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16:親睦会~前編~
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月の兎亭にて______
「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」
「いやー労働のあとのエールは美味い!!」
ノアベルトは、本当に美味しそうに、そしてジョッキに入っていたエールを一気に飲んでしまった。テーブルには事前に頼んでおいた、色とりどりの料理がたくさん並べられていた。
月の兎亭は、寄宿舎の近くにある、大衆居酒屋であった。お昼はランチを提供し、夜はお酒も提供してくれる場所で味もなかなか評判のお店だ。
「おいおい、そんなペースで大丈夫か?」
あまりに一気に飲んでしまったので、ルッツは心配になった。
「俺がこれくらいで、どうにかなると思う?」
「・・・まぁ、大丈夫か。」
ルッツはノアベルトが酒豪だったのを思い出し、確かに大丈夫だったなと気にするのをやめた。
「だろ?おねーさーん。お代わりお願いねーー」
店員のウエイトレスに早々と追加注文をお願いしていた。
「あの、なんていうか。今更こんなこと言うのもアレなんですけど、僕とテオは平民なのに、同席してもよかったんでしょうか?」
遠慮がちに口を挟んできたのは、平民で竜騎士となった、ハインツ・ベルツだった。ハインツはピンクブラウンの髪に青い瞳をもつ男性にしては少し小柄な男だった。そして横で頷いているのが、テオ・トレーガーはアッシュグレーの髪色に灰色の瞳を持つ同じく平民の竜騎士だ。騎士爵は『竜の就任式』後なので、まだ身分は平民なのだ。
「え?今更そんなこと気にしてんの?ここにいるやつで、そんなこと気にする奴なんていないっしょ?」
ノアベルトは相変わらず軽い口調で何でもないことだと告げた。
「うん、俺もそう思うよ。」
すかさず、ルッツも賛同した。
「セレスティア嬢はどう思う?」
セレスティアはノアベルトから話を振られるとは思っていなかったので、驚いたがそれについては何も気にしたことはなかったので、
「平民だろうと貴族だろうと、竜騎士になったのだから、遠慮など必要ないと思う。」
「「「「おぉー」」」」
なぜ、こんなことで、驚かれるんだろう?とは思ったが。悪い意味ではなさそうだったので、セレスティアは気にはしないでおいた。
「あ!今更ですけど、貴族の令嬢でこういうお店って・・・」
ルッツはセレスティアは貴族の令嬢だったことを思い出し、今更ながらやってしまった、と思ったが、
「私も騎士学校に入ってもう8年になります。正直なところ令嬢としてのマナーや教養の方面は最低限度しか学んでいないので、恥ずかしながら私はそっちの方面が苦手なのです。ですので、令嬢扱いしないでくれた方が、有りがたいかな。」
セレスティアは、一応自分が貴族の令嬢であるから、気を使ってくれているんだろうと思ったので、正直に答えた。
「えー『氷の人形』なんて呼ばれてるくらいだから、てっきりこういうお店とは縁がないと思ってたよ。」
他のメンバーは、まさか本人を目の前に『氷の人形』などというあだ名を言うとは思わなかったので、ギョッとして驚いた。
「お、おい!失礼だろ!」
ルッツは慌てて、ノアベルトを窘めた。
「あだ名でそう言われるのは知ってます。ま、それはさておきここは初めてだけど、こういう雰囲気のお店には何度か兄に連れていってもらったことはあるので、大丈夫。むしろ嫌いじゃないし。」
そう言いながら、テーブルのおかずをパク付いた。あだ名については、何時の頃からか自分がそう言われていることはセレスティア知っていた。だが特に気にしたこともなかったし、それよりも竜騎士の候補生になる方が大事だったからである。
「「「「・・・・・・」」」」
「?何か変な事言ったかな?」
「いいえ。なんていうか、かなりイメージが違ったなと。」
ハインツがそういうと、テオはやはり頷いていた。
「ぶはははは、なんだ、セレスティア嬢はかなり話のわかる奴なんだな!もっととっつきにくいかと思ってたのに。」
ノアベルトがそういうと、セレスティアは良くも悪くもこの人は思ったことが直ぐに言葉にでるんだな、と思った。
「何だかよくはわからないですけど、誤解が解けて良かったです。」
「あーでも、話し方が固い!!もっとフランクでいいよ!同級生っていうか同期なんだしさ!」
「・・・言われてみればそうです・・そうね。正直なところ、兄以外でこういうお店に来たのは初めてかも・・・。」
そう言ったセレスティアの憂いを帯びた顔が、何とも言えない色気を放っていたことで、セレスティア以外の全員がドキリとしたが、ルッツは突然席から立ち上がって、
「5年は恋愛禁止だぞ!」
と、顔を赤くしながら握り拳を作りながら言うと、
「「「「お、おう!!」」」」
と、謎の連係プレイが出来上がっていた。
「??」
セレスティアは、ルッツがなぜいきなりそんなことを言ったのか、意味不明であった。
「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」
「いやー労働のあとのエールは美味い!!」
ノアベルトは、本当に美味しそうに、そしてジョッキに入っていたエールを一気に飲んでしまった。テーブルには事前に頼んでおいた、色とりどりの料理がたくさん並べられていた。
月の兎亭は、寄宿舎の近くにある、大衆居酒屋であった。お昼はランチを提供し、夜はお酒も提供してくれる場所で味もなかなか評判のお店だ。
「おいおい、そんなペースで大丈夫か?」
あまりに一気に飲んでしまったので、ルッツは心配になった。
「俺がこれくらいで、どうにかなると思う?」
「・・・まぁ、大丈夫か。」
ルッツはノアベルトが酒豪だったのを思い出し、確かに大丈夫だったなと気にするのをやめた。
「だろ?おねーさーん。お代わりお願いねーー」
店員のウエイトレスに早々と追加注文をお願いしていた。
「あの、なんていうか。今更こんなこと言うのもアレなんですけど、僕とテオは平民なのに、同席してもよかったんでしょうか?」
遠慮がちに口を挟んできたのは、平民で竜騎士となった、ハインツ・ベルツだった。ハインツはピンクブラウンの髪に青い瞳をもつ男性にしては少し小柄な男だった。そして横で頷いているのが、テオ・トレーガーはアッシュグレーの髪色に灰色の瞳を持つ同じく平民の竜騎士だ。騎士爵は『竜の就任式』後なので、まだ身分は平民なのだ。
「え?今更そんなこと気にしてんの?ここにいるやつで、そんなこと気にする奴なんていないっしょ?」
ノアベルトは相変わらず軽い口調で何でもないことだと告げた。
「うん、俺もそう思うよ。」
すかさず、ルッツも賛同した。
「セレスティア嬢はどう思う?」
セレスティアはノアベルトから話を振られるとは思っていなかったので、驚いたがそれについては何も気にしたことはなかったので、
「平民だろうと貴族だろうと、竜騎士になったのだから、遠慮など必要ないと思う。」
「「「「おぉー」」」」
なぜ、こんなことで、驚かれるんだろう?とは思ったが。悪い意味ではなさそうだったので、セレスティアは気にはしないでおいた。
「あ!今更ですけど、貴族の令嬢でこういうお店って・・・」
ルッツはセレスティアは貴族の令嬢だったことを思い出し、今更ながらやってしまった、と思ったが、
「私も騎士学校に入ってもう8年になります。正直なところ令嬢としてのマナーや教養の方面は最低限度しか学んでいないので、恥ずかしながら私はそっちの方面が苦手なのです。ですので、令嬢扱いしないでくれた方が、有りがたいかな。」
セレスティアは、一応自分が貴族の令嬢であるから、気を使ってくれているんだろうと思ったので、正直に答えた。
「えー『氷の人形』なんて呼ばれてるくらいだから、てっきりこういうお店とは縁がないと思ってたよ。」
他のメンバーは、まさか本人を目の前に『氷の人形』などというあだ名を言うとは思わなかったので、ギョッとして驚いた。
「お、おい!失礼だろ!」
ルッツは慌てて、ノアベルトを窘めた。
「あだ名でそう言われるのは知ってます。ま、それはさておきここは初めてだけど、こういう雰囲気のお店には何度か兄に連れていってもらったことはあるので、大丈夫。むしろ嫌いじゃないし。」
そう言いながら、テーブルのおかずをパク付いた。あだ名については、何時の頃からか自分がそう言われていることはセレスティア知っていた。だが特に気にしたこともなかったし、それよりも竜騎士の候補生になる方が大事だったからである。
「「「「・・・・・・」」」」
「?何か変な事言ったかな?」
「いいえ。なんていうか、かなりイメージが違ったなと。」
ハインツがそういうと、テオはやはり頷いていた。
「ぶはははは、なんだ、セレスティア嬢はかなり話のわかる奴なんだな!もっととっつきにくいかと思ってたのに。」
ノアベルトがそういうと、セレスティアは良くも悪くもこの人は思ったことが直ぐに言葉にでるんだな、と思った。
「何だかよくはわからないですけど、誤解が解けて良かったです。」
「あーでも、話し方が固い!!もっとフランクでいいよ!同級生っていうか同期なんだしさ!」
「・・・言われてみればそうです・・そうね。正直なところ、兄以外でこういうお店に来たのは初めてかも・・・。」
そう言ったセレスティアの憂いを帯びた顔が、何とも言えない色気を放っていたことで、セレスティア以外の全員がドキリとしたが、ルッツは突然席から立ち上がって、
「5年は恋愛禁止だぞ!」
と、顔を赤くしながら握り拳を作りながら言うと、
「「「「お、おう!!」」」」
と、謎の連係プレイが出来上がっていた。
「??」
セレスティアは、ルッツがなぜいきなりそんなことを言ったのか、意味不明であった。
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