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106:5人目の番
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ダン!
音楽が終わり、エメリーネは締めの踊りの姿勢で中腰で足をクロスにし両手広げ、俯いていた。
だが、会場はシーンとしたままであった。
(え?あれれ?私一生懸命踊ったのだけど、つまらなかった?)エメリーネは最後の締めのポーズをとったまま、拍手のひとつもなかったので、内心焦りとショックが渦巻いた。俯いたまま、涙が目に溜まったが、それもほんの一瞬のことで・・・
一世に拍手喝采となった。次々に席から立ち上がり会館の中はスタンディングオベーションが起こったのだ。エメリーネは驚いて顔を上げた。
「エメリーネちゃん!すごかった」
「踊りでこんなに感動をもらえるなんて!」
「ありがとう!いいもの見せてもらったよ!!」
「なんだか、元気を貰ったよ!ありがとう!」
観客である竜騎士達が拍手と共にエメリーネを称える言葉を口々に発していた。エメリーネは驚いた。まさかスタンディングオベーションが起こるとは思ってもみなかったからだ。
「あ、あ、あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
エメリーネは先程はショックから泣きそうになっていたが、今は感極まってしまい、嬉し泣きになってボロボロと泣きながら、彼女は観客に向かって何度も何度も頭を下げていた。
(本当に、凄かった。確かにこれを私一人で見るには勿体なかったわね。)セレスティアも、惜しみない拍手を送り、叔父ユージィンがかなり強行にイベントにしたことを、返って良かったのだと納得した。とはいえ、司会であることから、いつまでも感動に浸っているわけにはいかないので、セレスティアは、拡声器を使いコメントを述べているところ、
「本当に素晴らしい踊りで「ちょっと待ったぁ!!!」」
突如、割って入る言葉があった。ダンフィールだ。壇上下にいた、ダンフィールはエメリーネに近づいていった。
「え?」
壇上にいたエメリーネもその声に驚いて、声の主を見た。
「お、おい、舞姫大丈夫か?」
「助けに行かなくていい・・のか?」
「い、いやでも傍にいる団長が動いていてないから大丈夫じゃないか?」
「もしかして何かの演出なんじゃ?」
突如、ダンフィールの不可解な行動に、止めた方がいいのでは?という声も上がっていたが、一緒に並んで座っていたユージィンが微動だにせず、見守っていることから、他の竜騎士達は団長に習い静観することにした。
「あれ?あの人どっかで・・・」
テオは舞台袖から、ダンフィールを目視して、見覚えがあった。
「見つけた、俺の・・・番!!」
ダンフィールは目に涙を溜めていたものが頬を伝い流れていた。
「え・・・番?」
エメリーネは番と言う言葉に驚いた。そして同時に先程腕輪を付けた時に感じていたドキドキとした胸が熱い感覚が、ダンフィールを見てより大きく感じていることに、エメリーネははっきりと自覚していた。
「・・・あ、貴方は、私の番なのですか?」
少しオドオドしながらも、エメリーネは、ダンフィールに問いかけてみた。
「あ、あぁ!やっと!!」
ダンフィールは壇上に上がり、嬉しさの余りいきなりエメリーネを抱きしめた。
が、
「きゃーーーー!!!」
いきなり抱きしめられたことに、エメリーネ驚いてしまい、ついダンフィールを投げてしまった。ダンフィールの大きな体はあっという間に床に沈んでしまった。
「「「「えーーーー!」」」」
何度も言うが、エメリーネは武術の達人である。ダンフィールはエメリーネの2倍であろう体格ではあるが、エメリーネは大男でも難なく投げ飛ばすことができるのだ。会場にいる竜騎士達は獣人のラブロマンスが展開されるかと思ったら、まさかのエメリーネの投げ技に面を食らっていた。
「わはははは、なかなか面白い余興じゃのぉ!」
「ア、アンティエル、面白いけど余興ではないと思うよ。」
アンティエルは弟ダンフィールが番に投げ飛ばされた様を見て、大笑いしていた。フェルディナント王子も言いながらも必死に笑いを堪えていた。
「ぷっ、ぷくくく、ごめんダン。笑っちゃ失礼なのはわかってるけど、ぷくくくく!!」
ラーファイルは笑いたい気持ちと堪えなければという気持ちが混じり合い、変な笑い方になっていた。
「兄貴、だっせぇ」
カイエルがぽつりと言うと、イシュタルは窘めた。
「ダメよ、カイエル、そんな・・こと・・いっちゃあ。」
「姉貴、めっちゃ笑い堪えてるじゃん。説得力ねー」
「だって・・ねぇ・・・」
イシュタルは笑いをまだ堪えきれず、明後日の方向を向くのがやっとであった。
セレスティアは、偉丈夫であるダンフィールを投げ飛ばしたエメリーネを見て、(うん、やっぱり私あの時助けなくてもよかったんだな。)と今更ながらに納得した。
「!!ご、ごめんなさい、ごめんなさい!ついうっかり条件反射で投げてしまいました!本当にごめんなさい!だ、大丈夫ですか?」
エメリーネは仰向けに倒れているダンフィールの傍に座り、安否を気にしていた。
「・・・あぁ、大丈夫だ。俺の番は強いのだな。久々に投げ飛ばされたよ。」
と、むしろ嬉しそうにエメリーネに笑いかけていたので、エメリーネはホッとした気持ちになっていた。
ダンフィールに番が見つかったことを良かったと思った。だけど同時にセレスティアは、不思議に思っていた。このエメリーネとの出会いは叔父の無茶ぶりから始まったものではなかったか、と。叔父はもしや知っていた?セレスティアは思った。叔父ユージィンはまだ自分が知らない事情があるのだろうと、
『君は「覚醒者」だね?』
あの時、イリスという男は言っていた。
・・・無理に聞き出す必要はないだろう。必要な時がくれば、きっと叔父は教えてくれる。セレスティアはそんな気がしていた。
今は、ダンフィールと番であるというエメリーネが出会たことに素直に良かったと思うことにしようと、二人を温かく見守っていた。
音楽が終わり、エメリーネは締めの踊りの姿勢で中腰で足をクロスにし両手広げ、俯いていた。
だが、会場はシーンとしたままであった。
(え?あれれ?私一生懸命踊ったのだけど、つまらなかった?)エメリーネは最後の締めのポーズをとったまま、拍手のひとつもなかったので、内心焦りとショックが渦巻いた。俯いたまま、涙が目に溜まったが、それもほんの一瞬のことで・・・
一世に拍手喝采となった。次々に席から立ち上がり会館の中はスタンディングオベーションが起こったのだ。エメリーネは驚いて顔を上げた。
「エメリーネちゃん!すごかった」
「踊りでこんなに感動をもらえるなんて!」
「ありがとう!いいもの見せてもらったよ!!」
「なんだか、元気を貰ったよ!ありがとう!」
観客である竜騎士達が拍手と共にエメリーネを称える言葉を口々に発していた。エメリーネは驚いた。まさかスタンディングオベーションが起こるとは思ってもみなかったからだ。
「あ、あ、あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
エメリーネは先程はショックから泣きそうになっていたが、今は感極まってしまい、嬉し泣きになってボロボロと泣きながら、彼女は観客に向かって何度も何度も頭を下げていた。
(本当に、凄かった。確かにこれを私一人で見るには勿体なかったわね。)セレスティアも、惜しみない拍手を送り、叔父ユージィンがかなり強行にイベントにしたことを、返って良かったのだと納得した。とはいえ、司会であることから、いつまでも感動に浸っているわけにはいかないので、セレスティアは、拡声器を使いコメントを述べているところ、
「本当に素晴らしい踊りで「ちょっと待ったぁ!!!」」
突如、割って入る言葉があった。ダンフィールだ。壇上下にいた、ダンフィールはエメリーネに近づいていった。
「え?」
壇上にいたエメリーネもその声に驚いて、声の主を見た。
「お、おい、舞姫大丈夫か?」
「助けに行かなくていい・・のか?」
「い、いやでも傍にいる団長が動いていてないから大丈夫じゃないか?」
「もしかして何かの演出なんじゃ?」
突如、ダンフィールの不可解な行動に、止めた方がいいのでは?という声も上がっていたが、一緒に並んで座っていたユージィンが微動だにせず、見守っていることから、他の竜騎士達は団長に習い静観することにした。
「あれ?あの人どっかで・・・」
テオは舞台袖から、ダンフィールを目視して、見覚えがあった。
「見つけた、俺の・・・番!!」
ダンフィールは目に涙を溜めていたものが頬を伝い流れていた。
「え・・・番?」
エメリーネは番と言う言葉に驚いた。そして同時に先程腕輪を付けた時に感じていたドキドキとした胸が熱い感覚が、ダンフィールを見てより大きく感じていることに、エメリーネははっきりと自覚していた。
「・・・あ、貴方は、私の番なのですか?」
少しオドオドしながらも、エメリーネは、ダンフィールに問いかけてみた。
「あ、あぁ!やっと!!」
ダンフィールは壇上に上がり、嬉しさの余りいきなりエメリーネを抱きしめた。
が、
「きゃーーーー!!!」
いきなり抱きしめられたことに、エメリーネ驚いてしまい、ついダンフィールを投げてしまった。ダンフィールの大きな体はあっという間に床に沈んでしまった。
「「「「えーーーー!」」」」
何度も言うが、エメリーネは武術の達人である。ダンフィールはエメリーネの2倍であろう体格ではあるが、エメリーネは大男でも難なく投げ飛ばすことができるのだ。会場にいる竜騎士達は獣人のラブロマンスが展開されるかと思ったら、まさかのエメリーネの投げ技に面を食らっていた。
「わはははは、なかなか面白い余興じゃのぉ!」
「ア、アンティエル、面白いけど余興ではないと思うよ。」
アンティエルは弟ダンフィールが番に投げ飛ばされた様を見て、大笑いしていた。フェルディナント王子も言いながらも必死に笑いを堪えていた。
「ぷっ、ぷくくく、ごめんダン。笑っちゃ失礼なのはわかってるけど、ぷくくくく!!」
ラーファイルは笑いたい気持ちと堪えなければという気持ちが混じり合い、変な笑い方になっていた。
「兄貴、だっせぇ」
カイエルがぽつりと言うと、イシュタルは窘めた。
「ダメよ、カイエル、そんな・・こと・・いっちゃあ。」
「姉貴、めっちゃ笑い堪えてるじゃん。説得力ねー」
「だって・・ねぇ・・・」
イシュタルは笑いをまだ堪えきれず、明後日の方向を向くのがやっとであった。
セレスティアは、偉丈夫であるダンフィールを投げ飛ばしたエメリーネを見て、(うん、やっぱり私あの時助けなくてもよかったんだな。)と今更ながらに納得した。
「!!ご、ごめんなさい、ごめんなさい!ついうっかり条件反射で投げてしまいました!本当にごめんなさい!だ、大丈夫ですか?」
エメリーネは仰向けに倒れているダンフィールの傍に座り、安否を気にしていた。
「・・・あぁ、大丈夫だ。俺の番は強いのだな。久々に投げ飛ばされたよ。」
と、むしろ嬉しそうにエメリーネに笑いかけていたので、エメリーネはホッとした気持ちになっていた。
ダンフィールに番が見つかったことを良かったと思った。だけど同時にセレスティアは、不思議に思っていた。このエメリーネとの出会いは叔父の無茶ぶりから始まったものではなかったか、と。叔父はもしや知っていた?セレスティアは思った。叔父ユージィンはまだ自分が知らない事情があるのだろうと、
『君は「覚醒者」だね?』
あの時、イリスという男は言っていた。
・・・無理に聞き出す必要はないだろう。必要な時がくれば、きっと叔父は教えてくれる。セレスティアはそんな気がしていた。
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