64 / 100
64:来襲(シエラ)
しおりを挟む
アルバード達が、魔人の住処に行った同時刻____
シエラの部屋には、シエラとユーナ、そしてドアの内側と外側には護衛騎士が二名ずつ立っていた。
「アルバード、大丈夫かしら?」
「ご心配なのはわかりますが、アルバード様はSランク冒険者ですから、余程の事がない限り大丈夫ですよ。」
「・・・相手は、イライザさんと張るくらいの魔法使いなのでしょ?(まぁイライザさん曰く、私の方が上!とは言ってたけど)その余程のことになったらどうしよう・・・」
シエラはポソっと言ってしまったが、
「それは・・・えーと、とっとにかくイライザさんもご一緒のようですし、大丈夫ですよ!」
ユーナも言ったものの根拠はなかったが、二人でいるのなら、大丈夫だろうと思ったのは間違いなかった。
「それにしても、まさかそのネックレスに防御魔法まで付与されているなんて、さすがイライザ様ですよねぇ。」
「ねぇ、私もびっくりしちゃった。」
イライザさんからは、くれぐれもネックレスを外すなって言われちゃった。何があるかわからないからって。
「黒幕・・・捕まるのかしら。」
「そうだといいですねぇ。」
うん、本当に。そうしたら私の呪いも解けて、もしかしたら私がちゃんと元に戻れたら、大人の女の姿になれたなら、アルバードと両想いになれるかもしれないもん。
シエラは、自分が今幼女だから、アルバードと両想いになれないのかも、と思い始めていたのだ。アルバードの反応を見る限りでは、シエラの事は少なからず好意は持ってくれているようだと、シエラ自身も確信はしていた。だが、見かけが幼女なばかりに、恋愛感情まで踏み切れないのでは?と考えていた。シエラは気付いていないが、本来の呪いの解呪の為の両想いではなく、純粋にアルバードと結ばれたいと思うようになっていた。
まぁ・・・そういう意味では、アルバードはロリ〇ンではなかったってことで、そこは良かったんだけどね・・・
なんてことを思いながら、シエラはお茶を飲んでいたのだが、ここで異変が起きた。
「うっ・・・なんだ・・・急に眠気が・・・」
「なん・・でこんな・・・時に?」
護衛の二人が強烈な眠気に襲われていた。
「え?どういうこと・・?」
シエラは一体何が起こったのか、訳が分からなかった。
「シエラ殿下!・・・お逃げ・・・くださ・・い!」
「申し・・・わけ・・・・」
そう言うと、バタン!!と二人共倒れてしまった。
「「!!!」」
「大丈夫?!」
シエラは慌てて、倒れた護衛騎士に駆け寄りにいこうとしたが、ユーナの様子もおかしくなっていることに気付いた。
「ひ・・姫様、何があっても・・・何があっても、決して・・・屈してはいけませ・・・ん!!」
「ユーナ?」
「に・・げ・・・て・・」
ユーナもそう言うなり、倒れてしまった。
「ユーナ!!!」
シエラはユーナに慌てて駆け寄った。そしてよく見れば、
「すー・・・・」
ユーナは寝息をたてていた。
「え?寝てる??」
もしやと思い、護衛騎士にも駆け寄ると、
「すぴーー・・・」
「ぐぅ・・・・」
同じく、護衛騎士も寝ていたのだ。
「え?寝てるの??!!」
そう、護衛騎士と、ユーナは寝てしまったのだ。
!!!
シエラは瞬時に悟った。黒幕の仕業だと。
すると、ドアが開き、見知らぬ男がそこから現れた。
「ほう・・・流石ですな。イライザが何か仕掛けを施したのか、貴方の『祝福』のせいなのか、どちらの効力が私の睡眠魔法を跳ねのけているのでしょうかねぇ。」
その侵入者は、どういう訳だか堂々とドアから入ってきた。その風貌は、長めの黒髪を後ろで束ねた、中肉中背といった背恰好であったが、そのギラついた目の赤い瞳がまさに聞いていた『魔人』の特徴であった。
「・・・貴方が、私に呪いをかけた張本人ね?」
シエラは内心は恐ろしかった。だが、シエラは王族の矜持故、臆した態度を出さないよう、その男に問うた。
「ほう、私を見ても、怯むことがないとは、さすがは王族といったところでしょうかねぇ。」
「質問に答えて!」
「これはこれは、シエラ王女失礼しました。仰るとおり確かに私が貴方に呪いをかけましたよぉ。」
男がニヤリと笑ったその瞬間、その男にめがけて何かが飛んできた。しかし___
「くくっ、確か東の国の『クナイ』とかいう武器でしたかねぇ?」
放たれた『クナイ』はカンカン!という音と共に見えない壁に跳ね返されてしまった。
「・・・結界か。」
そう言うや否や、シエラを庇うように前に立ちはだかったのは、黒い衣服を纏い顔半分を黒いマスクで覆った、ヤン・リーリンだった。
シエラの部屋には、シエラとユーナ、そしてドアの内側と外側には護衛騎士が二名ずつ立っていた。
「アルバード、大丈夫かしら?」
「ご心配なのはわかりますが、アルバード様はSランク冒険者ですから、余程の事がない限り大丈夫ですよ。」
「・・・相手は、イライザさんと張るくらいの魔法使いなのでしょ?(まぁイライザさん曰く、私の方が上!とは言ってたけど)その余程のことになったらどうしよう・・・」
シエラはポソっと言ってしまったが、
「それは・・・えーと、とっとにかくイライザさんもご一緒のようですし、大丈夫ですよ!」
ユーナも言ったものの根拠はなかったが、二人でいるのなら、大丈夫だろうと思ったのは間違いなかった。
「それにしても、まさかそのネックレスに防御魔法まで付与されているなんて、さすがイライザ様ですよねぇ。」
「ねぇ、私もびっくりしちゃった。」
イライザさんからは、くれぐれもネックレスを外すなって言われちゃった。何があるかわからないからって。
「黒幕・・・捕まるのかしら。」
「そうだといいですねぇ。」
うん、本当に。そうしたら私の呪いも解けて、もしかしたら私がちゃんと元に戻れたら、大人の女の姿になれたなら、アルバードと両想いになれるかもしれないもん。
シエラは、自分が今幼女だから、アルバードと両想いになれないのかも、と思い始めていたのだ。アルバードの反応を見る限りでは、シエラの事は少なからず好意は持ってくれているようだと、シエラ自身も確信はしていた。だが、見かけが幼女なばかりに、恋愛感情まで踏み切れないのでは?と考えていた。シエラは気付いていないが、本来の呪いの解呪の為の両想いではなく、純粋にアルバードと結ばれたいと思うようになっていた。
まぁ・・・そういう意味では、アルバードはロリ〇ンではなかったってことで、そこは良かったんだけどね・・・
なんてことを思いながら、シエラはお茶を飲んでいたのだが、ここで異変が起きた。
「うっ・・・なんだ・・・急に眠気が・・・」
「なん・・でこんな・・・時に?」
護衛の二人が強烈な眠気に襲われていた。
「え?どういうこと・・?」
シエラは一体何が起こったのか、訳が分からなかった。
「シエラ殿下!・・・お逃げ・・・くださ・・い!」
「申し・・・わけ・・・・」
そう言うと、バタン!!と二人共倒れてしまった。
「「!!!」」
「大丈夫?!」
シエラは慌てて、倒れた護衛騎士に駆け寄りにいこうとしたが、ユーナの様子もおかしくなっていることに気付いた。
「ひ・・姫様、何があっても・・・何があっても、決して・・・屈してはいけませ・・・ん!!」
「ユーナ?」
「に・・げ・・・て・・」
ユーナもそう言うなり、倒れてしまった。
「ユーナ!!!」
シエラはユーナに慌てて駆け寄った。そしてよく見れば、
「すー・・・・」
ユーナは寝息をたてていた。
「え?寝てる??」
もしやと思い、護衛騎士にも駆け寄ると、
「すぴーー・・・」
「ぐぅ・・・・」
同じく、護衛騎士も寝ていたのだ。
「え?寝てるの??!!」
そう、護衛騎士と、ユーナは寝てしまったのだ。
!!!
シエラは瞬時に悟った。黒幕の仕業だと。
すると、ドアが開き、見知らぬ男がそこから現れた。
「ほう・・・流石ですな。イライザが何か仕掛けを施したのか、貴方の『祝福』のせいなのか、どちらの効力が私の睡眠魔法を跳ねのけているのでしょうかねぇ。」
その侵入者は、どういう訳だか堂々とドアから入ってきた。その風貌は、長めの黒髪を後ろで束ねた、中肉中背といった背恰好であったが、そのギラついた目の赤い瞳がまさに聞いていた『魔人』の特徴であった。
「・・・貴方が、私に呪いをかけた張本人ね?」
シエラは内心は恐ろしかった。だが、シエラは王族の矜持故、臆した態度を出さないよう、その男に問うた。
「ほう、私を見ても、怯むことがないとは、さすがは王族といったところでしょうかねぇ。」
「質問に答えて!」
「これはこれは、シエラ王女失礼しました。仰るとおり確かに私が貴方に呪いをかけましたよぉ。」
男がニヤリと笑ったその瞬間、その男にめがけて何かが飛んできた。しかし___
「くくっ、確か東の国の『クナイ』とかいう武器でしたかねぇ?」
放たれた『クナイ』はカンカン!という音と共に見えない壁に跳ね返されてしまった。
「・・・結界か。」
そう言うや否や、シエラを庇うように前に立ちはだかったのは、黒い衣服を纏い顔半分を黒いマスクで覆った、ヤン・リーリンだった。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる