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111:白狼4
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ディーネに精霊石を渡してキャロ達の元に送り出した後も、僕の麻痺状態は少し回復してはいたが立ち上がれる状態ではなかった。
白狼は予想通り標的をキャロ達に移した。怒りで半狂乱のようになった白狼が怒りの咆哮を上げながら、キャロ達がいる方角に猛然と向かって行った。
フィーネが慌てて追うように飛んでゆき、なんとか【風刃】での足止めを試みている。
そこにルピナスと黒魔弓に切り替えたサラからの攻撃も加わり、何とか足止めに成功していた。
僕の複合弓は、サラの持つ黒魔弓よりも射程が短い。それでも支援攻撃をするために、動かせる上半身を使って這うようにしてキャロ達の方角に向かった。
物凄い怒りの咆哮と【遠吠え】で周囲の魔法攻撃を無効化した白狼が、キャロ達に突撃を行った。
何度も半狂乱のような状態で攻撃を行っていた白狼も、フィーネまで防御に加わった事で【ウィンドウォール】に阻まれている。
白狼は少し冷静になったのか攻撃を辞め、キャロ達から離れた。
ようやく麻痺状態から回復した僕が、急いで白狼の元に向かおうとしたその時、白狼が例の奇妙な唸り声を上げ始めた。
(不味い! 雷撃が来る!)
僕は慌てて弓で攻撃しようとしたが、無駄だと悟った。先程からルピナスやサラの攻撃が当たってはいるのだが、半狂乱になってからの白狼の周囲には凄まじい魔力の嵐が吹き荒れ、魔法攻撃が白狼に届いていないのだ。
僕が何も出来ない無力感に苛まれていたその時、強力な魔力の発生に気が付いた。
僕が魔力の発生源を見ると、ディーネが弓を構えてるのが見えた。
白狼にかなり接近していたが、右目を失った白狼はどうやらディーネの接近に気が付いていない。上手く死角から接近したようだ。
弓からは尋常では無い魔力を感じた……どうやら魔力は精霊石から供給されているらしい。
(精霊石が力を貸してくれている? それもあるがディーネの【吸収】の力かもしれない。闇属性が関係してる?)
「【ドレイン・スプラッシュ】」
放たれた魔法は、白狼の魔力の嵐を突き破り、喉の部分に突き刺さった。
「グギャアァァ」悲鳴とも唸りともつかない声を上げ白狼はその場でのたうち回った。
放出寸前の雷撃が体内で炸裂したのだ、かなりのダメージを受けたようだ。
僕はバゼラードを抜き追撃を試みようと考えたが、白狼から吹き出す魔力の嵐は一向に収まろうとはせず更に激しさを増したようだ。
弓を打ったディーネを見ると強力な魔法を使った影響かその場に座り込んでいる。
僕は慌ててディーネの側に移動すると「疲れた、寝る」そう言いながら精霊石を差し出してきた。
「よく頑張ったね」僕は精霊石を受け取り、ディーネに労いの言葉をかけた後、送還してディーネを消した。
「ユーリ~、どうやら時間をかけられないみたいよ、傷が回復してる。右目の傷が塞がってきてるわ~」フィーネがふよふよ飛んできて白狼を指差した。
白狼の潰れた右目は、再生した訳ではないが傷は塞がって見えなくなっている。
暴れていた白狼が少し大人しくなってきた。体力の回復を図っているのだとすれば、こちらの攻撃が届かない今の状況は、時間をかけるのはこちらにとって不利だった。
「サラと貴方に【ウィンドウォール】を重ね掛けするから、あの魔力の嵐を抜けて何とか白狼に攻撃を仕掛けて~」
かなり無茶なフィーネの提案だったが、考えている時間は無いようだ。
僕とサラは、フィーネとシルフィーそしてキャロに【ウィンドウォール】を重ね掛けしてもらい白狼の魔力の嵐へ飛び込んだのだった。
白狼は予想通り標的をキャロ達に移した。怒りで半狂乱のようになった白狼が怒りの咆哮を上げながら、キャロ達がいる方角に猛然と向かって行った。
フィーネが慌てて追うように飛んでゆき、なんとか【風刃】での足止めを試みている。
そこにルピナスと黒魔弓に切り替えたサラからの攻撃も加わり、何とか足止めに成功していた。
僕の複合弓は、サラの持つ黒魔弓よりも射程が短い。それでも支援攻撃をするために、動かせる上半身を使って這うようにしてキャロ達の方角に向かった。
物凄い怒りの咆哮と【遠吠え】で周囲の魔法攻撃を無効化した白狼が、キャロ達に突撃を行った。
何度も半狂乱のような状態で攻撃を行っていた白狼も、フィーネまで防御に加わった事で【ウィンドウォール】に阻まれている。
白狼は少し冷静になったのか攻撃を辞め、キャロ達から離れた。
ようやく麻痺状態から回復した僕が、急いで白狼の元に向かおうとしたその時、白狼が例の奇妙な唸り声を上げ始めた。
(不味い! 雷撃が来る!)
僕は慌てて弓で攻撃しようとしたが、無駄だと悟った。先程からルピナスやサラの攻撃が当たってはいるのだが、半狂乱になってからの白狼の周囲には凄まじい魔力の嵐が吹き荒れ、魔法攻撃が白狼に届いていないのだ。
僕が何も出来ない無力感に苛まれていたその時、強力な魔力の発生に気が付いた。
僕が魔力の発生源を見ると、ディーネが弓を構えてるのが見えた。
白狼にかなり接近していたが、右目を失った白狼はどうやらディーネの接近に気が付いていない。上手く死角から接近したようだ。
弓からは尋常では無い魔力を感じた……どうやら魔力は精霊石から供給されているらしい。
(精霊石が力を貸してくれている? それもあるがディーネの【吸収】の力かもしれない。闇属性が関係してる?)
「【ドレイン・スプラッシュ】」
放たれた魔法は、白狼の魔力の嵐を突き破り、喉の部分に突き刺さった。
「グギャアァァ」悲鳴とも唸りともつかない声を上げ白狼はその場でのたうち回った。
放出寸前の雷撃が体内で炸裂したのだ、かなりのダメージを受けたようだ。
僕はバゼラードを抜き追撃を試みようと考えたが、白狼から吹き出す魔力の嵐は一向に収まろうとはせず更に激しさを増したようだ。
弓を打ったディーネを見ると強力な魔法を使った影響かその場に座り込んでいる。
僕は慌ててディーネの側に移動すると「疲れた、寝る」そう言いながら精霊石を差し出してきた。
「よく頑張ったね」僕は精霊石を受け取り、ディーネに労いの言葉をかけた後、送還してディーネを消した。
「ユーリ~、どうやら時間をかけられないみたいよ、傷が回復してる。右目の傷が塞がってきてるわ~」フィーネがふよふよ飛んできて白狼を指差した。
白狼の潰れた右目は、再生した訳ではないが傷は塞がって見えなくなっている。
暴れていた白狼が少し大人しくなってきた。体力の回復を図っているのだとすれば、こちらの攻撃が届かない今の状況は、時間をかけるのはこちらにとって不利だった。
「サラと貴方に【ウィンドウォール】を重ね掛けするから、あの魔力の嵐を抜けて何とか白狼に攻撃を仕掛けて~」
かなり無茶なフィーネの提案だったが、考えている時間は無いようだ。
僕とサラは、フィーネとシルフィーそしてキャロに【ウィンドウォール】を重ね掛けしてもらい白狼の魔力の嵐へ飛び込んだのだった。
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