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206:噂と孤児院の子供達
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クラン加入の件は、一旦保留して僕とサラは探索者ギルドを出る事にした。
ギルド内では既にマリアさんが、ギルドの受付を辞め探索者に復帰するという噂が広まっていて、領軍への派遣を拒否した事で、探索者ギルドに居辛くなったらしいという事情までも真しやかに語られているようだ。
「何だが情報の拡散が速すぎるわね~……領軍と彼女を守り切れなかった探索者ギルドに非難が集まってるみたい。それから大手クランが彼女の獲得を狙っているという噂ね……さすが二つ名持ち、ギルド内は彼女の去就の噂で持ちきりのようよ~」
ギルド内が噂でざわついているのを気にしたフィーネが、ふよふよと姿を消して潜入調査した結果を教えてくれた。好奇心旺盛な精霊らしいの行為だったが、その高い情報収集力は頼りになった。
「明らかにギルド側がわざと情報を漏らしてるようね。リサ姉さんも会議には出席していた筈だから、意見を聞いた方が良いわね。まだ十層の遺跡拠点にいる筈だから……それに渡したい物もあるらしいわよ」
サラ経由で、近いうちにエルフィーデの査察団は、十層の遺跡の拠点管理をガザフ側に引き継ぎ、エルフィーデより伴ってきた施設部隊のみを連れ二十層の遺跡に向かう予定らしい。
魔人の襲来等という突発的な出来事があったにも関わらず、予定より早くガザフへの引き継ぎが可能になったのは、ニースと僕のお陰だと喜んでいるそうだ。
「そうだね。色々な事があって混乱してるよ……リサさんならミリアさんの意図も正確に把握してるだろうし……」
僕も共に戦ったリサさんなら助言を貰うのに最適な相手だと考えていた。
「……ミリア様の意図か……姉さんにも完全には……まあ良いわ。とにかく急ぎましょ!」
僕はサラと頷き会うと、早速、ダンジョン入り口に向かって走り出したのだった。
◻ ◼ ◻
一層の転移拠点の遺跡に向かう途中、ウサギ狩りをする孤児院の子供達の姿が見えた。以前、キャロ達四人が使っていた盾と貫頭衣姿だった。
だがあの時と違うのは子供達の手に短杖が握られていた事だった。そして倒した獲物をポーチに仕舞う様子も見えた。
今回の魔人騒動でキャロ達四人は報酬としてファングボアの装備と今回の戦いで使った装備一式を受け取っていた。
そして、様々な面で貢献した四人の有能さと、エルフィーデ孤児院の教育水準の高さを評価したギルドが、ダンジョンで活動する子供に対して装備面での支援を約束したのだ。
ある意味、自立を促しているだけとも取れたが、ギルドと孤児院の双方にメリットがあるので、孤児院の改善が進んだ事に、僕は素直に喜んでいた。
「ユーリさん! 今からですか?」
子供達の側で、狩りの様子を見ていたラルフさんだった。
「ええ、十層の遺跡拠点に用事です!」
僕の返答に「お二人ともお気をつけて」と手をあげて、明るい笑顔で答えてくれた。僕は、ラルフさんに軽く会釈すると、サラに促され転移拠点に急いだ。
ラルフさんは、孤児院での療養の後、サラが使っていた部屋に移っていた。今は院長先生に頼まれて孤児院の手伝いをしているらしい。大人の少ない孤児院で男手が増えて喜ばれているそうだ。
子供達の狩りの様子を見ているのも、その一環だろうと思われた。
「居場所が出来て喜んでいるわよ……ラルフも」
前を歩くサラが、ボソッと呟くと早足で歩いていく。フィーネが何かサラに言ったようで、二人がまたじゃれあっているようだ。
「そうだね、僕も嬉しいよ」
僕はラルフさんの笑顔を思い出し、明るい気分になると見えてきた転移拠点の入り口に入ったのだった。
ギルド内では既にマリアさんが、ギルドの受付を辞め探索者に復帰するという噂が広まっていて、領軍への派遣を拒否した事で、探索者ギルドに居辛くなったらしいという事情までも真しやかに語られているようだ。
「何だが情報の拡散が速すぎるわね~……領軍と彼女を守り切れなかった探索者ギルドに非難が集まってるみたい。それから大手クランが彼女の獲得を狙っているという噂ね……さすが二つ名持ち、ギルド内は彼女の去就の噂で持ちきりのようよ~」
ギルド内が噂でざわついているのを気にしたフィーネが、ふよふよと姿を消して潜入調査した結果を教えてくれた。好奇心旺盛な精霊らしいの行為だったが、その高い情報収集力は頼りになった。
「明らかにギルド側がわざと情報を漏らしてるようね。リサ姉さんも会議には出席していた筈だから、意見を聞いた方が良いわね。まだ十層の遺跡拠点にいる筈だから……それに渡したい物もあるらしいわよ」
サラ経由で、近いうちにエルフィーデの査察団は、十層の遺跡の拠点管理をガザフ側に引き継ぎ、エルフィーデより伴ってきた施設部隊のみを連れ二十層の遺跡に向かう予定らしい。
魔人の襲来等という突発的な出来事があったにも関わらず、予定より早くガザフへの引き継ぎが可能になったのは、ニースと僕のお陰だと喜んでいるそうだ。
「そうだね。色々な事があって混乱してるよ……リサさんならミリアさんの意図も正確に把握してるだろうし……」
僕も共に戦ったリサさんなら助言を貰うのに最適な相手だと考えていた。
「……ミリア様の意図か……姉さんにも完全には……まあ良いわ。とにかく急ぎましょ!」
僕はサラと頷き会うと、早速、ダンジョン入り口に向かって走り出したのだった。
◻ ◼ ◻
一層の転移拠点の遺跡に向かう途中、ウサギ狩りをする孤児院の子供達の姿が見えた。以前、キャロ達四人が使っていた盾と貫頭衣姿だった。
だがあの時と違うのは子供達の手に短杖が握られていた事だった。そして倒した獲物をポーチに仕舞う様子も見えた。
今回の魔人騒動でキャロ達四人は報酬としてファングボアの装備と今回の戦いで使った装備一式を受け取っていた。
そして、様々な面で貢献した四人の有能さと、エルフィーデ孤児院の教育水準の高さを評価したギルドが、ダンジョンで活動する子供に対して装備面での支援を約束したのだ。
ある意味、自立を促しているだけとも取れたが、ギルドと孤児院の双方にメリットがあるので、孤児院の改善が進んだ事に、僕は素直に喜んでいた。
「ユーリさん! 今からですか?」
子供達の側で、狩りの様子を見ていたラルフさんだった。
「ええ、十層の遺跡拠点に用事です!」
僕の返答に「お二人ともお気をつけて」と手をあげて、明るい笑顔で答えてくれた。僕は、ラルフさんに軽く会釈すると、サラに促され転移拠点に急いだ。
ラルフさんは、孤児院での療養の後、サラが使っていた部屋に移っていた。今は院長先生に頼まれて孤児院の手伝いをしているらしい。大人の少ない孤児院で男手が増えて喜ばれているそうだ。
子供達の狩りの様子を見ているのも、その一環だろうと思われた。
「居場所が出来て喜んでいるわよ……ラルフも」
前を歩くサラが、ボソッと呟くと早足で歩いていく。フィーネが何かサラに言ったようで、二人がまたじゃれあっているようだ。
「そうだね、僕も嬉しいよ」
僕はラルフさんの笑顔を思い出し、明るい気分になると見えてきた転移拠点の入り口に入ったのだった。
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