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31:カイエルとイシュタル~後編~
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「カイエルは、『竜の祖』と呼ばれる竜の始祖とも言われている竜なんだよ。」
「え・・・『竜の祖』って言い伝えにある確か神獣とも言われている竜のことなんじゃ・・・」
フェリス王国だけでなく、アルス・アーツ大陸にまつわる『竜の祖』とは、あらゆる竜の起源とも言われ、6匹の神獣として伝えられている竜のことであった。
セレスティアは、まさかそんな伝承で聞いたような存在が自分のパートナーだとは夢にも思わず、信じられないといった様子であった。
「そうだね、しかもここには、その神獣が2人もいる。」
「あ!そっか、イシュタルさんも!」
「うふふ」
「?」
カイエルは何のことだかわかってなかった。
「そう私達は『竜の祖』と呼ばれる起源の竜であったわ。もう数千年前の話だけどね。だから、飛竜の形態をとることは簡単なことなのよ。」
「数千年前・・・・」
数千年生きている、ということはセレスティアは、この二人の見た目年齢を信じちゃいけないのだなと思った。
「ざっくりいうとね、封印って言うくらいだから、セレスティアは察しているとは思うけど、カイエルは大昔にあることをやらかしていてね。それが原因でいろいろと封印されているんだよ。」
「・・・あーなんだかわかる気がするわ。」
確かにざっくりすぎるな、とは思ったが、カイエルがやらかした、ということには妙に納得したセレスティアであった。
「な、なに納得してるんだよ!」
だが、カイエルは納得できないようであった。
「封印をしたのは、私達兄弟なの。カイエルは末っ子になるのよ。」
「もしかして、伝承にある6匹の竜って・・・全員兄弟なんですか?」
「えぇ、私は上から3番目でね。上に姉と兄、下に弟が三人いるのよ。」
まさか、伝承にある竜本人から話を聞けるとは思わなかったので、冷静な彼女には珍しく、セレスティアはテンションが上がっていた。
「私達は兄弟ではあるけどね、それぞれ司る力の源が違うのよ。そこは見たままだし、伝えられてる通りだから割愛するわね。」
イシュタルで言うならば、赤は火を司り、カイエルは黒であることから闇を司っていた。他には、白は聖なる力を司り、青は水を司り、茶は土を司り、緑は風を司っていた。そして飛竜の色はそれぞれの竜から派生しているので、属性もそのまま受け継いでいたのだ。
「カイエルの封印は、他にもあるんですよね。」
セレスティアが神妙に問うと、ユージィンが答えた。
「カイエルの封印はあと二つ。その内の一つは先ほど言った記憶がなくなっていることだ。あとは力を失っていることだね。カイエルの本来の『竜の祖』としての力も封印されているから。」
そうか、あと二つもあるのか、とセレスティアは思ったが、そもそもの疑問の答えがわかっていないことに気付いた。
「ん?だけど何故、封印とやらは解けたの?」
「それは、カイエルがセレスティアのことを『番』だと認識したからだね。」
「え?」
「飛竜の時は本能的なもので、漠然と感じたんだろうけど、人化ができたということは、はっきりと、セレスティアが『番』だと認識したんだよ。」
「第一の封印解除はね、『番』を見つけることだったからよ。」
そういえば、カイエルは腹が立ったら、知らない間に人化したとか言っていた。ダンスを踊ってただけで封印を解除するなど、セレスティアは何とも居た堪れない心境であった。
「私達『竜』はね、魂の伴侶を探すのよ。その相手がどんな生物になっているかはわからないからね。人化はたまたまというか、『番』と同じ種族に形態を変えることができるのよ。」
「え?変幻自在みたいな?」
「そうね、ただし『番』だと認識したらね。だって竜のままだと交尾ができないでしょ?」
セレスティアは想像もしていなかった言葉を投げかけられて、顔は真っ赤に染まっていた。
「そっか、俺、お前と同じ種族になれてるから、交尾ができるんだな!」
カイエルは先ほどまでの、不貞腐れた態度から一変、急にパアァと顔が明るい表情に変わっていた。
「こ、交尾って・・!」
恋人など作る気がさらさらなかったセレスティアにしてみれば、あらゆる段階をすっ飛ばして、いきなり交尾の話をされるとは思わなかったので、考えがまとまらなかった。
「ん?でも、ディーンから聞いた話では、カイエルが人にでもなったら、結婚考えてもいいって、セレスティアが言ってたって聞いてるよ。僕はてっきり相思相愛なんだと思ってたんだけど?」
(叔父様、なんでこのタイミングでそれ言うのよ!兄さまのばかーーー)
「セレスティア!!」
カイエルはユージィンの言葉を聞いて、喜び勇んでセレスティアを抱きしめようとしたが、
「だめーーーー!!」
カイエルは顔面をセレスティアの伸ばした手で抑え込まれ、カイエルが思い描いていたハグは叶わなかった。
「な、なんでだよ!お望み通り俺も人化できたじゃねぇか!」
「そ、それは、その私はあくまで飛竜のカイエルとって意味だから、いきなり人化したからって言われても・・・」
セレスティアにしては珍しくしどろもどろになっていた。
「だから、俺じゃねぇか!」
「わかってるけど、そう簡単に割り切れないの!」
そこで、ギャーギャーと二人は言い合いになっていたのだが、その様子を見ていたユージィンとイシュタルは、
「まだ封印は残ってるんだけど、この二人大丈夫かしら?」
と、イシュタルは心配そうに見ていたが、
「ふふ、まぁ大丈夫だと思うよ。まぁもちろん今すぐって訳にはいかないけどね。焦ることはないさ。」
セレスティアはいつもは人に対して淡々とした対応だったのだが、カイエルには、珍しく感情がむき出しになっていることに、ユージィンは面白そうに見ていた。セレスティア自信はその事に気付いてはいなかったけれども。
「え・・・『竜の祖』って言い伝えにある確か神獣とも言われている竜のことなんじゃ・・・」
フェリス王国だけでなく、アルス・アーツ大陸にまつわる『竜の祖』とは、あらゆる竜の起源とも言われ、6匹の神獣として伝えられている竜のことであった。
セレスティアは、まさかそんな伝承で聞いたような存在が自分のパートナーだとは夢にも思わず、信じられないといった様子であった。
「そうだね、しかもここには、その神獣が2人もいる。」
「あ!そっか、イシュタルさんも!」
「うふふ」
「?」
カイエルは何のことだかわかってなかった。
「そう私達は『竜の祖』と呼ばれる起源の竜であったわ。もう数千年前の話だけどね。だから、飛竜の形態をとることは簡単なことなのよ。」
「数千年前・・・・」
数千年生きている、ということはセレスティアは、この二人の見た目年齢を信じちゃいけないのだなと思った。
「ざっくりいうとね、封印って言うくらいだから、セレスティアは察しているとは思うけど、カイエルは大昔にあることをやらかしていてね。それが原因でいろいろと封印されているんだよ。」
「・・・あーなんだかわかる気がするわ。」
確かにざっくりすぎるな、とは思ったが、カイエルがやらかした、ということには妙に納得したセレスティアであった。
「な、なに納得してるんだよ!」
だが、カイエルは納得できないようであった。
「封印をしたのは、私達兄弟なの。カイエルは末っ子になるのよ。」
「もしかして、伝承にある6匹の竜って・・・全員兄弟なんですか?」
「えぇ、私は上から3番目でね。上に姉と兄、下に弟が三人いるのよ。」
まさか、伝承にある竜本人から話を聞けるとは思わなかったので、冷静な彼女には珍しく、セレスティアはテンションが上がっていた。
「私達は兄弟ではあるけどね、それぞれ司る力の源が違うのよ。そこは見たままだし、伝えられてる通りだから割愛するわね。」
イシュタルで言うならば、赤は火を司り、カイエルは黒であることから闇を司っていた。他には、白は聖なる力を司り、青は水を司り、茶は土を司り、緑は風を司っていた。そして飛竜の色はそれぞれの竜から派生しているので、属性もそのまま受け継いでいたのだ。
「カイエルの封印は、他にもあるんですよね。」
セレスティアが神妙に問うと、ユージィンが答えた。
「カイエルの封印はあと二つ。その内の一つは先ほど言った記憶がなくなっていることだ。あとは力を失っていることだね。カイエルの本来の『竜の祖』としての力も封印されているから。」
そうか、あと二つもあるのか、とセレスティアは思ったが、そもそもの疑問の答えがわかっていないことに気付いた。
「ん?だけど何故、封印とやらは解けたの?」
「それは、カイエルがセレスティアのことを『番』だと認識したからだね。」
「え?」
「飛竜の時は本能的なもので、漠然と感じたんだろうけど、人化ができたということは、はっきりと、セレスティアが『番』だと認識したんだよ。」
「第一の封印解除はね、『番』を見つけることだったからよ。」
そういえば、カイエルは腹が立ったら、知らない間に人化したとか言っていた。ダンスを踊ってただけで封印を解除するなど、セレスティアは何とも居た堪れない心境であった。
「私達『竜』はね、魂の伴侶を探すのよ。その相手がどんな生物になっているかはわからないからね。人化はたまたまというか、『番』と同じ種族に形態を変えることができるのよ。」
「え?変幻自在みたいな?」
「そうね、ただし『番』だと認識したらね。だって竜のままだと交尾ができないでしょ?」
セレスティアは想像もしていなかった言葉を投げかけられて、顔は真っ赤に染まっていた。
「そっか、俺、お前と同じ種族になれてるから、交尾ができるんだな!」
カイエルは先ほどまでの、不貞腐れた態度から一変、急にパアァと顔が明るい表情に変わっていた。
「こ、交尾って・・!」
恋人など作る気がさらさらなかったセレスティアにしてみれば、あらゆる段階をすっ飛ばして、いきなり交尾の話をされるとは思わなかったので、考えがまとまらなかった。
「ん?でも、ディーンから聞いた話では、カイエルが人にでもなったら、結婚考えてもいいって、セレスティアが言ってたって聞いてるよ。僕はてっきり相思相愛なんだと思ってたんだけど?」
(叔父様、なんでこのタイミングでそれ言うのよ!兄さまのばかーーー)
「セレスティア!!」
カイエルはユージィンの言葉を聞いて、喜び勇んでセレスティアを抱きしめようとしたが、
「だめーーーー!!」
カイエルは顔面をセレスティアの伸ばした手で抑え込まれ、カイエルが思い描いていたハグは叶わなかった。
「な、なんでだよ!お望み通り俺も人化できたじゃねぇか!」
「そ、それは、その私はあくまで飛竜のカイエルとって意味だから、いきなり人化したからって言われても・・・」
セレスティアにしては珍しくしどろもどろになっていた。
「だから、俺じゃねぇか!」
「わかってるけど、そう簡単に割り切れないの!」
そこで、ギャーギャーと二人は言い合いになっていたのだが、その様子を見ていたユージィンとイシュタルは、
「まだ封印は残ってるんだけど、この二人大丈夫かしら?」
と、イシュタルは心配そうに見ていたが、
「ふふ、まぁ大丈夫だと思うよ。まぁもちろん今すぐって訳にはいかないけどね。焦ることはないさ。」
セレスティアはいつもは人に対して淡々とした対応だったのだが、カイエルには、珍しく感情がむき出しになっていることに、ユージィンは面白そうに見ていた。セレスティア自信はその事に気付いてはいなかったけれども。
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