学はあった方がいいと言われ、児童が通う学校に通っていた。だが、家にいる間は家事を率先してやるようにしてた。
「児童学校を卒業したら、絶対働こう!姉さんだけに働かすわけにいかない!」
ハインツはそう思っていたのだが、ハインツの才能は学校の教師が見出した。
「この子は学もそうですが、何より身体能力が素晴らしい!是非騎士学校に通わせるべきです!」
学校に話があるので、保護者に来て欲しいといわれ、母が病弱なためにペトラが代わりに教師から話を伺っていたのだが、
「あの、そうさせてやりたいのは、山々なんですが・・・うちにはそこまでの資金がありません。」
ペトラは、ハンイツに申し訳ない気持ちになっていた。せっかく弟には才能があると言われているのに、貧しいばかりに騎士学校に通わせるのは、経済状況的に厳しかったからである。
「お姉さん、大丈夫ですよ!この子ならきっと奨学金制度の資格が取れますよ!」
「奨学金?って何ですか?」
ペトラも最低限の学校しか通っていないので、制度について詳しくはなかった。
「将来有能な子の為の制度なんです!つまり簡単に言えば、学費は免除されるって事ですよ!騎士学校なら、寮もありますからね。衣食住も一人分減れば助かるんじゃないですか?」
それを聞いた時、確かに今のハインツとペトラにすれば有り難い話だった。
「ほ、本当に?」
ペトラは半信半疑であったが、
「本当ですよ!ただ、先にも言いましたが、あくまで優秀な子の権利なのです。ハインツくんにはその試験を受けてもらいますが、私は受かると信じていますよ!」
教師は自信満々にそう答えた。実際、ハインツは優秀だった。その後は実際に竜騎士の職にも着いているので、その当時の教師の見立ては間違っていなかったのだ。
それから、ハインツは教師から詳しいことを教えてもらった。騎士学校にはいろんな騎士職があり、中でも竜騎士が最難関だと聞いた。だが、最難関なだけであって、給与も破格な上、平民であれば貴族の一員になれることも知ったのだ。ハインツは貴族になりたいわけではなかったが、それだけ稼ぎがあれば母や姉を楽させてやれると思い、頑張ろうと決めたのだ。
そして、ハインツは見事、奨学金の権利をもぎ取り、騎士学校に入れることになった。
「姉さん、手紙書くから。」
「うん、こっちのことは心配しないで。お母さんもそう思ってると思うわ。」
騎士学校に出立の為、ハインツは村を離れてるので、姉ペトラと馬車乗り合い所でお別れをしていた。母親は寝込んでいるので、家を出るときに別れの言葉を交わしていた。
「僕、帰れる時は帰るようにするから!本当に何かあったら教えてね!僕すっ飛んで帰ってくるから!絶対だよ!」
ハインツは姉の性格をよくわかっていた。姉はできるだけハインツに心配させまいと、何かが起こってもダンマリを決め込んでしまう傾向があったからだ。
「わかったわ、何かあれば必ず手紙を出すから・・・ハインツは騎士になれるように頑張ってね。」
「うん、僕頑張るよ!できれば竜騎士になれるように頑張る!」
「ふふ、あれは難しいのではないの?飛竜との相性もあると聞いてるし。」
竜騎士は、自身の努力だけではどうにもならないことがあるからだ。
「大丈夫だよ!飛竜は絶対僕の事を気に入ってくれる!自信あるんだ!」
ハインツは竜騎士の話を聞いてから、妙に飛竜が頭から離れなかった。何となく、自分の目指すモノがそこにあるのでは?と思うようになっていたのだ。
「すごい自信ね。でも、ハインツなら頑張ったら慣れると思うわ。」
ペトラに言われ、ハインツは頬が紅潮していた。
「うん、期待しててね!僕、絶対竜騎士になってみせる!」
「あらら、なれるようにから、絶対になったのね。」
ペトラはハインツの様子に笑顔を浮かべていた。
そして、馬車は動き出し、ペトラは大きく手を振り、ハインツは騎士学校のある王都に出発していった。
だが、ハインツはこのあと、自分が騎士学校に赴いたことを後悔することになるなど、この時は夢にも思っていなかった。
次回は1/11に更新予定です。
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