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10:黒い飛竜カイエル
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敷地内の丘の上に、セレスティアの相棒である飛竜は待っていた。
「カイエル、待たせてごめんね。」
『ギュルルル!!』
「ごめん、ごめん怒らないで。」
しかし様子を伺っていると、待たせたことに怒っているのかと思っていたのだが、どうも違うようだった。
「あ・・・そうか心配してくれていたのね?ありがとうカイエル。大丈夫よ。私はあの頃のようなもう子供じゃないもの。」
黒竜カイエルはフン、と鼻をならし、頭を下げて撫でろとセレスティアにせっついた。
「ふふ、カイエルは見かけに寄らず本当に甘えん坊さんね。」
などと言いつつも、セレスティアもまんざらではないので、カイエルにせがまれるまま顔を撫で、カイエルは機嫌を良くしていた。
セレスティアの相棒の飛竜は名はカイエル、黒い飛竜だ。見かけに寄らず、というのは実際印象としてはいかつい竜だからだ。ユージィンの飛竜イールは『紅玉の飛竜』と呼ばれるほど鮮やかな赤い鱗を持ち、また他の飛竜と比べ小柄だったわけだが、カイエルはまさに真逆で他の飛竜よりも大きい身体をしていた。そして黒金剛石を思わせるような、黒色と輝きをもつ鱗、そしてカイエルの顔も飛竜の中ではかなり獰猛な顔、いわゆる強面というやつなのだ。それでもセレスティアにとっては唯一無二の大事なパートナーだった。
「ふふ、今は叔父様の気持ちがよくわかるわ。カイエル、貴方がいるから、私は全然結婚したいだなんて思わないもの。むしろ人間の男なんて煩わしいわ。」
ユージィンはセレスティが幼い頃も独身だったが、実は今も現在進行形で独身貴族であった。
セレスティアはカイエルと接している時だけ、表情筋は昔のように動きがでる。
というのも、セレスティアは騎士学校に通ってから、表情筋の動きが少なくなってしまった。
実は容姿には恵まれたセレスティアは当人の思惑に関係なく騎士学校では大変モテたのだ。何せ騎士学校は女性の比率が圧倒的に少ないこともあって、セレスティアがモテる要因として拍車をかけたのだろう。だが、彼女は騎士ではなく、目指していたのは竜騎士だったため、当然のごとく恋愛をする気など毛頭なかった。セレスティアはユージィンとの約束を守る為、彼女は一心不乱に鍛錬や勉強を頑張っていた。
しかし騎士学校に通っている者全員が竜騎士を目指している訳ではなので、セレスティアにモーションを掛ける輩はかなりいたのだ。中には勘違いするの者も現れていた。
「君が微笑みかえるから!気持ちが通じてると思ったのに!」とか「勘違いさせるな!」
など、振られた男共の見苦しい言い訳だった訳だが、根が素直なセレスティアは自分が愛想よくすることで、勘違いさせてはいけないと、できるだけ表情を出さないように意識するようになった。
そうすると、元々纏っている色彩が寒色カラーだったこともあり、表情をださないことも合わさって、次第に愛想がない、近寄りがたいなど噂が流れ、そして影では『氷の人形』と通称されるようになったのだ。
そのあだ名のせいなのか、以前よりも告白されることがめっきりと減り、自分の騎士修行の妨げにならずにすんだことは返って都合がよかったと、セレスティア的には有りがたかった。
だが、実際は表情をあまりださなくなったことで、よりミステリアスな印象になってしまったセレスティアは、声を掛けるなど恐れおおい、ということから告白が減っただけの話で、水面下では彼女は相変わらずモテていたのだ。だが現在まで彼女はその事は知らず、騎士学校時代にモテていたことは、騎士学校には女性が少なかったことから、たまたま目についただけだろうと、あまり気に留めていなかった。しかし、感情を出さないようにしていたことはセレスティアにとっては常態となってしまい『氷の人形』というあだ名は払拭することなく、現在もそのままである。
「さ、カイエルそろそろ宿舎(おうち)に戻りましょうか?」
『ギャウ!』
カイエルは心得た!とばかりに返事をした。セレスティアの現在の住まいは、学生の騎士寮から竜騎士の寄宿舎へと移動している。竜騎士は大抵そこを住まいとしているが、一部は自宅から通っているものもいる。ちなみにユージィンは自宅組だ。
そうして、セレスティアはカイエルに跨り、寄宿舎へと飛んで帰った。帰りの道中では、カイエルの背の上から
「お給与が沢山もらえるようになったら、カイエルと二人で暮らせる家とか買ってもいいわよね!」
『ギャウギャウ!!』
「ふふ、カイエルもその方がいいのね?頑張ってお給与もらって貯めて、早く二人で暮らそうね♪」
『ギャウー!!』
「ふふ、カイエルも乗り気ね。」
セレスティアはカイエルが賛成してくれてることに、大いに満足していた。
カイエルはこのように、セレスティアには従順であるが、実はセレスティアの『竜の御目通り』をする前は今とは百八十度違ったのだ。
「カイエル、待たせてごめんね。」
『ギュルルル!!』
「ごめん、ごめん怒らないで。」
しかし様子を伺っていると、待たせたことに怒っているのかと思っていたのだが、どうも違うようだった。
「あ・・・そうか心配してくれていたのね?ありがとうカイエル。大丈夫よ。私はあの頃のようなもう子供じゃないもの。」
黒竜カイエルはフン、と鼻をならし、頭を下げて撫でろとセレスティアにせっついた。
「ふふ、カイエルは見かけに寄らず本当に甘えん坊さんね。」
などと言いつつも、セレスティアもまんざらではないので、カイエルにせがまれるまま顔を撫で、カイエルは機嫌を良くしていた。
セレスティアの相棒の飛竜は名はカイエル、黒い飛竜だ。見かけに寄らず、というのは実際印象としてはいかつい竜だからだ。ユージィンの飛竜イールは『紅玉の飛竜』と呼ばれるほど鮮やかな赤い鱗を持ち、また他の飛竜と比べ小柄だったわけだが、カイエルはまさに真逆で他の飛竜よりも大きい身体をしていた。そして黒金剛石を思わせるような、黒色と輝きをもつ鱗、そしてカイエルの顔も飛竜の中ではかなり獰猛な顔、いわゆる強面というやつなのだ。それでもセレスティアにとっては唯一無二の大事なパートナーだった。
「ふふ、今は叔父様の気持ちがよくわかるわ。カイエル、貴方がいるから、私は全然結婚したいだなんて思わないもの。むしろ人間の男なんて煩わしいわ。」
ユージィンはセレスティが幼い頃も独身だったが、実は今も現在進行形で独身貴族であった。
セレスティアはカイエルと接している時だけ、表情筋は昔のように動きがでる。
というのも、セレスティアは騎士学校に通ってから、表情筋の動きが少なくなってしまった。
実は容姿には恵まれたセレスティアは当人の思惑に関係なく騎士学校では大変モテたのだ。何せ騎士学校は女性の比率が圧倒的に少ないこともあって、セレスティアがモテる要因として拍車をかけたのだろう。だが、彼女は騎士ではなく、目指していたのは竜騎士だったため、当然のごとく恋愛をする気など毛頭なかった。セレスティアはユージィンとの約束を守る為、彼女は一心不乱に鍛錬や勉強を頑張っていた。
しかし騎士学校に通っている者全員が竜騎士を目指している訳ではなので、セレスティアにモーションを掛ける輩はかなりいたのだ。中には勘違いするの者も現れていた。
「君が微笑みかえるから!気持ちが通じてると思ったのに!」とか「勘違いさせるな!」
など、振られた男共の見苦しい言い訳だった訳だが、根が素直なセレスティアは自分が愛想よくすることで、勘違いさせてはいけないと、できるだけ表情を出さないように意識するようになった。
そうすると、元々纏っている色彩が寒色カラーだったこともあり、表情をださないことも合わさって、次第に愛想がない、近寄りがたいなど噂が流れ、そして影では『氷の人形』と通称されるようになったのだ。
そのあだ名のせいなのか、以前よりも告白されることがめっきりと減り、自分の騎士修行の妨げにならずにすんだことは返って都合がよかったと、セレスティア的には有りがたかった。
だが、実際は表情をあまりださなくなったことで、よりミステリアスな印象になってしまったセレスティアは、声を掛けるなど恐れおおい、ということから告白が減っただけの話で、水面下では彼女は相変わらずモテていたのだ。だが現在まで彼女はその事は知らず、騎士学校時代にモテていたことは、騎士学校には女性が少なかったことから、たまたま目についただけだろうと、あまり気に留めていなかった。しかし、感情を出さないようにしていたことはセレスティアにとっては常態となってしまい『氷の人形』というあだ名は払拭することなく、現在もそのままである。
「さ、カイエルそろそろ宿舎(おうち)に戻りましょうか?」
『ギャウ!』
カイエルは心得た!とばかりに返事をした。セレスティアの現在の住まいは、学生の騎士寮から竜騎士の寄宿舎へと移動している。竜騎士は大抵そこを住まいとしているが、一部は自宅から通っているものもいる。ちなみにユージィンは自宅組だ。
そうして、セレスティアはカイエルに跨り、寄宿舎へと飛んで帰った。帰りの道中では、カイエルの背の上から
「お給与が沢山もらえるようになったら、カイエルと二人で暮らせる家とか買ってもいいわよね!」
『ギャウギャウ!!』
「ふふ、カイエルもその方がいいのね?頑張ってお給与もらって貯めて、早く二人で暮らそうね♪」
『ギャウー!!』
「ふふ、カイエルも乗り気ね。」
セレスティアはカイエルが賛成してくれてることに、大いに満足していた。
カイエルはこのように、セレスティアには従順であるが、実はセレスティアの『竜の御目通り』をする前は今とは百八十度違ったのだ。
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