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158:合流1
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撤退しながらの時間稼ぎの必要が無くなった僕達の撤退速度はかなりのスピードだった。
「リサ様! 右後方からゴブリンの群れが接近中です。まだ遠方ですが我々と同じ方角を目指しているようです」
恐らくは別のゴブリンの拠点からの物と思われる群れが移動してくる姿が僕にも見えた。
「十一層の拠点は知られているだけで四ヶ所だったな。これで三ヶ所の溢れが確認できたわけだが……この調子だともう一ヶ所が何もないとは思えんな」
この時の僕達には知りようもない事だったが、もう一ヶ所の拠点の群れは既に防衛拠点に到達していて、拠点を守っていたマリアさんとキャロ達、そして追加部隊の面々とニースに壊滅させられていたのだった。
「今は無視するしかあるまい、迎撃については防衛拠点の状況によるがな」
今回の溢れに対する対応は拠点が複数存在し、それに対応する人員がそもそも不足していた。
リサさんの表情にも発言の端々にも苦々しげな雰囲気が混じるのは、どうしても場当たり的な対応にならざるを得なかったからだろう。
「とにかく今は合流を優先する。急ぐぞ! 奴等を少しでも引き離して拠点に戻る」
リサさんの号令のもと、僕達は拠点のある方角に急ぎ向かったのだった。
◻ ◼ ◻
「やはり攻められていたか……だが幸い追加の部隊は間に合ったようだ。全員! 【流星雨】を一斉射の後、防壁前で戦っている者達と合理する」
僕の目にも防壁の前で戦っている人達がいるのが見えた。防壁が二重になっていて敵の侵入を制限しながら上手く戦っているようだ。
「どうやら、私がやっていたような事と同じような戦い方をしているようですね」ラルフさんが防壁前の攻防を見ながらそう呟いた。
土壁を二重にしたのは恐らくニースだろう事はすぐにわかったので、僕は無事にお使いを果たしてくれた事にホッと安心しながらもラルフさんと共に突入のタイミングを図っていた。
「放て!」リサさんの号令のもと調査隊のメンバーが一斉に【流星雨】を放った。
いきなり後方からの攻撃を受けさすがにゴブリンの群れにも混乱が発生したようだった。
僕とラルフさんは、素早く頷き合うと真っ先にその混乱したゴブリンの群れに突入したのだった。
◻ ◼ ◻
「おい! ザザもう少し離れてそのデカブツ振り回しやがれ!」
土壁の前で黒い両手斧を軽々と振り回すザザに向かって、これも同じく黒い両手剣を振り回し寄る敵を凪ぎ払っていたドルフが叫んだ。
「あ? なんだと! お前こそ後ろに引っ込んでチマチマやってねえで前でやがれ前に!」
お互いがこの調子で煽り会うので二人は最初に戦っていた位置からどんどん前に移動をしてしまっていた。
それでも取り囲まれてピンチにならないのは、一歩下がった所で片手剣を振るうゼダが二人のフォローをしていたからに他ならなかった。
「おい! 二人共いい加減にしないか! これ以上壁から離れたらさすがに不味い」
ゼダから注意を受けてさすがに二人も不味いと思ったのだろう後ろにもどりだしたのだったが――
「おじちゃん! 頑張れ~」
土壁の上からキャロ達の声援を受けた二人はまた張り切りだしたのだった。
「やれやれ、言っても無駄か……ん?」
呆れた嘆きの声を上げたゼダの視線の先で明らかに防壁からではない攻撃が降り注いだのが見えた。
「誰か来るよ~」土壁の上でもキャロが声を上げた。
「どうやら戻ってきたようだな……おい二人共! 坊主が戻ってきたようだ迎えにいくぞ!」
前の二人からも返事が返ってきて、三人はさっきまでの防御的な戦い方を捨て去り、一気にゴブリンの群れに突入していったのだった。
「リサ様! 右後方からゴブリンの群れが接近中です。まだ遠方ですが我々と同じ方角を目指しているようです」
恐らくは別のゴブリンの拠点からの物と思われる群れが移動してくる姿が僕にも見えた。
「十一層の拠点は知られているだけで四ヶ所だったな。これで三ヶ所の溢れが確認できたわけだが……この調子だともう一ヶ所が何もないとは思えんな」
この時の僕達には知りようもない事だったが、もう一ヶ所の拠点の群れは既に防衛拠点に到達していて、拠点を守っていたマリアさんとキャロ達、そして追加部隊の面々とニースに壊滅させられていたのだった。
「今は無視するしかあるまい、迎撃については防衛拠点の状況によるがな」
今回の溢れに対する対応は拠点が複数存在し、それに対応する人員がそもそも不足していた。
リサさんの表情にも発言の端々にも苦々しげな雰囲気が混じるのは、どうしても場当たり的な対応にならざるを得なかったからだろう。
「とにかく今は合流を優先する。急ぐぞ! 奴等を少しでも引き離して拠点に戻る」
リサさんの号令のもと、僕達は拠点のある方角に急ぎ向かったのだった。
◻ ◼ ◻
「やはり攻められていたか……だが幸い追加の部隊は間に合ったようだ。全員! 【流星雨】を一斉射の後、防壁前で戦っている者達と合理する」
僕の目にも防壁の前で戦っている人達がいるのが見えた。防壁が二重になっていて敵の侵入を制限しながら上手く戦っているようだ。
「どうやら、私がやっていたような事と同じような戦い方をしているようですね」ラルフさんが防壁前の攻防を見ながらそう呟いた。
土壁を二重にしたのは恐らくニースだろう事はすぐにわかったので、僕は無事にお使いを果たしてくれた事にホッと安心しながらもラルフさんと共に突入のタイミングを図っていた。
「放て!」リサさんの号令のもと調査隊のメンバーが一斉に【流星雨】を放った。
いきなり後方からの攻撃を受けさすがにゴブリンの群れにも混乱が発生したようだった。
僕とラルフさんは、素早く頷き合うと真っ先にその混乱したゴブリンの群れに突入したのだった。
◻ ◼ ◻
「おい! ザザもう少し離れてそのデカブツ振り回しやがれ!」
土壁の前で黒い両手斧を軽々と振り回すザザに向かって、これも同じく黒い両手剣を振り回し寄る敵を凪ぎ払っていたドルフが叫んだ。
「あ? なんだと! お前こそ後ろに引っ込んでチマチマやってねえで前でやがれ前に!」
お互いがこの調子で煽り会うので二人は最初に戦っていた位置からどんどん前に移動をしてしまっていた。
それでも取り囲まれてピンチにならないのは、一歩下がった所で片手剣を振るうゼダが二人のフォローをしていたからに他ならなかった。
「おい! 二人共いい加減にしないか! これ以上壁から離れたらさすがに不味い」
ゼダから注意を受けてさすがに二人も不味いと思ったのだろう後ろにもどりだしたのだったが――
「おじちゃん! 頑張れ~」
土壁の上からキャロ達の声援を受けた二人はまた張り切りだしたのだった。
「やれやれ、言っても無駄か……ん?」
呆れた嘆きの声を上げたゼダの視線の先で明らかに防壁からではない攻撃が降り注いだのが見えた。
「誰か来るよ~」土壁の上でもキャロが声を上げた。
「どうやら戻ってきたようだな……おい二人共! 坊主が戻ってきたようだ迎えにいくぞ!」
前の二人からも返事が返ってきて、三人はさっきまでの防御的な戦い方を捨て去り、一気にゴブリンの群れに突入していったのだった。
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