上 下
26 / 100

26:王子様とお茶会(シエラ)

しおりを挟む
 アルバード達が、魔法省に向かった頃、シエラはライル王子とお茶会をすることになった。

 なんでも改まって話しがあるとかで、二人で話したいとライル王子から申し出があったのだ。
 勿論、婚約者がお互いいる身なので、完全な二人きりではない。必ず侍女なり、護衛が付いている。
 
 バランドール王宮にある庭にて、その席が設けてあった。
 ライル王子とは、テーブルを挟んで対面で座った。うん、相変わらずキラキラしてて、ザ・王子様!って風貌ね。けど、やっぱりアルバードの精悍な顏の方が好きだわ、なんてことを思っていたら、ライル王子が切り出した。

 「シエラ王女、昨夜の晩餐ではあまり話せなかったね。」

 「そうですわね。今はお互い婚約者がおりますもの、致し方ないのでは?」

 何を言ってるんだ、こいつは!

 「ふふっ痛いところをつくなぁ。」

 あれ?気のせいかな?ライル王子がなんか・・・前と・・・雰囲気が違う? 

 「さて・・・シエラ王女はその様子からして、真の愛とやらはまだ見つかっていないみたいだね。」

 悪かったわね!どーせまだ幼女のままだわよ!

 「何が仰りたいの?」
 
 何となく、私は身構えてしまった。
 
 「・・・そんなに警戒しなくてもいいよ。まるで逆毛だった子猫みたいだよ。」

 そういうと、クスクス笑われた。
 ・・・なんだかイライラするわね。

 「お互い、婚約解消して、そしてまた相手が代わって婚約とはなったけど、正式発表はまだしていない。」

 「そうですわね。・・・不本意ですが、私がまだ元に戻れていませんからね。」

 「・・・単刀直入に言うけれど、僕達やり直せないか?」

  はい?

 「え・・・と、私の聞き間違いかしら?」

 「いや、聞き間違いじゃないよ。僕は君とやり直したいと思ってる。」

 えーーーーーーっ

 後ろは振り向いていないけど、気配でわかる。ユーナもきっと『何言ってるんですか?この野郎は。』とか思ってるオーラがすごく伝わってくるわ。

 「あの・・・どうしてそのようなお話に?」

 「僕なら、今の君でも愛せるし、お互いの国にとっても良縁だろう?」

 そりゃ、あんたはロリコンだからね!(あ、伏せるの忘れた。)

 「まぁ、貴族間で好きだの愛だのと恋愛感情持ち出すのは、政略結婚から外れているかもしれないが、僕は添い遂げるなら、できれば好ましい人と一生を共にしたいからね。」

 「それが私だと?」

 「そうだよ。シエラ王女は正に僕の理想だからね。」

 確かに婚約解消を申し出たのはこちらからだし、ライル王子が幼女になった私を気に入ってるも知ってるけどさ・・・
 
 んー・・・もういいや面倒になってきたな。うん、もういいや。

 「お言葉ですが、」

 「なんだい?」

 「ライル王子、今までというか私が幼女になる前までは、そんなこと一言も仰ってはくださらなかったですよね!」

「あぁ、まあそうだね。」

っ身に覚えがあるようで、ちょっと目を逸らした。わかり易いな!

「わたくし!貴方がそういう趣味の方というのは、わかっておりますが、今更そんなこと言われても全く嬉しくありません!それに!」


私は一呼吸入れた。

「はっきり申し上げて!私、今は好きな人がいるんです!見ての通りまだ幼女ですからね!両想いにはなれていませんけどね!」

 ライル王子が目を向けて驚いてる、まぁそうでしょうね。こんな大きな声で物を申したこともなければ、淑女の礼儀からは大きく外れていますから!
だがしかし!

 「だけど!その人は私が元に戻れるように頑張ってくれているんです!私も両想いになれるよう!振り向いてもらえるよう、諦めていませんから!だから貴方が入る隙間なんてないんです!おわかりいただけました?!」

 私の剣幕に、周囲はシーンと静まりかえった・・・・

 ぜーはー一気にまくし立てたから疲れたわ。


 ぷっ・・・

 ん?笑い声??

 「ぷっ・・・ははっ、あははははははっ」

 きぃー!何笑ってるのよ!このロリコン野郎が!

 シエラはすっかり伏字を忘れていた!

 「いや、失礼。なんていうか、シエラ王女がこんなに面白い人だったとは。」

 「それはどーも!」

 ふん!猫かぶりはやめよ、やめ!

 「だけど・・・その方が僕は好きかな。」

 「え?」

 「いや、もう無粋なことはやめよう。シエラ王女の気持ちはよくわかったよ。これで潔く諦めよう。」

 わかってもらえたのかな?

 「それなら、いいですけど・・・」

 「・・・・もしかしたら、君の素をもっと早くに知っていたら、また違ったのかもしれないな。」

 そう言うなり、ライル王子は私の顔をジッと見つめた。

 「え?」


 「いや、今更行っても詮無きことだな。」

 なによ、急に物分かりよくなっちゃって。まぁいいわ、面倒なことはこれ以上ごめんだし。

 「シエラ王女、もしアルバード卿に見込みがないようだったら、僕で良ければ待つよ。」

 あんた、さっき諦めるって言ったやないかーー!

 シエラはあまりの腹立たしさに、どこぞの方言になっていた!

 「ミランダ様がいらっしゃいますでしょ!」

 何考えてんだ、こいつわー!

 「ミランダ嬢か・・・彼女は・・・」

 そういうと、ライル王子は一瞬寂しそうな顔をした。
 あれ?何か歯切れが悪い?

 「いや、何でもない。邪魔したね。恐らく・・・今日は何かしらの進展があると思うよ。」

 !!

 「ライル王子、今のはどういう?」

 「ふっ・・・」

 意味深な言葉を残して、ライル王子はお茶会の場から去っていった。


 何なのよ―――!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

追放された聖女の悠々自適な側室ライフ

白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」 平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。 そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。 そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。 「王太子殿下の仰せに従います」 (やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや) 表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。 今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。 マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃 聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。

処理中です...