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39:聖女ヴァイオレット(アルバード)
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「おぉ!ヴァイオレットもこっちに来ていたのか?」
懐かしいな。調度俺が、侯爵領に戻る前の最後の依頼を一緒にした時以来だ。・・・ダジャレじゃないぞ!
「えぇ、『特別依頼』を受けたものだから、バランドールに来ていたの。」
実は、この聖女ヴァイオレットは俺と同じ、貴族の出身だったりする。なので、俺が貴族なことを知っている数少ない冒険者仲間だ。
この世界には数人の聖女がいるのだが、彼女たちは冒険者ではない。『特別依頼』が発生した時のみ、そして聖女の力が必要と判断されたと時のみに冒険者とパーティを組むのだ。
聖女の許可については、各国にある神殿の判断が必要になっている。聖女は回復や治癒魔法のエキスパートだ。持って生まれた資質が常人とは逸脱している。ゆえに魔力量も多い。そして聖女というくらいなので、光魔法を得意とし、主に闇魔法に対応しうる手段として用いられることが多いのだ。だが、聖女は貴重な存在なため、必ずお目付け役とも言われる『守護者(ガーディアン)』が傍についている。
「あぁ、確かに、依頼でもないと、聖女はギルドにはいないもんな!」
「えぇ、そうですの。それで・・・アルバードはどうしてここに?冒険者は引退して侯爵になると聞いていましたし、まさかここで会うとは思っても見なかったですわ。」
「あぁ、ちょっと野暮用でね。それで急遽入用な物があったから、狩りに来てみたってわけ。で、掲示板見てたところだよ。」
「まぁ、そうなんですね。私、あちら(アルカディア)で会えると思って楽しみにしていたのに、アルバードったら、侯爵領に行っちゃうしで、とても残念だったのよ?」
あーそういや、何度か手紙来てたな、面倒だったから、忙しいってことで(いや、本当に忙しかったんだけどね!)手紙のやり取りも切り上げて、それっきりだったもんな。ちょっと悪い事したかな?
「あー、経営学やら覚えることが多くてね、俺余裕がなかったら、悪かったな。」
「いいえ、忙しかったのなら仕方ないことですわ。それに・・・こうしてまさか、バランドールで再会できるなんて・・・運命を感じません?」
ヴァイオレットは、上目遣いにアルバートを見つめた。
「あぁ偶然にしては凄いよな!」
だが効果はなかったようだ!
「相変わらず、鈍いわね・・・」
「え?何か言った?」
「いいえ、何でも!」
ヴァイオレットが初めてアルバードに会ったのは、聖女になってから初めて『特別依頼』を受けた時だ。そのパーティでアルバードが一緒だったのだ。そこからずっとアルバードのことが好きだった。
それから度たび『特別依頼』でアルバードと一緒になることもあったので、果敢にアタックするも、アルバードは色恋沙汰には疎いため、恋愛感情からではなく、兄として慕ってくれているんだな、くらいにしか思われていなかった。
アルバードにすれば、ヴァイオレットは10歳離れていたので、妹ような気持ちで接していたのである。
ヴァイオレット・イル・ベルゲン子爵令嬢、・茶色の長いストレートの髪に紫色の瞳。ヴァイオレットの名は紫の瞳の色からちなんで付けられたものである。目の大きな可愛い系の庇護欲のそそる美少女だぞ!
「狩りって、ちなみに何を狩るのかしら?」
「あぁ、バジリスクを狩るつもりにしてるよ。」
「まぁ、バジリスクの・・・何か大掛かりそうね。」
あ、ヤベ、言わない方が良かったかな? ま、詳細に言わなきゃいいっしょ。それにあんなデカい奴、どのみち人の口に戸は立てられないからいいか。
「まぁな。それ以上は守秘義務ってことで。」
「えー?、私とアルバードとの仲なのに?」
いや、普通に仕事仲間だっただろ。
「おいおい、いくらかつての仲間だからといって、ペラペラ言えねぇだろ。」
俺は少し困った。というのも、ヴァイオレットはこういう時、結構しつこく食い下がってくることがあるのを、既に経験上知っているからだ。
「えーどうして?私なら力を貸してあげられるかもよ?」
「そうだよな。でももしその必要がある時はちゃんと改めて依頼をさせてもらうから。」
「そんな、固い言わなくてもいいのに。」
ヴァイオレットは口を尖がらせていた。
「いや、特別扱いはダメだろ。」
それに、シエラ嬢のことを簡単に話すわけにはいかないからな。
「・・・はーい。」
うん、今回は割と早く引いてくれた、よかった。
「いや、でもその気持ちは嬉しいよ。ヴァイオレットありがとうな。」
おれがヴァイオレットの頭をポンポンと撫でた。
「もう、アルバードは相変わらず子供扱い。」
「ははは。」
「ね、久しぶりに話したいわ。どこかで時間取れない?」
「あーごめん。俺仕事できてるから、今回余裕ないんだわ。」
「えーそうなの、残念・・・。」
まぁ、昔からヴァイオレットは俺に懐いてくれていたからなー。
散々でているが、アルバードは激ニブである。ヴァイオレットはあからさまに好きという態度を昔から出しているが、アルバードは、兄のように慕っているんだな、ぐらいの感覚でしかない!
「ヴァイオレット様!」
そこへ聞き覚えのある声が聞こえた。
懐かしいな。調度俺が、侯爵領に戻る前の最後の依頼を一緒にした時以来だ。・・・ダジャレじゃないぞ!
「えぇ、『特別依頼』を受けたものだから、バランドールに来ていたの。」
実は、この聖女ヴァイオレットは俺と同じ、貴族の出身だったりする。なので、俺が貴族なことを知っている数少ない冒険者仲間だ。
この世界には数人の聖女がいるのだが、彼女たちは冒険者ではない。『特別依頼』が発生した時のみ、そして聖女の力が必要と判断されたと時のみに冒険者とパーティを組むのだ。
聖女の許可については、各国にある神殿の判断が必要になっている。聖女は回復や治癒魔法のエキスパートだ。持って生まれた資質が常人とは逸脱している。ゆえに魔力量も多い。そして聖女というくらいなので、光魔法を得意とし、主に闇魔法に対応しうる手段として用いられることが多いのだ。だが、聖女は貴重な存在なため、必ずお目付け役とも言われる『守護者(ガーディアン)』が傍についている。
「あぁ、確かに、依頼でもないと、聖女はギルドにはいないもんな!」
「えぇ、そうですの。それで・・・アルバードはどうしてここに?冒険者は引退して侯爵になると聞いていましたし、まさかここで会うとは思っても見なかったですわ。」
「あぁ、ちょっと野暮用でね。それで急遽入用な物があったから、狩りに来てみたってわけ。で、掲示板見てたところだよ。」
「まぁ、そうなんですね。私、あちら(アルカディア)で会えると思って楽しみにしていたのに、アルバードったら、侯爵領に行っちゃうしで、とても残念だったのよ?」
あーそういや、何度か手紙来てたな、面倒だったから、忙しいってことで(いや、本当に忙しかったんだけどね!)手紙のやり取りも切り上げて、それっきりだったもんな。ちょっと悪い事したかな?
「あー、経営学やら覚えることが多くてね、俺余裕がなかったら、悪かったな。」
「いいえ、忙しかったのなら仕方ないことですわ。それに・・・こうしてまさか、バランドールで再会できるなんて・・・運命を感じません?」
ヴァイオレットは、上目遣いにアルバートを見つめた。
「あぁ偶然にしては凄いよな!」
だが効果はなかったようだ!
「相変わらず、鈍いわね・・・」
「え?何か言った?」
「いいえ、何でも!」
ヴァイオレットが初めてアルバードに会ったのは、聖女になってから初めて『特別依頼』を受けた時だ。そのパーティでアルバードが一緒だったのだ。そこからずっとアルバードのことが好きだった。
それから度たび『特別依頼』でアルバードと一緒になることもあったので、果敢にアタックするも、アルバードは色恋沙汰には疎いため、恋愛感情からではなく、兄として慕ってくれているんだな、くらいにしか思われていなかった。
アルバードにすれば、ヴァイオレットは10歳離れていたので、妹ような気持ちで接していたのである。
ヴァイオレット・イル・ベルゲン子爵令嬢、・茶色の長いストレートの髪に紫色の瞳。ヴァイオレットの名は紫の瞳の色からちなんで付けられたものである。目の大きな可愛い系の庇護欲のそそる美少女だぞ!
「狩りって、ちなみに何を狩るのかしら?」
「あぁ、バジリスクを狩るつもりにしてるよ。」
「まぁ、バジリスクの・・・何か大掛かりそうね。」
あ、ヤベ、言わない方が良かったかな? ま、詳細に言わなきゃいいっしょ。それにあんなデカい奴、どのみち人の口に戸は立てられないからいいか。
「まぁな。それ以上は守秘義務ってことで。」
「えー?、私とアルバードとの仲なのに?」
いや、普通に仕事仲間だっただろ。
「おいおい、いくらかつての仲間だからといって、ペラペラ言えねぇだろ。」
俺は少し困った。というのも、ヴァイオレットはこういう時、結構しつこく食い下がってくることがあるのを、既に経験上知っているからだ。
「えーどうして?私なら力を貸してあげられるかもよ?」
「そうだよな。でももしその必要がある時はちゃんと改めて依頼をさせてもらうから。」
「そんな、固い言わなくてもいいのに。」
ヴァイオレットは口を尖がらせていた。
「いや、特別扱いはダメだろ。」
それに、シエラ嬢のことを簡単に話すわけにはいかないからな。
「・・・はーい。」
うん、今回は割と早く引いてくれた、よかった。
「いや、でもその気持ちは嬉しいよ。ヴァイオレットありがとうな。」
おれがヴァイオレットの頭をポンポンと撫でた。
「もう、アルバードは相変わらず子供扱い。」
「ははは。」
「ね、久しぶりに話したいわ。どこかで時間取れない?」
「あーごめん。俺仕事できてるから、今回余裕ないんだわ。」
「えーそうなの、残念・・・。」
まぁ、昔からヴァイオレットは俺に懐いてくれていたからなー。
散々でているが、アルバードは激ニブである。ヴァイオレットはあからさまに好きという態度を昔から出しているが、アルバードは、兄のように慕っているんだな、ぐらいの感覚でしかない!
「ヴァイオレット様!」
そこへ聞き覚えのある声が聞こえた。
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