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72:バランドール第一王子~後編~(シエラ)

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 「俺は・・・第一王子とはいえ、魔力は少ないし、側室の子供です。だから諦めもつきますが、ライルはそういう訳にはいきません。正妃の子供で、魔力も期待に応えるだけ充分にありましたからね。あいつは俺と違って、自分の王太子という立場もよく理解していました。だからそれに恥じぬよう頑張っていたのを、俺は見ていたのでよく知っているんですよ。」

 ・・・ロリ〇ンの変態王子とか思ってたけど、ライル王子は努力してこられたんだ。変態王子とか思ってて悪い事しちゃったわ。思えば、ミランダ様の側室選出も、あの時(浮気現場目撃時)確かに強固な後ろ盾が欲しいとか言ってたものね。自分のことより、国を優先してちゃんと考えていらっしゃったんだわ。

 「ごめんなさい。」

 「え?何がですか?」

 突然謝られて、ランスロットは困惑していた。

 「またお会いした時に謝罪させていただくけど・・・私ライル王子のこと少し誤解していたようです。」

 「あぁ、そういうことでしたか。まぁそれは一部はあながち間違いはないかと思いますので、お気になさらくて大丈夫ですよ。」
 
 と、爽やかな笑顔で言われたけど、あれ?それってもしや弟がロリ〇ンって知ってたりする?!

 「それにしても・・・噂を聞いてはいましたが、想像以上にお美しくて驚きましたよ。あの時必死で、話を合わせようとしていましたが、感情を出さないようにするのが大変でした。」

 実はランスロットはシエラを見た瞬間、想像してた以上に美しかったシエラを見て、ドキリとしたが、必死で平静を装っていたのだ。 
 
 ひゃ~何をサラって言ってくれてるのよ!ここのところずっと幼女だったから、『可愛い』はよく聞いたけど『美しい』なんて久々に聞いたから、ちょっとドキっとしちゃったじゃない!

 「あ、ありがとうございます。」

 シエラの恥ずかしそうな姿にランスロットは思わず、

 「・・・本当に、俺が婚約者になりたかったですね。」

 「えっ?!」

 「あぁ、すみません!あんまり言うと、困らせてしまいますね。アルバード卿にも怒られるだろうし。」

 慌てふためいてるランスロット王子の様子があまりにも先ほどとはギャップがありすぎて、思わず笑ってしまった。
 
 「ふふっ、ランスロット王子は先ほどの感じとは全然違いますね。」

 「ホントは、ああいう感じは苦手なんですよ。一応これでも王子なので、意図的に威圧感を出してはいますけどね。正直なところ今の方が楽ですね。」

はにかんで笑うその様は、確かに王子というよりは好青年といった方がしっくりときた。ライル王子が、ザ・王子様って感じならランスロット王子は爽やか系イケメンって感じかしら?

 あ、そう言えば・・・

 「ところで、よく私がシエラとわかりましたね?アルバードやイライザさんから聞いたのですか?」

 不思議だった。だって、ランスロット王子とは面識なかったものね。

 「あぁ、はい。伺っていました。でないと、俺も流石に元の姿のシエラ嬢とはお会いしたことはなかったですからね。『元の姿に戻っても、髪や瞳の色彩は変わっていないし、幼い頃の面影は残ってるから、よく見たらわかる』って言われていました。あと、アルバ―ド卿とユーナさんはものずごい美人だと力説してましたしね。イライザさんは可愛いを強調していましたが。先ほどお会いした時は、確かにものすごい美人さんでしたので、迷わずシエラ王女だと確信できましたよ。」

 と、いい笑顔でランスロット王子は言ってるけど・・・あの人達、何を言ってるのよ~~!!ランスロット王子もサラっと褒めるのやめてえ~~どんな羞恥プレイよ!
 シエラは顔から火が噴出しそうなくらい、恥ずかしかった!
 あっ!もしかして、夜だけ元に戻れる理由も聞いているのかしら?

 「ですけど、不思議ですね。夜だけ戻れるなんて。それを聞いた時、皆驚いていましたよ。」

 「そ、そうねぇ、不思議なこともあるものですね。」

 良かった!バレてない!だって恥ずかしくて言えないわよ!片思いだから夜だけ戻れるんです。なんて!

 「あ、もう一つ不思議なのですが、どうして私がここにいるとわかったのですか?」

 「あぁ・・・それは、元々目星は付けていたのですよ。」

 !え?それってもしや・・・
 
 「失礼ですけど、元々ブリギッド様を疑っていらっしゃったってことですか?」

 「・・・仰る通りです。」

 そう言ったランスロット王子の顔は寂しそうだった。そりゃそうよね。自分の母親を疑うなんて、誰だって悲しい気持ちになるもの。

 「では、ここに至るまでの経緯をお話します。」

 その内容は、私が拉致された後の話しだった。
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