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89:代々伝わる・・・?
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「これが代々伝わる遺跡解錠のキーアイテム、『炎舞の腕輪』なの!」
その腕輪は金が土台となっており、真ん中に大きい赤い宝石が埋め込まれおり、その周りにも同じ材質と思われる小さい赤い石がはめ込まれている、なかなか華美な腕輪であった。アイテムというよりは、普通に女性のアクセサリーとして使えそうな代物であった。
「へぇ~綺麗な腕輪だね。」
「これがないと、遺跡の門は開かないの。嘘だと思うなら、もう一度行って、門を開けても構わないわ!」
ディアナは、どーだと言わんばかりの顔をしているが、彼女は自分の発言が墓穴を掘っていることに気付いていなかった。
「ふ~ん、その話は本当なら・・・僕が先に『アレ』をとったという話はおかしくないかい?」
「え、どうして・・?!」
「だって、それがないと遺跡には入れないようだけど、ならどうやって僕が先に入ったと言うのかな?」
「あっ!」
ディアナも自分の発言に矛盾があることに気が付いた。ディアナは親指の爪を噛んで考え込んでだが、それまで無言であったダンフィールが口を開いた。
「・・・そんなもの、お前はイシュタルの・・・姉貴の番であろう。姉貴が何かしら手を加えたに決まっている!俺はごちゃごちゃ言うのは面倒なんだ。」
ダンフィールは、ユージィンに対して威圧を放っていたが、ユージィンはさほど気にしていないようであった。(なんだ、こいつ?)通常であれば竜の威圧を食らえば、動揺するなり気後れするなど、何かしらのアクションがあるものだが、ユージィンにそんな素振りがないことから(さすが姉貴の番か。一筋縄ではいかない相手らしい。)ダンフィールは、ユージィンに対しての認識を改めた。
「とにかく、さっさと物を出してもらおうか?出さないというのなら・・・」
「あら?出さないというのなら、何なのかしら?」
そこへ聞き覚えのある声がした。
「もう一人の『竜の祖』・・・」
ディアナは、イシュタルの瞳が縦長なので、『竜の祖』だと気付いたが、警戒の目でイシュタルを見つめていた。
「姉貴、久しぶりだな。」
「えぇ、ダンは相変わらず脳筋で変わりないようね。」
「ふん、相変わらず歯に衣着せぬ物言いだな。ま、姉貴らしいがな。」
「うふふ、お褒めの言葉と受け取っておくわね。」
ダンフィールはイシュタルを見るや、先程までユージィンに放っていた剣呑な威圧を引っ込めた。
「改めまして、私がダンフィールの姉のイシュタルよ。それで?貴方はダンのお友達なのかしら?」
イシュタルは、ディアナを見て、意味深な言葉を放った。
「で、結局何なんだよ?その代々伝わっているとかいう代物は?」
「あ、それはですね、『炎舞の腕輪』という・・・って、え??」
突如、頭上から男の声で質問があり、うっかり答えてしまったエメリーネは驚いた。
「カ、カイエル?!」
「よぉ。」
セレスティアは驚いた。竜騎士支部の竜の厩舎にいるはずのカイエルが、人化をして竜騎士の制服を着て、いつの間にか直ぐ傍で立っていたからだ。
「ど、どうして?」
セレスティアもカイエルがここにいることに驚いていた。
「あ、セレスティアさんのお知り合いですか?ってあ、同じ制服ですから、騎士さんなんですね。」
エメリーネはカイエルがセレスティアと同じ制服を来ていることから、同僚と判断した。
「あぁ、まぁそんなところ。」
「は、はじめまして!私エメリーネ・オルタと申します!先程はセレスティアさんに危ないところを助けていただいたのです!」
自己紹介と、セレスティアの活躍をカイエルに説明しながら、エメリーネは深々とカイエルにお辞儀をした。セレスティアとしては、助けたということに、エメリーネの経緯を聞いてからは微妙な気持ちがあったので、複雑な心境であった。
「あぁ、俺はカイエルだ。さすが俺のセレスティアだな!」
だが、そんなセレスティアの心境は知らず、ただセレスティアの活躍を聞いて、カイエルはご機嫌になっていた。
「あ、もしやカイエルさんはセレスティアさんの恋人ですか?」
カイエルが『俺の』と付けてしまったので、エメリーヌはそう解釈したのだが、
「ち、違う!!違います!!」
セレスティアは慌てて全力で否定した。その様を見て、カイエルは思い切りショックを受けていたが、(約束、忘れたの?!)セレスティアが小声で言うと、
「あっ」
カイエルは思い出した。5年待たなければならないことに。
「あーうん、そうだな。えーと今のは、えーと」
カイエルは必死で言い訳を考えていた。
「うん、まぁ俺の片思いだな。」
短い時間で考えた末、ありのままを伝えることにしたようだ。
「え?片思いなんですか?」
エメリーヌは、そんなことをあっさりというカイエルに驚いた。
「うん。まぁそういうこと、なんでまだ恋人同士じゃないから。俺の先走りだな。」
「そうなんですかー。お似合いっぽいから、てっきり恋人同士かと・・・カイエルさん、いつかセレスティアさんと本当の恋人同士になれたらいいですね!」
エメリーネは本当に心の底からそう思ったようで、曇りのないいい笑顔でそう言ってのけた。セレスティアはそれを聞いて真っ赤になっていた。
その腕輪は金が土台となっており、真ん中に大きい赤い宝石が埋め込まれおり、その周りにも同じ材質と思われる小さい赤い石がはめ込まれている、なかなか華美な腕輪であった。アイテムというよりは、普通に女性のアクセサリーとして使えそうな代物であった。
「へぇ~綺麗な腕輪だね。」
「これがないと、遺跡の門は開かないの。嘘だと思うなら、もう一度行って、門を開けても構わないわ!」
ディアナは、どーだと言わんばかりの顔をしているが、彼女は自分の発言が墓穴を掘っていることに気付いていなかった。
「ふ~ん、その話は本当なら・・・僕が先に『アレ』をとったという話はおかしくないかい?」
「え、どうして・・?!」
「だって、それがないと遺跡には入れないようだけど、ならどうやって僕が先に入ったと言うのかな?」
「あっ!」
ディアナも自分の発言に矛盾があることに気が付いた。ディアナは親指の爪を噛んで考え込んでだが、それまで無言であったダンフィールが口を開いた。
「・・・そんなもの、お前はイシュタルの・・・姉貴の番であろう。姉貴が何かしら手を加えたに決まっている!俺はごちゃごちゃ言うのは面倒なんだ。」
ダンフィールは、ユージィンに対して威圧を放っていたが、ユージィンはさほど気にしていないようであった。(なんだ、こいつ?)通常であれば竜の威圧を食らえば、動揺するなり気後れするなど、何かしらのアクションがあるものだが、ユージィンにそんな素振りがないことから(さすが姉貴の番か。一筋縄ではいかない相手らしい。)ダンフィールは、ユージィンに対しての認識を改めた。
「とにかく、さっさと物を出してもらおうか?出さないというのなら・・・」
「あら?出さないというのなら、何なのかしら?」
そこへ聞き覚えのある声がした。
「もう一人の『竜の祖』・・・」
ディアナは、イシュタルの瞳が縦長なので、『竜の祖』だと気付いたが、警戒の目でイシュタルを見つめていた。
「姉貴、久しぶりだな。」
「えぇ、ダンは相変わらず脳筋で変わりないようね。」
「ふん、相変わらず歯に衣着せぬ物言いだな。ま、姉貴らしいがな。」
「うふふ、お褒めの言葉と受け取っておくわね。」
ダンフィールはイシュタルを見るや、先程までユージィンに放っていた剣呑な威圧を引っ込めた。
「改めまして、私がダンフィールの姉のイシュタルよ。それで?貴方はダンのお友達なのかしら?」
イシュタルは、ディアナを見て、意味深な言葉を放った。
「で、結局何なんだよ?その代々伝わっているとかいう代物は?」
「あ、それはですね、『炎舞の腕輪』という・・・って、え??」
突如、頭上から男の声で質問があり、うっかり答えてしまったエメリーネは驚いた。
「カ、カイエル?!」
「よぉ。」
セレスティアは驚いた。竜騎士支部の竜の厩舎にいるはずのカイエルが、人化をして竜騎士の制服を着て、いつの間にか直ぐ傍で立っていたからだ。
「ど、どうして?」
セレスティアもカイエルがここにいることに驚いていた。
「あ、セレスティアさんのお知り合いですか?ってあ、同じ制服ですから、騎士さんなんですね。」
エメリーネはカイエルがセレスティアと同じ制服を来ていることから、同僚と判断した。
「あぁ、まぁそんなところ。」
「は、はじめまして!私エメリーネ・オルタと申します!先程はセレスティアさんに危ないところを助けていただいたのです!」
自己紹介と、セレスティアの活躍をカイエルに説明しながら、エメリーネは深々とカイエルにお辞儀をした。セレスティアとしては、助けたということに、エメリーネの経緯を聞いてからは微妙な気持ちがあったので、複雑な心境であった。
「あぁ、俺はカイエルだ。さすが俺のセレスティアだな!」
だが、そんなセレスティアの心境は知らず、ただセレスティアの活躍を聞いて、カイエルはご機嫌になっていた。
「あ、もしやカイエルさんはセレスティアさんの恋人ですか?」
カイエルが『俺の』と付けてしまったので、エメリーヌはそう解釈したのだが、
「ち、違う!!違います!!」
セレスティアは慌てて全力で否定した。その様を見て、カイエルは思い切りショックを受けていたが、(約束、忘れたの?!)セレスティアが小声で言うと、
「あっ」
カイエルは思い出した。5年待たなければならないことに。
「あーうん、そうだな。えーと今のは、えーと」
カイエルは必死で言い訳を考えていた。
「うん、まぁ俺の片思いだな。」
短い時間で考えた末、ありのままを伝えることにしたようだ。
「え?片思いなんですか?」
エメリーヌは、そんなことをあっさりというカイエルに驚いた。
「うん。まぁそういうこと、なんでまだ恋人同士じゃないから。俺の先走りだな。」
「そうなんですかー。お似合いっぽいから、てっきり恋人同士かと・・・カイエルさん、いつかセレスティアさんと本当の恋人同士になれたらいいですね!」
エメリーネは本当に心の底からそう思ったようで、曇りのないいい笑顔でそう言ってのけた。セレスティアはそれを聞いて真っ赤になっていた。
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