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共生

Ⅶ.アキラ、話す。

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 さわやかな日の光が覚めざめを誘う。気が付くと日の出の時間だった、



(昨日のアレはなんだったんだろうか・・。)



と昨夜の夢を疑問に思いながらも、服についた泥を払いのけながら家の中に入る。



テラはまだ寝ている。寝顔に見惚れつつ、硬い土の上で眠っていた身体を解す。



「お目覚めですか?」



と声がする。テラの方を振り返る、まだテラは眠っている。



(なんだ、寝言か・・・。やけにピンポイントな寝言だn・・)



と関心しようとした瞬間、気付く。



いや待てよ、あたりを見回す。しかし、誰もいない。



「嫌ですね、私ですよ私。」



声の主は笑いながら答え、アキラは混乱して、なにがなんだかわからなくなる。テラが、それに気付き起きる。



「アキラ、テサアハ。」



とあいさつをする。



動揺を隠しつつ、テラの言葉をオウム返しする。



テラはいつものように、朝ごはんの支度をする。



「おい、精霊さんよ。やっぱり俺の中に住んでいたのか、なんでもっと早く答えてくれなかったんだ。びっくりしたじゃねぇか!!」



と精霊に問う。精霊は



「私も眠っていたんですよ、宿主が起きたからって、同じように起きるわけではないですよ。」



とぐうの音もでない正論を言われる。テラが朝ごはんを支度している。



横で精霊と話しているが、やはり精霊の声は聞こえないのだと理解する。



「昨日、言ってたマナってのは、食事から取れるの?まさか死んだもの駄目ってことは、俺ずっと生食ばっかりってこと。」



と疑問点を投げかけると、精霊は答える。



「嗚呼、すみません言葉足らずでした。正確には腐りかけるというか、なんと言ったらいいのでしょう。虫が湧くと言いますか、そのような感じの蛆共がマナを食べていくんです。」



嗚呼、なるほど。



「じゃあ、もしかして、味噌でもマナは回復するか。」



と問いかけると、



「はい、その通りです。」



と精霊さんは答える。



 テラが朝食の支度を終えて、鍋を持ってくる。



そして、食べ始める。最初にテラがスプーンを掬い、僕に食べされる。



その次に僕が、スプーンも掬い食べさせる。その光景を見ていたのか、精霊さんが茶かす。



「なんですか、この光景はバカップルですか。」



とド正論を言われ、顔が真っ赤になる。



「アキラ、フェイアキド。」



とテラが、笑いながらしゃべっている。それの恥ずかしそうにしながら野菜を食べる僕であった。



すると、精霊さんが



「宿主、スキル【以心伝心】が、少しだけなら使えますが使いますか?」



と問われる。



(嗚呼、そういえばそんなことも言ってたな。)



思いだしたかのようにスキルの話が出てくる。もちろん、テラに感謝の気持ちを今すぐ伝えるために、即行するのであった。



(ポワワン)



と気の抜けた音がする。何も起きない。



「精霊さん、何も起きないんですが。」



と質問すると、精霊さんはまぁ、少々お待ちください。というような返事をされる。



すると、テラの言うことは訛りが強いが、半分ほど理解できるようになっていた。



耳を澄ましよぉ~く聞くと、



「なんだが、こった時間楽すい時間流れるなんて、わんつか前のわっきゃ考えらぃねがった。アキラ本当にどうもね、こったごど言葉通ずねはんで言えるごどなんだばって、なんだが照れ臭えね。」



まぁ、う~~ん、フランス語? ああ、でもこれは、どこか聞き覚えがある方言でもあった。そして、なんとか言おうとしていることを理解し、



「僕も楽しいよ。」



テラにその言葉に固まり、今度はテラが顔を真っ赤にする。



「いづがら、聞いでだのアキラしゃぁぁぁぁん。」



その光景を、精霊は微笑ましく見ていた。


 顔を赤めながら、テラが問いかける。渋々と僕は、その問いに答える。



「た、楽しい時間から。」



と恐る恐る言うと、テラの顔から火が吹き出る。そして、頬を膨らませて、恨めしそうに睨みつける。



ふと、僕の顔を見つめて、何かを思いつくような表情をする。



「罰どすて、おいの頭ば撫ででもらいます。」



とドヤ顔で宣言する。



僕はふと考える、



まるで、バカップルみたいじゃないか。大丈夫か、まだ明るいうちからこんなに飛ばして大丈夫か、ご褒美じゃないかと考えながら答えを出す。



「ええで。」



と清々しいほどの笑顔で、サムズアップをするのであった。精霊さんも



「賢明な判断です。」



と褒めてくれた。



「じゃ、じゃあ行くよ、ヨシヨシヨシ。」



たどたどしくテラの頭を撫でる。初めて触れるケモノ耳、心地よい不思議な感覚に陥る。



人の頭を撫でているのに、髪の毛とは違うモフモフとした感覚が手に伝わる。



そして、耳に血が通っているのかほのかに温かい。



(不思議だな~~~、やっぱ俺、異世界来たんだ。)



自分が異世界に来たことを改めて実感し、テラを見ると、気持ちよさそうに目を瞑っている。



ずっとこのまま撫で続けてあげたい気分になるが、そうなるとやめ時を失ってしまうので



「はい、おしまい。」



と名残惜しくも手を離す。



「えぇ~~もっと~~。」



とテラは怒るが、それもすぐに収まる。



だが、テラは知らないのである。この光景を第三者が見ていることに、この事はだまっていなくてはならない。



もし口が滑って話してしまえば、テラは恥ずかしさで卒倒してしまう恐れがあるのである。



「賢明な判断です。」



ほら、精霊さんもそう言ってるし、いつかはバレることだがそれは今ではない。なんとしても黙っておこうと心に決めるアキラであった。



「これからどのようなご予定で。」



と精霊が質問してくる。



「そうだな、今日は晴れそうだし畑の農作業かな。」



と答えると、少し間をおいて精霊が答える。



「そうですかぁ・・・。」



と露骨に少し残念そうに答える。



(嗚呼、狩りに行きたかったんだね。)



と精霊さんの狩猟本能に申し訳なさを感じるが、農作業も大事な作業だ。なんたって俺たちの食事は野菜と穀物中心だ。



 この日はよく晴れた。テラと一緒に雑草を抜いていく。精霊さんは先ほどから、しゃべりかけて来ない。多分寝ているな。



昨日、雨が降ったので雑草がうまく引き抜ける。テラをふと見ると黙々と作業に没頭している。



(本当に可愛いな。ええ、お嬢さん。)



多分、集中力が切れ始めて、よこしまな心が生まれ始めている。



まぁ休憩がてら、そのまま見続けることにしたアキラなのであった。ちなみに、雑草の数は圧倒的にテラの方が多かった。
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