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15:竜騎士の同期達
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『竜の御目通り』の騒ぎの後、逃げ出さなかった飛竜たちは、その後自分達のパートナーを選んだ。そしてセレスティアを含む6名が、竜の就任式を行うことになっていた。
竜の就任式は、なかなか迫力があり壮観であったことから、フェリス王国の名物にもなっていた。わざわざそれを見物をしに他国から観光客がくるほど観光業に一役買っているほどなのだ。
セレスティアを初め、新人の竜騎士達は、騎士学校を卒業する前に、『竜の御目通り』にてバディを組んだ飛竜達と一緒に生活をする為、騎士学校の寮から寄宿舎へ移動となる。騎士学校卒業後、間を明けずにして早々に竜の就任式があるからだ。それまでにパートナーとなった飛竜達とある程度密に行動できるようにならなければいけないので、卒業前から既に訓練は開始されることとなり、新人の竜騎士達は既に騎士として活動しているのだ。
セレスティアが継母からの縁談話を断った翌日、同僚から飲み会のお誘いがあった。仲間内だけで、就任祝いをしないか、というものだった。
「セレスティア、良かったら皆で一緒に飲まないか?就任祝いとこれからの親睦も兼ねてさ。まぁいわゆる親睦会ってやつなんだけど・・・」
そう誘ってきたのは、騎士学校で同級生のルッツ・ヘルマンであった。
セレスティアはどうしようかと一瞬悩んだが、確かにこれからは同僚としてお世話になることも、仕事で連携しなければいけないことも出てくるだろし、コミュニケーションは必要か、と考えに至った。
「飲み会ね・・・わかった。では参加させていただくわ。」
「そ、そうか、良かった!では18時に『月の兎亭』に同期全員で6人だから。」
「えぇ、では後ほど。」
そういうとセレスティアは颯爽とその場を後にした。
その場を見ていた同じく同級生のノアベルト・ミュラーが勢いよく、ルッツの背中を叩いた。
「おい!誘えたのか?あの『氷の人形』を?!」
「痛いよ、ノア。断れらたらと心臓バクバクものだったけど、参加するって。」
「へぇ~てっきり断るかと思ってたけど、意外だったな。でも良かったな!ルッツ!少しはこれで距離を縮められるんじゃないか?」
そういうと、ノアベルトはニヤニヤとルッツを肘でつついた。
「ば、ばか!何を言ってるんだよ!俺達はこれから恋愛は5年間禁止なんだぞ!」
「だけど、お前『氷の人形』のことずっと惚れてただろ?」
「!!な、なんでその事?!じゃなくってあっ!!」
うっかり肯定してしまい、慌てて口を覆ったが、時すでに遅しで
「何だ、お前バレてないと思ってたの?バレバレだったけど?」
「うそ!」
ルッツは顔が真っ赤になっていた。
「しょっちゅう『氷の人形』のこと見てたじゃん。お前の目線の先にはいつも彼女がいたから、誰でも気付くぞ?」
「うわぁ~~~俺穴があったら入りたい!」
そういうとルッツは屈んで、顔を隠してしまった。
「ま、どのみち5年間はなぁ。それに彼女のパートナーはあの黒い飛竜だろ?焼もちキツそうだから気をつけろよ?」
『竜の御目通り』でセレスティアがいなかっただけで、『竜の祭壇』の観客席を破壊して犯人の男を噛み殺そうした飛竜だ。誰の目にも相当な焼もち焼きであろうと推測するのは容易かった。
「うっ・・・気を付ける。」
ルッツとノアベルトは幼馴染だ。二人もセレスティアと同じように小さい頃から竜騎士になりたいと、騎士学校では上位の成績だった。
ルッツ・ヘルマンはセレスティアと同じく伯爵位を持つ家だ。濃い茶色の髪に緑の瞳の、甘いマスクをした優しそうな男で、実際見た目と変わらず気の優しい男であった。彼は茶化された通りで、騎士学校の時からずっとセレスティアに片思いをしていたが、竜騎士のことがあるから、ずっと思いを秘めていたのだ。
対してノアベルトは、言葉遣いは悪いが家は侯爵家であった。シルバーブロンドの髪に琥珀の瞳を持ち、その整った容姿から女性から大変人気はあった。貴族にしては言動が軽いため、遊び人と誤解されるこもしばしばであったが、本人は周りの評価は気にしない男であった。
今回の6人の新人竜騎士は、貴族でが4名、平民が2名の構成であるが、平民が竜騎士になった場合は、特例で一代限りの『騎士爵』が与えられる。
ルッツとノアベルト以外に至っては、顔見知り程度であった為、今日の親睦会が初めて言葉をまともに交わす機会となったのだ。
竜の就任式は、なかなか迫力があり壮観であったことから、フェリス王国の名物にもなっていた。わざわざそれを見物をしに他国から観光客がくるほど観光業に一役買っているほどなのだ。
セレスティアを初め、新人の竜騎士達は、騎士学校を卒業する前に、『竜の御目通り』にてバディを組んだ飛竜達と一緒に生活をする為、騎士学校の寮から寄宿舎へ移動となる。騎士学校卒業後、間を明けずにして早々に竜の就任式があるからだ。それまでにパートナーとなった飛竜達とある程度密に行動できるようにならなければいけないので、卒業前から既に訓練は開始されることとなり、新人の竜騎士達は既に騎士として活動しているのだ。
セレスティアが継母からの縁談話を断った翌日、同僚から飲み会のお誘いがあった。仲間内だけで、就任祝いをしないか、というものだった。
「セレスティア、良かったら皆で一緒に飲まないか?就任祝いとこれからの親睦も兼ねてさ。まぁいわゆる親睦会ってやつなんだけど・・・」
そう誘ってきたのは、騎士学校で同級生のルッツ・ヘルマンであった。
セレスティアはどうしようかと一瞬悩んだが、確かにこれからは同僚としてお世話になることも、仕事で連携しなければいけないことも出てくるだろし、コミュニケーションは必要か、と考えに至った。
「飲み会ね・・・わかった。では参加させていただくわ。」
「そ、そうか、良かった!では18時に『月の兎亭』に同期全員で6人だから。」
「えぇ、では後ほど。」
そういうとセレスティアは颯爽とその場を後にした。
その場を見ていた同じく同級生のノアベルト・ミュラーが勢いよく、ルッツの背中を叩いた。
「おい!誘えたのか?あの『氷の人形』を?!」
「痛いよ、ノア。断れらたらと心臓バクバクものだったけど、参加するって。」
「へぇ~てっきり断るかと思ってたけど、意外だったな。でも良かったな!ルッツ!少しはこれで距離を縮められるんじゃないか?」
そういうと、ノアベルトはニヤニヤとルッツを肘でつついた。
「ば、ばか!何を言ってるんだよ!俺達はこれから恋愛は5年間禁止なんだぞ!」
「だけど、お前『氷の人形』のことずっと惚れてただろ?」
「!!な、なんでその事?!じゃなくってあっ!!」
うっかり肯定してしまい、慌てて口を覆ったが、時すでに遅しで
「何だ、お前バレてないと思ってたの?バレバレだったけど?」
「うそ!」
ルッツは顔が真っ赤になっていた。
「しょっちゅう『氷の人形』のこと見てたじゃん。お前の目線の先にはいつも彼女がいたから、誰でも気付くぞ?」
「うわぁ~~~俺穴があったら入りたい!」
そういうとルッツは屈んで、顔を隠してしまった。
「ま、どのみち5年間はなぁ。それに彼女のパートナーはあの黒い飛竜だろ?焼もちキツそうだから気をつけろよ?」
『竜の御目通り』でセレスティアがいなかっただけで、『竜の祭壇』の観客席を破壊して犯人の男を噛み殺そうした飛竜だ。誰の目にも相当な焼もち焼きであろうと推測するのは容易かった。
「うっ・・・気を付ける。」
ルッツとノアベルトは幼馴染だ。二人もセレスティアと同じように小さい頃から竜騎士になりたいと、騎士学校では上位の成績だった。
ルッツ・ヘルマンはセレスティアと同じく伯爵位を持つ家だ。濃い茶色の髪に緑の瞳の、甘いマスクをした優しそうな男で、実際見た目と変わらず気の優しい男であった。彼は茶化された通りで、騎士学校の時からずっとセレスティアに片思いをしていたが、竜騎士のことがあるから、ずっと思いを秘めていたのだ。
対してノアベルトは、言葉遣いは悪いが家は侯爵家であった。シルバーブロンドの髪に琥珀の瞳を持ち、その整った容姿から女性から大変人気はあった。貴族にしては言動が軽いため、遊び人と誤解されるこもしばしばであったが、本人は周りの評価は気にしない男であった。
今回の6人の新人竜騎士は、貴族でが4名、平民が2名の構成であるが、平民が竜騎士になった場合は、特例で一代限りの『騎士爵』が与えられる。
ルッツとノアベルト以外に至っては、顔見知り程度であった為、今日の親睦会が初めて言葉をまともに交わす機会となったのだ。
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