67 / 100
67:囚われの王女(シエラ)
しおりを挟む
・・・わかってはいるのよ、きっとユーナは泣いて泣いて、ひたすら謝って・・・きっと今は居た堪れない心境になっていることも、私の独りよがりだということもわかってはいるのよ。それでも・・・私には見殺しにするなどできなかったのよ。だから後悔なんてしていない。でも、ごめんね。きっとユーナは今辛いだろうね。あの護衛騎士も、私の護衛なんかしなければ、殺されることもなかっただろうに、本当にごめんなさい。
私は自分が今どこにいるのか、わかっていないんだけど(何せマントでおおわれて、視界が真っ暗だったのよ)わかっているのは、連れ出された王宮からそう離れていない場所らしいということはわかっている。
鳥のような生き物に乗せられたんだけど、割とすぐに違う場所に到着したのよ。そのまま目隠しをされていたから場所はよくわからなくて、そのままどこかわかない部屋に監禁されてしまった。そこで、目隠しは外されたのだけど・・・ここが恐らく身分の高い人の住まいであろうというのは、部屋の様子を見てわかったわ。置いてあるものが高価なんだもの。
だけど、うっかり忘れてたのよね・・・
夜になると元の大人の姿になるってことを!!
どうしよう・・・幻惑用のネックレスはヤンギルド長に投げちゃったし。服はイライザさんの魔法仕立てで何とも都合よく大人になったら、ちゃんとサイズが大人用になるよう術を施してもらってるから、そこは安心なんだけどね。だけど元の姿なんか見られたりなんかしたら、あの魔人トリスタンの研究意欲というか、変に刺激をするというか・・・できるだけ見せたくないのよね。
もう少ししたら、夜になる。アルバードが助けに来てくれるまでには、なんとしても隠し通さないと!とは、思ったものの・・・
「うーん、どうしようかしら・・・」
「何がどうするんですかねぇ?」
「!!」
「だから、どうするんですかねぇ?」
トリスタンがいつの間にか部屋に入ってきたのを知らなかった。私を見下ろしてて怖い!
「女性の部屋にノックもしないで、入るには失礼じゃないかしら?」
だけど、腹も立ったのでまずは抗議した。
「これはこれは失礼しました。ノックはしたんですよぉ?ですが返事がなかったもので。」
あ、考え事してたから気付いてなかったのかも!それでもっよ!
「それでも、返事があるまで、待機するのが礼儀ではありませんか?」
フンだ!だからって、淑女がいる部屋に気安く入るんじゃないわよ!
「くくくっ、王女様はなかなか気が強いですなぁ。」
そういうと、トリスタンはニヤリと私に笑った。
シエラはその様を見て、ゾクッとした。
怖い!そうだ、こいつは何人も人を殺してるんだ!
「・・・私をどうするつもり?」
「貴方がヤン・リーリンに言っていた通りですよ。私はシエラ王女の『祝福』に非常に興味があるのですよぉ。何せ私の渾身の出来のオルゴールの呪殺効果を無効化してくれましたからねぇ?」
「おあいにく様ね!あのイライザさんだって、まだ私の『祝福』は解明できていないのよ?貴方がそれをできるとは思えないわ。」
「くくっ、まさにソレですよ、ソレ!!」
「?」
「あの黒の魔女が解明できなかったものが、私が解明できたらどうします?あの黒の魔女の悔しそうな顔を想像したら・・・クフフフ、堪らないじゃないないですかぁ。」
そう言いながら、トリスタンはソレを想像しているのか、恍惚の表情を浮かべていた。
やだーー!こいつもまた別の種類の変態じゃない!!もう、ホントにやだ!!!
シエラは嫌悪感が止まらなかった。
「そう簡単に事が上手くいくかしらね?きっと私を助けに精鋭がくるわよ?」
これは、本心だ。絶対にアルバードは来てくれる!
「そうでしょうねぇ、あのヤン・リーリンが居たくらいですし、イライザも・・・そして貴方の婚約者も?」
!!こいつ・・・知ってて!私は腹が立ってきて、そっぽを向いた。
「おや?図星?それともお怒りな様子かなぁ?」
シエラは、だんばりを決め込んだ。すると、それにイラっときたトリスタンは、いきなりシエラの顎を無理やりつかみ自分の顔に近づけた。
!!
「おい、身分はともかく、今の状況は私が上なんだよ。ちょっとは自分の立場を理解したらどうだ?」
トリスタンは先ほどまでの口調とは違い、どすの利いた声で、シエラに言い聞かせた。
だが、それでもシエラは反抗的な態度を改めることはなかった。
「ふん!」
「くっくっくっくっ、本当に面白い。」
だが、そんなシエラの様子をトリスタンは面白そうに見て、
「・・・幼女を襲う趣味はありませんがねぇ・・・貴方の『祝福』が何なのか調べるためにも、そういうのを試すのも有りなんですよ?・・・言ってる意味わかりますよねぇ?」
「!!!」
トリスタンは、わざわざシエラの耳元でそれを言ってのけた。そして、見下ろしてシエラが動揺しているのをほくそ笑んでいた。
「ふふっ、後で夕飯は届けて差し上げますよ。今日はいろいろあってお疲れだと思いますから、この辺で。明日からはいろいろと・・・ねぇ。それでは。」
意味深な言葉を残し、トリスタンは部屋から出て行った。
シエラは、先ほどトリスタンが言った言葉の意味がわからぬほど、初心ではなかった。
い・・いや!嫌ぁあ!!
アルバード!助けて!!このままじゃ、私・・・私、アルバード以外に触れられなくない!!お願い、早く私を助けて!!!
シエラは、震える自分の小さな体を、己の両手で抑え込んでいた。
私は自分が今どこにいるのか、わかっていないんだけど(何せマントでおおわれて、視界が真っ暗だったのよ)わかっているのは、連れ出された王宮からそう離れていない場所らしいということはわかっている。
鳥のような生き物に乗せられたんだけど、割とすぐに違う場所に到着したのよ。そのまま目隠しをされていたから場所はよくわからなくて、そのままどこかわかない部屋に監禁されてしまった。そこで、目隠しは外されたのだけど・・・ここが恐らく身分の高い人の住まいであろうというのは、部屋の様子を見てわかったわ。置いてあるものが高価なんだもの。
だけど、うっかり忘れてたのよね・・・
夜になると元の大人の姿になるってことを!!
どうしよう・・・幻惑用のネックレスはヤンギルド長に投げちゃったし。服はイライザさんの魔法仕立てで何とも都合よく大人になったら、ちゃんとサイズが大人用になるよう術を施してもらってるから、そこは安心なんだけどね。だけど元の姿なんか見られたりなんかしたら、あの魔人トリスタンの研究意欲というか、変に刺激をするというか・・・できるだけ見せたくないのよね。
もう少ししたら、夜になる。アルバードが助けに来てくれるまでには、なんとしても隠し通さないと!とは、思ったものの・・・
「うーん、どうしようかしら・・・」
「何がどうするんですかねぇ?」
「!!」
「だから、どうするんですかねぇ?」
トリスタンがいつの間にか部屋に入ってきたのを知らなかった。私を見下ろしてて怖い!
「女性の部屋にノックもしないで、入るには失礼じゃないかしら?」
だけど、腹も立ったのでまずは抗議した。
「これはこれは失礼しました。ノックはしたんですよぉ?ですが返事がなかったもので。」
あ、考え事してたから気付いてなかったのかも!それでもっよ!
「それでも、返事があるまで、待機するのが礼儀ではありませんか?」
フンだ!だからって、淑女がいる部屋に気安く入るんじゃないわよ!
「くくくっ、王女様はなかなか気が強いですなぁ。」
そういうと、トリスタンはニヤリと私に笑った。
シエラはその様を見て、ゾクッとした。
怖い!そうだ、こいつは何人も人を殺してるんだ!
「・・・私をどうするつもり?」
「貴方がヤン・リーリンに言っていた通りですよ。私はシエラ王女の『祝福』に非常に興味があるのですよぉ。何せ私の渾身の出来のオルゴールの呪殺効果を無効化してくれましたからねぇ?」
「おあいにく様ね!あのイライザさんだって、まだ私の『祝福』は解明できていないのよ?貴方がそれをできるとは思えないわ。」
「くくっ、まさにソレですよ、ソレ!!」
「?」
「あの黒の魔女が解明できなかったものが、私が解明できたらどうします?あの黒の魔女の悔しそうな顔を想像したら・・・クフフフ、堪らないじゃないないですかぁ。」
そう言いながら、トリスタンはソレを想像しているのか、恍惚の表情を浮かべていた。
やだーー!こいつもまた別の種類の変態じゃない!!もう、ホントにやだ!!!
シエラは嫌悪感が止まらなかった。
「そう簡単に事が上手くいくかしらね?きっと私を助けに精鋭がくるわよ?」
これは、本心だ。絶対にアルバードは来てくれる!
「そうでしょうねぇ、あのヤン・リーリンが居たくらいですし、イライザも・・・そして貴方の婚約者も?」
!!こいつ・・・知ってて!私は腹が立ってきて、そっぽを向いた。
「おや?図星?それともお怒りな様子かなぁ?」
シエラは、だんばりを決め込んだ。すると、それにイラっときたトリスタンは、いきなりシエラの顎を無理やりつかみ自分の顔に近づけた。
!!
「おい、身分はともかく、今の状況は私が上なんだよ。ちょっとは自分の立場を理解したらどうだ?」
トリスタンは先ほどまでの口調とは違い、どすの利いた声で、シエラに言い聞かせた。
だが、それでもシエラは反抗的な態度を改めることはなかった。
「ふん!」
「くっくっくっくっ、本当に面白い。」
だが、そんなシエラの様子をトリスタンは面白そうに見て、
「・・・幼女を襲う趣味はありませんがねぇ・・・貴方の『祝福』が何なのか調べるためにも、そういうのを試すのも有りなんですよ?・・・言ってる意味わかりますよねぇ?」
「!!!」
トリスタンは、わざわざシエラの耳元でそれを言ってのけた。そして、見下ろしてシエラが動揺しているのをほくそ笑んでいた。
「ふふっ、後で夕飯は届けて差し上げますよ。今日はいろいろあってお疲れだと思いますから、この辺で。明日からはいろいろと・・・ねぇ。それでは。」
意味深な言葉を残し、トリスタンは部屋から出て行った。
シエラは、先ほどトリスタンが言った言葉の意味がわからぬほど、初心ではなかった。
い・・いや!嫌ぁあ!!
アルバード!助けて!!このままじゃ、私・・・私、アルバード以外に触れられなくない!!お願い、早く私を助けて!!!
シエラは、震える自分の小さな体を、己の両手で抑え込んでいた。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる