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092:三層3
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サラとディーネが目標の五匹をあっという間に仕留めたので、早速、全員で手を繋ぎ魔素吸収を行う事にした。
この方法なら全員が五匹を倒して魔素吸収を行っているのと同じ効果があるのだ。
(この調子なら人数が多くても、三層での成長限界はすぐ達成できそうだ)
ルナとディーネが二人で血抜き作業を行っている。成長しているお陰で水の属性魔法も強化されているようで、スピードが随分上がっているようだ。
順調に進んでいた狩りだったが、「ユーリ~、どうやら周囲をかなり遠巻きだけど、囲まれているみたいね~、どうする?」フィーネが一向に危機感を感じない声音で、そう報告してきた。
「離れているなら、まだ間に合うかもしれない……撤収しよう」僕は即座にそう告げると、獲物をポーチに仕舞い、三層入り口に向かい撤収する事にした。
◻ ◼ ◻
僕達は魔力循環による身体強化を行った状態で、走って移動した。しかし、敵は僕達を逃がすつもりは無いらしく、執拗に追ってくる。
どうやら敵の移動速度はこちらより速いらしい、逃げられないと判断した僕は、無駄に体力を消耗する前に迎え撃つ決断をした。
「キャロ」サラがキャロを呼び、精霊弓を手渡した。
「貴女は盾を持ってないから、この弓で遠距離支援をなさい、いい?」サラが確認すると。
「キャロ、支援するね」そう言って弓を受け取り、キャロは、三人の元に戻っていった。
シルフィーと契約してからのキャロの成長は目覚ましいものがあると思う。ダンジョンに潜り始めてからは、特に顕著にそれが表面に現れてきたようだ。
三人はキャロを三方向から囲むように盾を構えた。キャロの側にはディーネも一緒にいて、二人で弓の準備をしている。
三人の上空にはルピナスが警戒の為に飛んでいる、敵が接近したら警告の鳴き声で知らせた後に、即座に【風刃】で迎撃するよう意思で伝えてある。
ディーネも一緒にいるのだ、初動で遅れを取るとは思えないので四人の事は安心出来た。
壁になれば良いと考えて、孤児院で作って貰った盾だったが、こういう敵に囲まれた状態だと、四人にとって安全地帯を作れる心理的な効果は計り知れない。
戦う訓練を受けていない者が敵と対峙しても、まともに動ける可能性は低いからだ。
四人の準備を確認して、僕は自分の武器を短杖に決めた。バゼラードは攻撃にも防御にも使える優れた武器だが、威力に欠けるのだ。攻撃面では魔法に明らかに劣る。
こちらが六人居るにも係わらず襲ってくるのだ、敵に数の優位がある可能性は高かった。
(だとしたら、あまり時間は掛けられない。少しでも攻撃力が高い武器で数を減らさないと……問題は僕の魔力で敵を倒せるかだけど……最悪は僕が囮になって牽制役になるしかないな)
サラを見ると、黒魔剣で迎え撃つようだ、中距離では魔法、接近すれば斬撃で戦える魔法剣は、接近戦が得意なレッサーウルフ相手に最適な武器に違いない。
「さあ~、来なさい~」フィーネが珍しく、やる気に満ちている。
僕の側に来たシルフィーが「戦闘になったら【ウィンドウォール】を掛けてあげるから安心して」と言ってきた。
「キャロの側についていなくて良いの?」契約精霊にとって最も大切なのは契約者なのだ。
「キャロの事は三人に任せたわ、それにキャロ自身も【ウィンドウォール】を使えるし、ディーネもルピナスもついているのよ。結局の所、貴方を守る事がキャロを守る事に繋がるのよ」
「頼りにしてるよ」僕がシルフィーにそう返事した時、
「フォーン」レッサーウルフの遠吠えの鳴き声が聴こえてきたのだった。
この方法なら全員が五匹を倒して魔素吸収を行っているのと同じ効果があるのだ。
(この調子なら人数が多くても、三層での成長限界はすぐ達成できそうだ)
ルナとディーネが二人で血抜き作業を行っている。成長しているお陰で水の属性魔法も強化されているようで、スピードが随分上がっているようだ。
順調に進んでいた狩りだったが、「ユーリ~、どうやら周囲をかなり遠巻きだけど、囲まれているみたいね~、どうする?」フィーネが一向に危機感を感じない声音で、そう報告してきた。
「離れているなら、まだ間に合うかもしれない……撤収しよう」僕は即座にそう告げると、獲物をポーチに仕舞い、三層入り口に向かい撤収する事にした。
◻ ◼ ◻
僕達は魔力循環による身体強化を行った状態で、走って移動した。しかし、敵は僕達を逃がすつもりは無いらしく、執拗に追ってくる。
どうやら敵の移動速度はこちらより速いらしい、逃げられないと判断した僕は、無駄に体力を消耗する前に迎え撃つ決断をした。
「キャロ」サラがキャロを呼び、精霊弓を手渡した。
「貴女は盾を持ってないから、この弓で遠距離支援をなさい、いい?」サラが確認すると。
「キャロ、支援するね」そう言って弓を受け取り、キャロは、三人の元に戻っていった。
シルフィーと契約してからのキャロの成長は目覚ましいものがあると思う。ダンジョンに潜り始めてからは、特に顕著にそれが表面に現れてきたようだ。
三人はキャロを三方向から囲むように盾を構えた。キャロの側にはディーネも一緒にいて、二人で弓の準備をしている。
三人の上空にはルピナスが警戒の為に飛んでいる、敵が接近したら警告の鳴き声で知らせた後に、即座に【風刃】で迎撃するよう意思で伝えてある。
ディーネも一緒にいるのだ、初動で遅れを取るとは思えないので四人の事は安心出来た。
壁になれば良いと考えて、孤児院で作って貰った盾だったが、こういう敵に囲まれた状態だと、四人にとって安全地帯を作れる心理的な効果は計り知れない。
戦う訓練を受けていない者が敵と対峙しても、まともに動ける可能性は低いからだ。
四人の準備を確認して、僕は自分の武器を短杖に決めた。バゼラードは攻撃にも防御にも使える優れた武器だが、威力に欠けるのだ。攻撃面では魔法に明らかに劣る。
こちらが六人居るにも係わらず襲ってくるのだ、敵に数の優位がある可能性は高かった。
(だとしたら、あまり時間は掛けられない。少しでも攻撃力が高い武器で数を減らさないと……問題は僕の魔力で敵を倒せるかだけど……最悪は僕が囮になって牽制役になるしかないな)
サラを見ると、黒魔剣で迎え撃つようだ、中距離では魔法、接近すれば斬撃で戦える魔法剣は、接近戦が得意なレッサーウルフ相手に最適な武器に違いない。
「さあ~、来なさい~」フィーネが珍しく、やる気に満ちている。
僕の側に来たシルフィーが「戦闘になったら【ウィンドウォール】を掛けてあげるから安心して」と言ってきた。
「キャロの側についていなくて良いの?」契約精霊にとって最も大切なのは契約者なのだ。
「キャロの事は三人に任せたわ、それにキャロ自身も【ウィンドウォール】を使えるし、ディーネもルピナスもついているのよ。結局の所、貴方を守る事がキャロを守る事に繋がるのよ」
「頼りにしてるよ」僕がシルフィーにそう返事した時、
「フォーン」レッサーウルフの遠吠えの鳴き声が聴こえてきたのだった。
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