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23:晩餐会~後編~(シエラ)

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 晩餐会には、バランドール王、王妃、ライル王子、アルバード、イライザさん、そしてミランダ嬢が席にいた。あの浮気相手の、じゃなくって側室候補だった彼女である。
 ちなみに第一王子は、視察に行っているので、今は不在にしているのだとか。
 なんで彼女がその席に・・・と思ったけど、そういえば前に連絡があったのを思い出した。

 ライル王子と私が婚約解消となってから数か月後、ライル王子がシュナイダー公爵の娘、つまりミランダ嬢と婚約したと、通達があったのよね。

 私もライル王子もそうなんだけど、私達の婚約解消の公な発表はまだだったし、もう少し間を開けてから正式に発表すると聞いていた。
 これは恐らく、私が幼女になってしまったから、考慮してくれたのだと思う。
 ライル王子もミランダ嬢も魔力至上のバランドールなら、魔力が高い者同士だし、お似合いなんじゃないの。って思ったもので、その後は特に関心もなかったので忘れてたけど、そういうことなら、この場にいてもおかしくないわよね。

 私はドキドキしながら晩餐会に参加していたが、今のところ私について、不信に思う人もいない感じだ。あー良かった大丈夫みたい!
 それに傍にはアルバードもイライザさんもいるし断然心強かった。

 晩餐会が始まると、王や王妃からイライザさんがいろいろ話しかけられていた。私はそんなに気にしていなかったんだけど、魔女に会える機会は普通は滅多とないらしく、王も王妃も少し興奮気味な様子なのがわかった。

 アルバードは大人しく、黙々と食べてる・・・なんか可愛いかも。
 思わずジーと見入ってしまうと、アルバードは私の目線に気付いたようで、

 「どうした?」

 と、私にしかわからない声で話しかけてきた。

 「あ、うん。美味しそうに食べてるなって。」

 「あぁ、実際美味いからな。」

 「そうね、私もこのお魚料理好きかも。」

 確かにお料理は美味しかった。近くにコーデルの港町があることから、王都でも魚料理が名物になっていると以前聞いたことがある。

 「あらあら、婚約してまだ間もないとはお聞きしていましたが、仲睦まじいようで良かったですわ。」

 と、いきなり王妃からお声がかかった。

 こちらの王妃様は、ライル殿下の実の母、以前に何度かお話したことがあるけど、おっとりとした印象だった。対して第二夫人の方が気が強そうな印象だったのを覚えている。

 「はい、お陰様で。」

 「アルバード卿は、冒険者をしていたと、お伺いしましたけど、どういったお仕事をなさっていたのかしら?」

 王妃が興味深々で聞いてきた。

 「そうですね、ダンジョンが多かったですね。あとはスタンピートとか…まぁ少々難易度が高い依頼を主に受けていましたよ。」

 「まぁ~スタンピートまで!さすがS級となりますと、請け負う仕事も違いますのね~」

 「いえいえ、まぁそれも冒険者としての仕事ですからね。」
 
 うん、私もコレ初めて聞いた時驚いたもの。魔物の大群なんて、実際襲われたら、国としても一溜りもない。けど、定期的にあるのよね。
  一部の冒険者が請け負っていたり、騎士団が対応しているのは知っていたけど、アルバードがそれをしていたと聞いた時は、思わずえーーーホントに?!っと声を上げたもの。 
 アルバートは冒険者時代の話を自分から率先して話しはしなかった。私が聞いたら答えるってスタンスで、私が凄い凄い!を連呼したら、本当に恥ずかしそうにしていたものね。
 意外に大きい図体して照れ屋さんだってことは、この時に知りました。まぁ、そこもキュンってきたのは内緒にしてるけど。 

 晩餐会は、思っていた以上に和気あいあいとした雰囲気になっていた。
 
 すると、 

 「時に、シエラ殿下、ご不便はございませんか?」

 まさか、ミランダ嬢から話を振られるとは思っていなかったので、びっくりした。

 「えぇ、そうですね、細かい事をいいますと、今まで届いていたものが届かなくなったくらいですわね。あとは特には困っておりませんわ。」

 実際、小さくなっただけで、身の回りで困ったっていうのは特にない。元々至れり尽くせりな生活だからね!

 「ただ、このようになってしまったので、外出に制限がかかったことは、残念ですけれど・・・」

 当たり前だけど、呪いで小さくなったなんて、公にできないから、お出かけ範囲が狭まったことは、ホントつまんない・・・

 「まぁ、それはお労しいですわ。」
 
 ミランダ嬢は意外に同情的に言ってくれたので、思ってた印象と違ったことに、実は内心驚いた。もちろん顏には一切だしてません!
 そんなことを思っていたらアルバードから声が割って入った。

 「シエラ嬢、お出かけしたいのですか?」

 人目のある時は、アルバードは余所行きの言葉使いだ。

 「えぇ、やはり城の中に引きこもっているのも飽きてしまいますわ。気分転換にも外出はしたいですけど、・・・今は仕方ないですからね。」

 そして、私も人目のある時は、同じく余所行き。

 「なるほど・・・そうでしたか。」

 アルバードはそう言うと考え込んでしまったようだった。




 そうして、晩餐会は何事もなく、無事に終わったのだった。

 


 ――――シエラ客室にて

 「ユーナー疲れたーーーー!」

 「姫様、お疲れさまでした。イライザ様から魔法のアイテムを戴いたとはいえ、気が気でないでしょうからね。」
 
 「うん、イライザさんから、できるだけ他の人には触ちゃったダメって言われてたから、余計にね。」

 そうあくまで、幻惑として見せているので、触るとバレる可能性があるからだ。一瞬くらい触れるくらいなら大丈夫だろうけど、特に魔力高めの人には絶対触ちゃダメって言われていたから余計に気を使ってた。

 「明日からは忙しくなるわね。」

 「はい、姫様もその為にはお早めに休んでくださいね。」

 「うん、ユーナありがとう。早めに寝るわね。」



 明日からは調査が始まる。一体誰がこんなことをしたのか?一体どんな意図があったのか?
私はアルバードとイライザさんなら、必ず事件の解明をしてくれると信じて、眠りについたのだった。  
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