93 / 213
093:三層4
しおりを挟む
レッサーウルフが次第に迫ってきている気配が感じられた。
「思ったよりも数が多いかもしれない!」僕がサラに叫ぶ。
サラも真剣な表情で「一斉に襲って来られると厄介ね! フィーネ! 最初から全力で行くわよ!」サラの気合いの入った呼び掛けに、
「まかせて~」口調は普段と変わらないが、今日はいつもと違いフィーネの周囲に強力な魔力の渦のような流れが見える。
(魔力だけ考えれば、今いるメンバーではフィーネが一番強いかもしれない)
頼りになる仲間がいる事に、心強い気持ちになったが、状況はそれほど芳しくなかった。
草原を追ってきた群れの数だけでも、見えている物だけでも、十匹を越える数がいるようだ。そして、森林からも回り込んでくる複数の気配と息使いが聞こえてくる。
(前後から挟み撃ちにするつもりらしいな……同時に来られると厄介だ)
「森の中を進んでいる奴らがいる、後ろにも注意して!」僕は後ろの四人に注意を促し、前の敵に向かって突撃した。
「ユーリ! 無茶しないで! とにかく速攻で数を減らしましょう」サラも僕の意図を汲んで同時に突撃してきた。
僕達二人が突撃してくるのに慌てた様子で、今まで距離を置いて様子を伺っていた内の四匹ほどが、一斉に襲いかかってきた。
「舐めないでよ!」サラが黒魔剣を振り抜くと、初めて見せてくれた時よりも巨大な【風刃】が、二匹のレッサーウルフの首を撥ね飛ばした。そして、返す刀の斬撃でもう一匹倒すと、そのまま残りの群れに飛び込んで行った。
「もう~、無茶はどっちよ~」フィーネがぼやきながらついていく。
僕は短杖を振るって、一匹の鼻頭に【風刃】を叩きつけたが、一撃で葬る程の威力は無かった。
怯んだ敵をシルフィーの【風刃】が首を切り裂き止めを刺した。
「シルフィーやはり、キャロの所に行って、回り込んでくる敵が気になる」
僕が後ろの様子を見ると、四人はこっちに向かって移動を始めたようだ。
「分かったけど、ユーリはいける?」シルフィーは【風刃】の威力不足を心配しているようだ。
僕は短杖を左手に持ち替え、右手にバゼラードを握った。
「一撃で駄目なら、牽制役に徹するだけさ! 後ろお願い!」僕はそう言うと、サラ達の後を追って、残りの群れとの戦いに飛び込んでいった。
◻ ◼ ◻
僕がサラ達に追いつくと、既にそこには四匹のレッサーウルフの死骸が転がっていた。
「シルフィーには後ろを任せたよ」僕がそう言うと、サラも頷き、
「それが良いわ、こいつら思った以上に数が多い、迂回した連中も何匹いるか分からないし……油断しないほうが良さそうね」
サラが敵から目を離さずそう言うと、「これ必要と思ったら使って」渡してきたのは黒魔弓だった。
僕はとにかく受け取りポーチに仕舞った。僕達がこんなやり取りが出来たのも、あっという間に八匹も倒されたレッサーウルフ達が、警戒して距離を置いたからに他ならない。
「まだ十匹以上残ってるわね……後ろも気になるから一気に行くわよ!」サラが黒魔剣を閃かせ突撃していく、僕もサラに敵が集中しないように牽制役として突っ込んだ。
黒魔剣の威力は凄まじく、あっという間に二匹を【風刃】で切り裂いた。僕が三匹程を引き付けている間に、フィーネが両手に【風刃】を発生させ、二匹を同時に葬った。
その時、僕の頭の中にディーネの『敵、数多い』という思念のような声が届いたのだった。
「思ったよりも数が多いかもしれない!」僕がサラに叫ぶ。
サラも真剣な表情で「一斉に襲って来られると厄介ね! フィーネ! 最初から全力で行くわよ!」サラの気合いの入った呼び掛けに、
「まかせて~」口調は普段と変わらないが、今日はいつもと違いフィーネの周囲に強力な魔力の渦のような流れが見える。
(魔力だけ考えれば、今いるメンバーではフィーネが一番強いかもしれない)
頼りになる仲間がいる事に、心強い気持ちになったが、状況はそれほど芳しくなかった。
草原を追ってきた群れの数だけでも、見えている物だけでも、十匹を越える数がいるようだ。そして、森林からも回り込んでくる複数の気配と息使いが聞こえてくる。
(前後から挟み撃ちにするつもりらしいな……同時に来られると厄介だ)
「森の中を進んでいる奴らがいる、後ろにも注意して!」僕は後ろの四人に注意を促し、前の敵に向かって突撃した。
「ユーリ! 無茶しないで! とにかく速攻で数を減らしましょう」サラも僕の意図を汲んで同時に突撃してきた。
僕達二人が突撃してくるのに慌てた様子で、今まで距離を置いて様子を伺っていた内の四匹ほどが、一斉に襲いかかってきた。
「舐めないでよ!」サラが黒魔剣を振り抜くと、初めて見せてくれた時よりも巨大な【風刃】が、二匹のレッサーウルフの首を撥ね飛ばした。そして、返す刀の斬撃でもう一匹倒すと、そのまま残りの群れに飛び込んで行った。
「もう~、無茶はどっちよ~」フィーネがぼやきながらついていく。
僕は短杖を振るって、一匹の鼻頭に【風刃】を叩きつけたが、一撃で葬る程の威力は無かった。
怯んだ敵をシルフィーの【風刃】が首を切り裂き止めを刺した。
「シルフィーやはり、キャロの所に行って、回り込んでくる敵が気になる」
僕が後ろの様子を見ると、四人はこっちに向かって移動を始めたようだ。
「分かったけど、ユーリはいける?」シルフィーは【風刃】の威力不足を心配しているようだ。
僕は短杖を左手に持ち替え、右手にバゼラードを握った。
「一撃で駄目なら、牽制役に徹するだけさ! 後ろお願い!」僕はそう言うと、サラ達の後を追って、残りの群れとの戦いに飛び込んでいった。
◻ ◼ ◻
僕がサラ達に追いつくと、既にそこには四匹のレッサーウルフの死骸が転がっていた。
「シルフィーには後ろを任せたよ」僕がそう言うと、サラも頷き、
「それが良いわ、こいつら思った以上に数が多い、迂回した連中も何匹いるか分からないし……油断しないほうが良さそうね」
サラが敵から目を離さずそう言うと、「これ必要と思ったら使って」渡してきたのは黒魔弓だった。
僕はとにかく受け取りポーチに仕舞った。僕達がこんなやり取りが出来たのも、あっという間に八匹も倒されたレッサーウルフ達が、警戒して距離を置いたからに他ならない。
「まだ十匹以上残ってるわね……後ろも気になるから一気に行くわよ!」サラが黒魔剣を閃かせ突撃していく、僕もサラに敵が集中しないように牽制役として突っ込んだ。
黒魔剣の威力は凄まじく、あっという間に二匹を【風刃】で切り裂いた。僕が三匹程を引き付けている間に、フィーネが両手に【風刃】を発生させ、二匹を同時に葬った。
その時、僕の頭の中にディーネの『敵、数多い』という思念のような声が届いたのだった。
0
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説

異端の紅赤マギ
みどりのたぬき
ファンタジー
【なろう83000PV超え】
---------------------------------------------
その日、瀧田暖はいつもの様にコンビニへ夕食の調達に出掛けた。
いつもの街並みは、何故か真上から視線を感じて見上げた天上で暖を見る巨大な『眼』と視線を交わした瞬間激変した。
それまで見ていたいた街並みは巨大な『眼』を見た瞬間、全くの別物へと変貌を遂げていた。
「ここは異世界だ!!」
退屈な日常から解き放たれ、悠々自適の冒険者生活を期待した暖に襲いかかる絶望。
「冒険者なんて職業は存在しない!?」
「俺には魔力が無い!?」
これは自身の『能力』を使えばイージーモードなのに何故か超絶ヘルモードへと突き進む一人の人ならざる者の物語・・・
---------------------------------------------------------------------------
「初投稿作品」で色々と至らない点、文章も稚拙だったりするかもしれませんが、一生懸命書いていきます。
また、時間があれば表現等見直しを行っていきたいと思っています。※特に1章辺りは大幅に表現等変更予定です、時間があれば・・・
★次章執筆大幅に遅れています。
★なんやかんやありまして...

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。


転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる