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046:ダンジョン機能解放
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台座に私が手を触れると、《ダンジョンコアNo.1を選択しますか?》システムメッセージが表示されYESを選択した。
「下り階段が!」
台座の裏側の地面に扉が現れ、両開きに開いたと思うと中から下り階段が現れた。
「この下にダンジョンがあるはず」
私はふよふよと飛んで移動しようとして自分の飛行速度が明らかに上がっているのに気がついた。
「ビスタさん、飛ぶの早くなってますね」
セナが不思議そうに私を見つめて言ってきた。さっきはセナの頭に乗って移動してきたので全く気が付かなかったのだ。
「ダンジョンコアのお陰でレベルが上がって下級精霊に進化したから、少し能力が上がったのかもしれないわね」
成長に必要な物がダンジョンコアなどというレアな品が必要とはなかなかに前途多難だった。
「でもビスタさんの力は普通の物じゃないのである意味納得が出来ます。あっ! 引き留めてすいません。行きましょう」
皆もダンジョンがどのような場所なのか興味があるのだろうセナの言葉に異論は出なかった。
「少しほの暗いですね……マナお嬢様、ミーナちゃん私の手を離さないで下さいね」
私の後ろから炎の魔法で明かりを灯したロゼが話す声が聞こえた。階段は思っていたより長く、終わったと思うと暗い洞窟に繋がっていた。
「出口らしき明かりが見えますね……ここは……」
いつの間にか先頭を進んでいたエリスが驚きの声をあげた。
「見覚えがあります……というよりとても良く知っている場所です」
そこには、すり鉢状になった窪地が存在していた。そして草を食む羊の魔物の群れが生息していた。
「エリスがダンジョンコアを手に入れた場所はここだよね?」
今までのところダンジョン機能は私の思っている物と同じのようだった。多少違うところといえば、繋がった先が仮想のゲーム上のダンジョン等ではなく現実のダンジョンコアが存在した場所だということだった。
「はい、間違いありません……ここは獣人族の隠れ村があった場所から近くに発生した平原ダンジョンと呼ばれる場所です」
エリスは周囲の景色に見覚えがあるのだろう、周囲を見渡しながらそう教えてくれたのだった。
◻ ◼ ◻
「ファングシープですね……それにホーンラビット……ファングビーも居ますね……それほど危険な魔物はいないようですね」
セナが周囲を見渡して確認するように言った。窪地は思ったより広く草花が豊富なとても美しいと言っても良い場所だった。
私達は今、ロゼが用意してくれたテーブルセットと日除けの傘の下で私が出したお茶を飲んでいた。食器類もロゼが用意してくれたので私がクランルームの庭で採取しておいた薬湯を皆に出してみたのだ。
美しい景色にマナとミーナが座り込んで遊び始めたので、ロゼが「休息致しましょう」と提案してきたのだ。それで、このような急造のお茶会が開かれる事になったのだ。
「思っていたより甘いのですね。疲れた時に欲しくなるような味です」
一口含んだセナが香りを楽しみながら薬湯の評価をしてみせた。
「甘くて美味しいね! マナこれ好きかも」
適度な甘味が子供受けしたようだった。ミーナも飲む度に尻尾が上下しているので喜んでいるのだろう。
「マナお嬢様が庭に植えられた花が咲けば、今度は私自らお茶をお入れいたしますよ」
ロゼは自分の手で皆をもてなす事が出来なくて少し残念そうな様子だった。
「それにしても、ポーチにこんなもの仕舞っていたなんてね」
お茶を楽しみながらも、若干呆れたようにエリスが肩をすくめた。
「私はバトルメイドとしてお嬢様方の護衛を主な仕事としてきましたが、家事全般に関しても怠りありませんよ! 確かに仕事に必要な道具を優先して食糧の収納を多少怠りましたが……保存の効きそうな調味料は大量に確保してあります!」
ロゼは戦う姿を見た限り護衛としても優秀そうだった。そして調味料の確保はとてもありがたかった。
◻ ◼ ◻
『誰か接近してきます……こちらに気がついているようで警戒しながらですが距離を詰めて来ています……どうやら獣人族のようです』
知らせて来たのは周囲の様子を確認しておきたいといって独り偵察に向かったヤンからの【心話】だった。
『この辺りに住んでいる獣人族という事は……もしかして隠れ村に住んでいた獣人族かもしれません! 私が話してみます!』
エリスは慌てたように立ち上がり、ヤンが居るらしい遠くに見える森の方に向かって駆け出したのだった。
「下り階段が!」
台座の裏側の地面に扉が現れ、両開きに開いたと思うと中から下り階段が現れた。
「この下にダンジョンがあるはず」
私はふよふよと飛んで移動しようとして自分の飛行速度が明らかに上がっているのに気がついた。
「ビスタさん、飛ぶの早くなってますね」
セナが不思議そうに私を見つめて言ってきた。さっきはセナの頭に乗って移動してきたので全く気が付かなかったのだ。
「ダンジョンコアのお陰でレベルが上がって下級精霊に進化したから、少し能力が上がったのかもしれないわね」
成長に必要な物がダンジョンコアなどというレアな品が必要とはなかなかに前途多難だった。
「でもビスタさんの力は普通の物じゃないのである意味納得が出来ます。あっ! 引き留めてすいません。行きましょう」
皆もダンジョンがどのような場所なのか興味があるのだろうセナの言葉に異論は出なかった。
「少しほの暗いですね……マナお嬢様、ミーナちゃん私の手を離さないで下さいね」
私の後ろから炎の魔法で明かりを灯したロゼが話す声が聞こえた。階段は思っていたより長く、終わったと思うと暗い洞窟に繋がっていた。
「出口らしき明かりが見えますね……ここは……」
いつの間にか先頭を進んでいたエリスが驚きの声をあげた。
「見覚えがあります……というよりとても良く知っている場所です」
そこには、すり鉢状になった窪地が存在していた。そして草を食む羊の魔物の群れが生息していた。
「エリスがダンジョンコアを手に入れた場所はここだよね?」
今までのところダンジョン機能は私の思っている物と同じのようだった。多少違うところといえば、繋がった先が仮想のゲーム上のダンジョン等ではなく現実のダンジョンコアが存在した場所だということだった。
「はい、間違いありません……ここは獣人族の隠れ村があった場所から近くに発生した平原ダンジョンと呼ばれる場所です」
エリスは周囲の景色に見覚えがあるのだろう、周囲を見渡しながらそう教えてくれたのだった。
◻ ◼ ◻
「ファングシープですね……それにホーンラビット……ファングビーも居ますね……それほど危険な魔物はいないようですね」
セナが周囲を見渡して確認するように言った。窪地は思ったより広く草花が豊富なとても美しいと言っても良い場所だった。
私達は今、ロゼが用意してくれたテーブルセットと日除けの傘の下で私が出したお茶を飲んでいた。食器類もロゼが用意してくれたので私がクランルームの庭で採取しておいた薬湯を皆に出してみたのだ。
美しい景色にマナとミーナが座り込んで遊び始めたので、ロゼが「休息致しましょう」と提案してきたのだ。それで、このような急造のお茶会が開かれる事になったのだ。
「思っていたより甘いのですね。疲れた時に欲しくなるような味です」
一口含んだセナが香りを楽しみながら薬湯の評価をしてみせた。
「甘くて美味しいね! マナこれ好きかも」
適度な甘味が子供受けしたようだった。ミーナも飲む度に尻尾が上下しているので喜んでいるのだろう。
「マナお嬢様が庭に植えられた花が咲けば、今度は私自らお茶をお入れいたしますよ」
ロゼは自分の手で皆をもてなす事が出来なくて少し残念そうな様子だった。
「それにしても、ポーチにこんなもの仕舞っていたなんてね」
お茶を楽しみながらも、若干呆れたようにエリスが肩をすくめた。
「私はバトルメイドとしてお嬢様方の護衛を主な仕事としてきましたが、家事全般に関しても怠りありませんよ! 確かに仕事に必要な道具を優先して食糧の収納を多少怠りましたが……保存の効きそうな調味料は大量に確保してあります!」
ロゼは戦う姿を見た限り護衛としても優秀そうだった。そして調味料の確保はとてもありがたかった。
◻ ◼ ◻
『誰か接近してきます……こちらに気がついているようで警戒しながらですが距離を詰めて来ています……どうやら獣人族のようです』
知らせて来たのは周囲の様子を確認しておきたいといって独り偵察に向かったヤンからの【心話】だった。
『この辺りに住んでいる獣人族という事は……もしかして隠れ村に住んでいた獣人族かもしれません! 私が話してみます!』
エリスは慌てたように立ち上がり、ヤンが居るらしい遠くに見える森の方に向かって駆け出したのだった。
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