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113:白狼6
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白狼の死骸はギルド預りとなる事に決まった。調査の必要があるらしい。僕もこれの扱いをどうしようかと考えていたのだが、調査隊が他の討伐した魔物と一緒にギルドに輸送して貰える事になりほっとしていた。
正直な所、望んで戦ったわけではなかったが、調査隊が派遣された魔物と勝手に戦って倒してしまったのだ。何か言われるのではないかと緊張していたのだが、特にそんな雰囲気でもなかった。
「それにしても討伐対象を調査隊が一体も倒せなかったとは……まあエルフィーデの者が一体倒すのに貢献したようだし何とか面目は保たれたわね」
ミリアさんがサラを見ながらそう言った。サラは調査隊のサラに良く似た女性と楽しそうに話をしているようだ。
「彼女が居なければ、倒しきる事は無理でした。僕の攻撃ではダメージを与える事も出来ませんでしたから」
「この剣が奴の首筋に刺さっていたようだけど? 使い込まれた良い品ね」
ミリアさんが差し出してきたのは、僕のバゼラードだった。白狼を倒したあと直ぐに魔素吸収を始めてしまい刺さったままだったのだ。
(じいちゃんが遺してくれた大切な物なのに……僕も思っていたより動揺していたみたいだ)
僕はディーネの【ドレイン・スプラッシュ】によって与えた傷口にバゼラードを突き刺した経緯を説明した。
「なるほど、精霊石の力ね……なかなか君は興味深い戦いをするわね。リサ、ちょっと良いかしら?」
ミリアさんがサラと話していた女性に向かって呼びかけた。
「リサ、武器強化の刻印を書き換えが出来る技術者が、たしか今回の同行者の中にいたわね?」
やって来たリサという女性にミリアさんが尋ねた。どうやら転写魔法陣の使い手が同行者にいるようだ。
「はい、今回の件に必要なので同行しておりますが……それが何か?」
ミリアさんはリサさんの質問には答えず、僕に話しかけた。
「ユーリ、君のバゼラードを暫く預りたいのだが構わないかしら? 君にとって悪い話ではないと思うわ」
僕は特に拒否する理由も無いので、バゼラードをミリアさんに手渡した。受け取ったミリアさんは、そのままリサさんに手渡した。
「なるほど……黒魔鉄製のバゼラードですか、なかなかの業物ですね。刻印がかなり古い物なのが惜しいですね。このままお預かりしても?」
受け取ったバゼラードを検分していたリサさんが、そう僕に尋ねてきた。
「はい、お願いします」
僕はバゼラードが黒魔鉄製だとは思わなかったので、内心では驚いていた。だが、よく考えてみれば三枚羽の探索者だった、じいちゃんの愛用品なのだ普通の品じゃ無くて当然だったのかもしれない。
「あら、姉さん刻印書き換えだけじゃなくて、もう少しお願いよ」
サラが頼んだ内容よりも、姉さんという言葉に僕は反応してしまい……
「姉さん⁉」驚いて大声になってしまった。
「何? そこ、そんなに驚くとこかしら? リサ姉さんは私の実の姉で査察団の副長なのよ」
サラが嬉しそうに、そして、自慢そうにそう告げたのだった。
正直な所、望んで戦ったわけではなかったが、調査隊が派遣された魔物と勝手に戦って倒してしまったのだ。何か言われるのではないかと緊張していたのだが、特にそんな雰囲気でもなかった。
「それにしても討伐対象を調査隊が一体も倒せなかったとは……まあエルフィーデの者が一体倒すのに貢献したようだし何とか面目は保たれたわね」
ミリアさんがサラを見ながらそう言った。サラは調査隊のサラに良く似た女性と楽しそうに話をしているようだ。
「彼女が居なければ、倒しきる事は無理でした。僕の攻撃ではダメージを与える事も出来ませんでしたから」
「この剣が奴の首筋に刺さっていたようだけど? 使い込まれた良い品ね」
ミリアさんが差し出してきたのは、僕のバゼラードだった。白狼を倒したあと直ぐに魔素吸収を始めてしまい刺さったままだったのだ。
(じいちゃんが遺してくれた大切な物なのに……僕も思っていたより動揺していたみたいだ)
僕はディーネの【ドレイン・スプラッシュ】によって与えた傷口にバゼラードを突き刺した経緯を説明した。
「なるほど、精霊石の力ね……なかなか君は興味深い戦いをするわね。リサ、ちょっと良いかしら?」
ミリアさんがサラと話していた女性に向かって呼びかけた。
「リサ、武器強化の刻印を書き換えが出来る技術者が、たしか今回の同行者の中にいたわね?」
やって来たリサという女性にミリアさんが尋ねた。どうやら転写魔法陣の使い手が同行者にいるようだ。
「はい、今回の件に必要なので同行しておりますが……それが何か?」
ミリアさんはリサさんの質問には答えず、僕に話しかけた。
「ユーリ、君のバゼラードを暫く預りたいのだが構わないかしら? 君にとって悪い話ではないと思うわ」
僕は特に拒否する理由も無いので、バゼラードをミリアさんに手渡した。受け取ったミリアさんは、そのままリサさんに手渡した。
「なるほど……黒魔鉄製のバゼラードですか、なかなかの業物ですね。刻印がかなり古い物なのが惜しいですね。このままお預かりしても?」
受け取ったバゼラードを検分していたリサさんが、そう僕に尋ねてきた。
「はい、お願いします」
僕はバゼラードが黒魔鉄製だとは思わなかったので、内心では驚いていた。だが、よく考えてみれば三枚羽の探索者だった、じいちゃんの愛用品なのだ普通の品じゃ無くて当然だったのかもしれない。
「あら、姉さん刻印書き換えだけじゃなくて、もう少しお願いよ」
サラが頼んだ内容よりも、姉さんという言葉に僕は反応してしまい……
「姉さん⁉」驚いて大声になってしまった。
「何? そこ、そんなに驚くとこかしら? リサ姉さんは私の実の姉で査察団の副長なのよ」
サラが嬉しそうに、そして、自慢そうにそう告げたのだった。
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