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151:防衛戦1
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目的の場所に到着した僕とラルフさんは、土壁の設置場所を検討していた。
隘路は思っていたよりも狭く六つほど土壁を設置すれば完全に封鎖してしまえそうだった。
「この辺りにしましょう。ここなら崖が少し低いので土壁を設置すれば崖上に昇れそうです。何人かが上から弓で攻撃出来るでしょう」
ラルフさんの示した場所に土壁を設置すれば丁度、壁の上を伝って崖上に届きそうだった
「リサさんは許可してくれましたけど、本当に侵入口を作りますか?」
さっきは良い案だと思った僕だったが、単純に時間稼ぎが目的なら土壁を何重も作って弓でひたすら敵の数を減らせば良いのではと思い直したのだった。
「ええ、ユーリさんが敢えて危険を冒す必要がないと考える気持ちは分かりますが……私は、あの【流星雨】という弓技の魔石消費の量が気になるのですよ」
確かにこういう局面でのあの技は無類の強さを発揮していた。今のメンバーの一斉射で軽く百匹を越えるゴブリンを葬っている。威力や連射能力には個人差があるようだが、共通している点が一つあった。
その激しい魔石の消費量だった。黒魔弓の魔石装填数が分からないので、正確に数えたわけではなかったが二回か三回の使用で魔石を再装填しているのではないかと思われた。
「もし話に聞いたゴブリンジェネラルが相手であれば、今のメンバーで倒しきれそうですが……リサ殿もこの数が相手では魔石が持たないと考えておられそうですな。つまり……」
ラルフさんにここまで説明されて僕にもラルフさんの目的が理解できた。
「引き入れて倒したゴブリンの魔石を回収するつもりなんですね。なら僕は魔石の回収を行います」
攻撃面では一段落ちる僕が行うのが最適だった。ディーネと二人で弓でラルフさんを助ける事も出来そうだった。
「そうです。ですがもう一つ……ユーリさんは魔素吸収も行って下さい。貴方は少しでも強くなる必要があります。貴方の土魔法は今回の戦いの要になりそうです」
僕はラルフさんの期待に身が引き締まる思いだった。
「王ですか……どの様な存在なのでしょう。それにあの大量のゴブリンはどうやって溢れだしたのでしょう?」
僕とラルフさんは話し合いながら土壁を設置していったのだったが、ふとラルフさんがそんな事を独り言のように呟いた。
(確かに魔物は魔素から発生するけど、こんなに一気に増えた原因は何だろうか)
僕は魔素濃度が原因だろうと考えて、今まで深くその事を考えた事は無かったのだ。
僕がそんな事を考えながらも土壁をどんどん設置していき、思い描いた形に準備が整いかけた頃に――
「どうやら設置は間に合ったようですね」
時間稼ぎの為に残り、僕達を先行させたリサさん達が追いついてきた。
「間も無く敵も到達するでしょう。皆、連戦の疲れもあるでしょうがここが正念場です!」
調査隊の面々は素早く動き、細かな指示を待つ事も無く各々が最適な場所に移動した。崖上にも何人かの団員が登り準備をしている。
ラルフさんは進み出て、自らの武器である両手斧を取りだし、僕が作った中央の土壁の通路の中心に立った。
壁で阻まれたゴブリンがその通路に押し寄せるのは間違いないだろうと思われた。
僕はディーネを召喚し、自分も弓を取りだしラルフさんの援護が出来そうな位置に陣取った。
準備を終えた僕達が見つめるその先に、狭くなった隘路に押し寄せてくるゴブリンの群れの姿が見えてきたのだった。
隘路は思っていたよりも狭く六つほど土壁を設置すれば完全に封鎖してしまえそうだった。
「この辺りにしましょう。ここなら崖が少し低いので土壁を設置すれば崖上に昇れそうです。何人かが上から弓で攻撃出来るでしょう」
ラルフさんの示した場所に土壁を設置すれば丁度、壁の上を伝って崖上に届きそうだった
「リサさんは許可してくれましたけど、本当に侵入口を作りますか?」
さっきは良い案だと思った僕だったが、単純に時間稼ぎが目的なら土壁を何重も作って弓でひたすら敵の数を減らせば良いのではと思い直したのだった。
「ええ、ユーリさんが敢えて危険を冒す必要がないと考える気持ちは分かりますが……私は、あの【流星雨】という弓技の魔石消費の量が気になるのですよ」
確かにこういう局面でのあの技は無類の強さを発揮していた。今のメンバーの一斉射で軽く百匹を越えるゴブリンを葬っている。威力や連射能力には個人差があるようだが、共通している点が一つあった。
その激しい魔石の消費量だった。黒魔弓の魔石装填数が分からないので、正確に数えたわけではなかったが二回か三回の使用で魔石を再装填しているのではないかと思われた。
「もし話に聞いたゴブリンジェネラルが相手であれば、今のメンバーで倒しきれそうですが……リサ殿もこの数が相手では魔石が持たないと考えておられそうですな。つまり……」
ラルフさんにここまで説明されて僕にもラルフさんの目的が理解できた。
「引き入れて倒したゴブリンの魔石を回収するつもりなんですね。なら僕は魔石の回収を行います」
攻撃面では一段落ちる僕が行うのが最適だった。ディーネと二人で弓でラルフさんを助ける事も出来そうだった。
「そうです。ですがもう一つ……ユーリさんは魔素吸収も行って下さい。貴方は少しでも強くなる必要があります。貴方の土魔法は今回の戦いの要になりそうです」
僕はラルフさんの期待に身が引き締まる思いだった。
「王ですか……どの様な存在なのでしょう。それにあの大量のゴブリンはどうやって溢れだしたのでしょう?」
僕とラルフさんは話し合いながら土壁を設置していったのだったが、ふとラルフさんがそんな事を独り言のように呟いた。
(確かに魔物は魔素から発生するけど、こんなに一気に増えた原因は何だろうか)
僕は魔素濃度が原因だろうと考えて、今まで深くその事を考えた事は無かったのだ。
僕がそんな事を考えながらも土壁をどんどん設置していき、思い描いた形に準備が整いかけた頃に――
「どうやら設置は間に合ったようですね」
時間稼ぎの為に残り、僕達を先行させたリサさん達が追いついてきた。
「間も無く敵も到達するでしょう。皆、連戦の疲れもあるでしょうがここが正念場です!」
調査隊の面々は素早く動き、細かな指示を待つ事も無く各々が最適な場所に移動した。崖上にも何人かの団員が登り準備をしている。
ラルフさんは進み出て、自らの武器である両手斧を取りだし、僕が作った中央の土壁の通路の中心に立った。
壁で阻まれたゴブリンがその通路に押し寄せるのは間違いないだろうと思われた。
僕はディーネを召喚し、自分も弓を取りだしラルフさんの援護が出来そうな位置に陣取った。
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