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88:さらばバランドール~前編~(シエラ)
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シエラ達は、アルカディアへ帰還することとなった。
シエラが拉致され、離宮から無事に帰ってきた時、ユーナは号泣していた。
「姫様!ご無事で、ご無事で本当にようございました!だけど、だけど、二度とあのような真似はなさらないでください!私如き、捨て駒として扱ってくださいませ!」
きつい言葉とは裏腹に、ユーナが心底シエラを心配していたのは、その様子をみれば一目瞭然であった。
「心配かけて、ごめんね。でもユーナ、その約束はできないわ。大事な人をみすみす死なすような真似は今後もできないもの。」
ユーナはシエラの言葉を聞いて、また号泣してしまった。
「!姫様!!本当に臣下として身に余る光栄でございます。姫様、私は貴方にずっと、一生仕えさせていただます。」
「勿論よ、ユーナには私が結婚しても付いてきてもらうんだから!」
ユーナはシエラの言葉を聞いて、涙が止まらなかった。屈んで蹲って泣いているユーナの背中をシエラはさすっていた。
その様子を皆は微笑ましく見つめていた。
事件の全容が明らかになったあと、バランドール王宮の謁見の間に関係者は集められた。
「此度は、皆の者大義であった!」
「「「「「はっ」」」」」
バランドール王は、シエラ王女に向き合った。
「シエラ王女、此度は本当にすまぬ。まさか水面下であのような陰謀があったとは・・・知らぬこととはいえ、わしの目が行き届いていなかった。当然謝って済む問題ではないのはわかっている。今のところ呪いはどうしようもないが、その代わりになるもので何かシエラ王女に報いれるものがあればと思う。その上で姫の希望を聞きたいのだが・・・」
さすがに王位継承権などという、内輪揉めで他国の王女を巻き込んでしまったことを、バランドール王は心から悔いていた。
「いいえ陛下、此度の件は確かに私は巻き込まれてしまい、今も理不尽な呪いは解けてはいませんが・・・それ以上に私には大切な出会いがあったのです。」
「というと?」
シエラは、アルバードを見つめ、バランドール王はそれを見て悟った。
「なるほど・・・そういうことか。」
「はい。ですので、私個人で何かして欲するものは特にございませんわ。」
シエラはにっこりと微笑んんだ。
「そうか、姫は欲がないのだな。」
「ですが、私個人ではありませんが、お願いはございます。」
「うむ、申してみよ。」
「この呪いの件で、無関係の方々が犠牲になっております。ですので、その人達の墓標と、あとはその関係者の肉親の方に、どうか手厚い支援をお願いしたく存じます。」
「・・・姫は、優しいのだな。本当にわしの娘になってほしかったよ。そなたなら、この魔力至上のバランドールの中でも、きっと上手く采配ができただろうに、誠に残念だ。あい分かった。必ず姫の意向にそうよう尽力しよう。」
バランドール王は、優しい眼差しをシエラに向けていた。
「陛下、身に余るお言葉ですわ。」
シエラはまたにっこりと微笑み淑女の礼をした。
バランドールを出立する前日の夜には、送別会パーティが開かれた。とはいえ、元々非公開でシエラ達はバランドールに来ているので、参加しているメンツは主に今回の事件に関わった関係者のみである。
「お姫様、いいの?」
「えぇ、私がこの姿の方が、バランドールの関係者も少しは安心すると思うの。」
「理由は、どうするの?」
「正直に言うわ。」
「お姫様いいの?!」
「ええ、なんだか私、随分と心が強くなったみたい。」
シエラは、イライザに微笑んだ。
「姫様、では今までは幼女寄り、といいますか可愛い系で合わせておりましたが、本来の姫様の年相応に合わせた支度に変えますわね。というか、それが本来なのですけど・・・」
「ええ、それでいいわ、ユーナよろしくね!」
「かしこまりました。」
今までは、イライザのアイテムで夜の大人の姿がそのまま幼女に見えるよう、幻惑をかけていたため、支度は幼女向きに合わせていたのだ。
「アルバード様が、シエラ様にぞっこんになりますよう、腕に縒りを掛けますわね!」
「ふふっ、期待しているわ。」
シエラが拉致され、離宮から無事に帰ってきた時、ユーナは号泣していた。
「姫様!ご無事で、ご無事で本当にようございました!だけど、だけど、二度とあのような真似はなさらないでください!私如き、捨て駒として扱ってくださいませ!」
きつい言葉とは裏腹に、ユーナが心底シエラを心配していたのは、その様子をみれば一目瞭然であった。
「心配かけて、ごめんね。でもユーナ、その約束はできないわ。大事な人をみすみす死なすような真似は今後もできないもの。」
ユーナはシエラの言葉を聞いて、また号泣してしまった。
「!姫様!!本当に臣下として身に余る光栄でございます。姫様、私は貴方にずっと、一生仕えさせていただます。」
「勿論よ、ユーナには私が結婚しても付いてきてもらうんだから!」
ユーナはシエラの言葉を聞いて、涙が止まらなかった。屈んで蹲って泣いているユーナの背中をシエラはさすっていた。
その様子を皆は微笑ましく見つめていた。
事件の全容が明らかになったあと、バランドール王宮の謁見の間に関係者は集められた。
「此度は、皆の者大義であった!」
「「「「「はっ」」」」」
バランドール王は、シエラ王女に向き合った。
「シエラ王女、此度は本当にすまぬ。まさか水面下であのような陰謀があったとは・・・知らぬこととはいえ、わしの目が行き届いていなかった。当然謝って済む問題ではないのはわかっている。今のところ呪いはどうしようもないが、その代わりになるもので何かシエラ王女に報いれるものがあればと思う。その上で姫の希望を聞きたいのだが・・・」
さすがに王位継承権などという、内輪揉めで他国の王女を巻き込んでしまったことを、バランドール王は心から悔いていた。
「いいえ陛下、此度の件は確かに私は巻き込まれてしまい、今も理不尽な呪いは解けてはいませんが・・・それ以上に私には大切な出会いがあったのです。」
「というと?」
シエラは、アルバードを見つめ、バランドール王はそれを見て悟った。
「なるほど・・・そういうことか。」
「はい。ですので、私個人で何かして欲するものは特にございませんわ。」
シエラはにっこりと微笑んんだ。
「そうか、姫は欲がないのだな。」
「ですが、私個人ではありませんが、お願いはございます。」
「うむ、申してみよ。」
「この呪いの件で、無関係の方々が犠牲になっております。ですので、その人達の墓標と、あとはその関係者の肉親の方に、どうか手厚い支援をお願いしたく存じます。」
「・・・姫は、優しいのだな。本当にわしの娘になってほしかったよ。そなたなら、この魔力至上のバランドールの中でも、きっと上手く采配ができただろうに、誠に残念だ。あい分かった。必ず姫の意向にそうよう尽力しよう。」
バランドール王は、優しい眼差しをシエラに向けていた。
「陛下、身に余るお言葉ですわ。」
シエラはまたにっこりと微笑み淑女の礼をした。
バランドールを出立する前日の夜には、送別会パーティが開かれた。とはいえ、元々非公開でシエラ達はバランドールに来ているので、参加しているメンツは主に今回の事件に関わった関係者のみである。
「お姫様、いいの?」
「えぇ、私がこの姿の方が、バランドールの関係者も少しは安心すると思うの。」
「理由は、どうするの?」
「正直に言うわ。」
「お姫様いいの?!」
「ええ、なんだか私、随分と心が強くなったみたい。」
シエラは、イライザに微笑んだ。
「姫様、では今までは幼女寄り、といいますか可愛い系で合わせておりましたが、本来の姫様の年相応に合わせた支度に変えますわね。というか、それが本来なのですけど・・・」
「ええ、それでいいわ、ユーナよろしくね!」
「かしこまりました。」
今までは、イライザのアイテムで夜の大人の姿がそのまま幼女に見えるよう、幻惑をかけていたため、支度は幼女向きに合わせていたのだ。
「アルバード様が、シエラ様にぞっこんになりますよう、腕に縒りを掛けますわね!」
「ふふっ、期待しているわ。」
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