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208:リサさんとの話し合い2
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「これは今回の一連の騒ぎの報酬と拠点構築の礼の一部だ」
そう言ってリサさんは、上下の革装備と靴と手袋の一式をテーブルの上に並べた。それは白い毛皮の装備で、僕はその革に見覚えがあった。
「これって変異種の……ですよね? 良いんですか?」
死闘を演じた相手が、今度は自分の身を守ってくれるというのは奇妙な感覚だったが、あの硬い毛皮が、今度は僕の身を守ってくれるというのは、とても頼もしい事だった。
「構わんさ、あのサイズだからな。その装備を作る程度ならたいした量ではない。残った革はどうする? 領営工房がとても欲しがっていたぞ。研究材料としても装備の素材としても破格の素材だからな」
僕は出来れば引き取りたいと申し出た。欲しいと思って、すぐに手に入る物ではなさそうだったからだ。
「そう言うと思って受け取ってきたよ。正しい判断だと思う」
そう言うと綺麗に処理された革素材が、僕の装備の横に大量に積み上げられた。
「装備に使えそうにない部分は領営工房に引き取らせた。研究資料として必要らしいので断り切れなくてな……その代わりと言ってはなんだが、その装備の加工を任せたという訳さ。本国ならともかく、ここではあそこ以上の職人を探すのは難しいからな」
僕には異論がなかった。倒した段階で討伐報酬は貰っていたので、まさか装備として返ってくるとは夢にも考えていなかったのだ。
「良い素材だ、この装備と今、ユーリお前が装備しているハーフメイルを重ね着すれば二十層中盤くらいまでなら十分通用するだろう」
僕はゼダさん達から借り受けた装備の上から、劣化黒魔鉄製のハーフメイルとラウンドシールド、そしてハーフコートを装備していた。
この装備は元々ゼダさん達が、ギルドから与えられていた物だったが、報酬として受け取らせようとするレイラさんに、受け取りを拒否をして揉めたらしい。
結果、僕の元に「ウサギ狩りの弟子にくれてやると」言って一式分廻ってきたのだった。
ドルフさん曰く「嬢ちゃんの事だから、受けとると、しょっちゅう呼び出されそうで面倒くさい」という事らしい。
だったら面倒な呼び出しが僕に廻って来そうだと、僕も拒否しようとしたのだが、ザザさんに「若いから精々働け」と言われ、押し付けられたのだ。
後からゼダさんに、ギルドも何かユーリに報酬を与えたいと思っていたので、間接的に俺達を利用しただけだと教えられた。
俺達も、酒代程度の報酬を受け取ったから、ギルドが何か言ってくる事はないと、教えられホッとしたのだった。
「あら姉さん、それならエルフィーデの持ち出しはなしって事かしら? まるで仲介しただけに聞こえるんだけど」
サラがどっちの味方なのか、相変わらず厳しく追及してくる。僕としては、領営工房と交渉して貰っただけでも十分な報酬だったのだが、サラはそう思ってはいないようだった。
「……サラ、僕はもう十分だから……」
僕がそうサラに伝えようとして、逆にリサさんに止められた。
「もちろん、報酬の一部だ、それとこれを」
追加で取り出されたのは、紙束と袋だった。
「何です?」
紙束は地図のようだった。そして……袋はズシリと重かった……
「ダンジョン十二層から二十層までの地図だ。詳細ではないが比較的安全なルートが記されている。ラルフ殿に相談すると良いだろう。知っている階層なら地図を見ながら注意すべき点について、助言を得られるだろう」
僕はふんふんと頷きながら、夢中になって地図を眺めてしまった。
「それから、この袋だが都市ガザフからだ」
「あっ! すいません」
僕が顔をあげて謝る姿を、リサさんは可笑しそうに笑いながら、
「魔人討伐とそれに貢献した拠点の製作報酬、金貨三百枚だ受け取れ」
僕はその途方もない金額に、暫し固まってしまったのだった。
そう言ってリサさんは、上下の革装備と靴と手袋の一式をテーブルの上に並べた。それは白い毛皮の装備で、僕はその革に見覚えがあった。
「これって変異種の……ですよね? 良いんですか?」
死闘を演じた相手が、今度は自分の身を守ってくれるというのは奇妙な感覚だったが、あの硬い毛皮が、今度は僕の身を守ってくれるというのは、とても頼もしい事だった。
「構わんさ、あのサイズだからな。その装備を作る程度ならたいした量ではない。残った革はどうする? 領営工房がとても欲しがっていたぞ。研究材料としても装備の素材としても破格の素材だからな」
僕は出来れば引き取りたいと申し出た。欲しいと思って、すぐに手に入る物ではなさそうだったからだ。
「そう言うと思って受け取ってきたよ。正しい判断だと思う」
そう言うと綺麗に処理された革素材が、僕の装備の横に大量に積み上げられた。
「装備に使えそうにない部分は領営工房に引き取らせた。研究資料として必要らしいので断り切れなくてな……その代わりと言ってはなんだが、その装備の加工を任せたという訳さ。本国ならともかく、ここではあそこ以上の職人を探すのは難しいからな」
僕には異論がなかった。倒した段階で討伐報酬は貰っていたので、まさか装備として返ってくるとは夢にも考えていなかったのだ。
「良い素材だ、この装備と今、ユーリお前が装備しているハーフメイルを重ね着すれば二十層中盤くらいまでなら十分通用するだろう」
僕はゼダさん達から借り受けた装備の上から、劣化黒魔鉄製のハーフメイルとラウンドシールド、そしてハーフコートを装備していた。
この装備は元々ゼダさん達が、ギルドから与えられていた物だったが、報酬として受け取らせようとするレイラさんに、受け取りを拒否をして揉めたらしい。
結果、僕の元に「ウサギ狩りの弟子にくれてやると」言って一式分廻ってきたのだった。
ドルフさん曰く「嬢ちゃんの事だから、受けとると、しょっちゅう呼び出されそうで面倒くさい」という事らしい。
だったら面倒な呼び出しが僕に廻って来そうだと、僕も拒否しようとしたのだが、ザザさんに「若いから精々働け」と言われ、押し付けられたのだ。
後からゼダさんに、ギルドも何かユーリに報酬を与えたいと思っていたので、間接的に俺達を利用しただけだと教えられた。
俺達も、酒代程度の報酬を受け取ったから、ギルドが何か言ってくる事はないと、教えられホッとしたのだった。
「あら姉さん、それならエルフィーデの持ち出しはなしって事かしら? まるで仲介しただけに聞こえるんだけど」
サラがどっちの味方なのか、相変わらず厳しく追及してくる。僕としては、領営工房と交渉して貰っただけでも十分な報酬だったのだが、サラはそう思ってはいないようだった。
「……サラ、僕はもう十分だから……」
僕がそうサラに伝えようとして、逆にリサさんに止められた。
「もちろん、報酬の一部だ、それとこれを」
追加で取り出されたのは、紙束と袋だった。
「何です?」
紙束は地図のようだった。そして……袋はズシリと重かった……
「ダンジョン十二層から二十層までの地図だ。詳細ではないが比較的安全なルートが記されている。ラルフ殿に相談すると良いだろう。知っている階層なら地図を見ながら注意すべき点について、助言を得られるだろう」
僕はふんふんと頷きながら、夢中になって地図を眺めてしまった。
「それから、この袋だが都市ガザフからだ」
「あっ! すいません」
僕が顔をあげて謝る姿を、リサさんは可笑しそうに笑いながら、
「魔人討伐とそれに貢献した拠点の製作報酬、金貨三百枚だ受け取れ」
僕はその途方もない金額に、暫し固まってしまったのだった。
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