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083:孤児達の戦い5
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初戦闘でひたすら防御をさせられた四人は、まだ疲労は抜けきっていないようだが、緊張は解けてきているようだった。
(レッサーラビットの動きを感覚で覚えるくらいに受けきったのが、四人に自信を持たせる結果になったのかもしれない)
「フィーネ、本気でこの子達を蜂の乱獲で育成するつもり? 私としては孤児院の食糧事情を、自力で解決する力が付けば十分だと思うけど?」
孤児院の育成計画は、サラの発案によるものだ。いつの間にかフィーネが方針を決定しているのは、不自然に思えた。
「そうね~、皆が狩りに向かなくて無理してる感じだったら、少しずつ慣れていって貰おうと思ってたんだけどね~、なんとか二匹くらい狩れるようになれば、孤児院には今のところ十分だし」
僕の考えも実際の所、フィーネが話した事と同じで、無理をする必要を感じてはいなかった。
だから、振り回される事に成りかねない四人の事を案じ、もう一度フィーネと話をしようと、僕が口を開きかけた時……
「あの……フィーネさん、二層で頑張れば盾がもっと上手く扱えるように成りますか?」
四人で話す以外は僕達の会話に口出ししてこなかったティムが、珍しくそう尋ねてきた。
「そうね~、あなた達に足りないのは純粋に腕力ね~、まだ子供だから体重が軽いのはどうにもならないけど……二層で大量の魔素を吸収すれば個人差はあるでしょうが、基礎体力が上がって盾の扱いも楽になると思うわ~」
フィーネの言う個人差という部分には、僕も思い当たる所があった。成長した今も、純粋な腕力の伸びは持久力や俊敏さ魔力量の伸びに比べると若干鈍い気がしている。
それでも、ガザフに来たばかりの頃に比べれば、随分と腕力もついたと思う。三人が持っている盾も来たばかりの僕なら、扱いに苦労していただろうと思う。
(壁として使っているあの盾を、ティムは盾として使いたいのかもな)
「僕達もっと強くなりたいんです! そうすれば下の子達をダンジョンに連れて来てあげる事も出来るでしょうし……」ティムのその小さくなった声を引き取って、「そうすれば育成も自分達で出来るようになります、そうよね? ティム」今度はリーゼがそう言った。
今まで大人しかったティムのその秘めていた強い想いを聞き、僕は自分達が現状の食糧問題を解決する事だけを念頭に置いて、彼等の想いを置き去りにしていたと感じた。
それはサラにも伝わったようで、「分かったわ、私達もずっと付いていてあげられる訳じゃないのよね……二層に急ぎましょう!」
またやる気に火が付いたらしいサラが先頭を早足で歩いていく。
出会った当初は愛想の無い取っ付きにくい雰囲気だった彼女も、慣れてくると段々、彼女の見た目相応の砕けた態度で接してくれるようになってきた。
(それでも、年齢はわからないけど)
親しくはなったが、エルフの年齢を聞くのは何となく憚られた。
「さあ~、張り切って二層に向かいましょう、それがシルフ様の御言葉に叶う事になるでしょう~」フィーネが気になる事を言っている。
「シルフィー、キャロも強くなれるかな?」ディーネと手を繋ぎ、僕の前を歩いているキャロが頭上のシルフィーに無邪気にそう尋ねた。
「強くなれるわよ! 貴女には私が付いている大丈夫よ!」
「うん! キャロも頑張るよ!」
目の前の会話に癒されながら、僕達は二層に向かうのだった。
(レッサーラビットの動きを感覚で覚えるくらいに受けきったのが、四人に自信を持たせる結果になったのかもしれない)
「フィーネ、本気でこの子達を蜂の乱獲で育成するつもり? 私としては孤児院の食糧事情を、自力で解決する力が付けば十分だと思うけど?」
孤児院の育成計画は、サラの発案によるものだ。いつの間にかフィーネが方針を決定しているのは、不自然に思えた。
「そうね~、皆が狩りに向かなくて無理してる感じだったら、少しずつ慣れていって貰おうと思ってたんだけどね~、なんとか二匹くらい狩れるようになれば、孤児院には今のところ十分だし」
僕の考えも実際の所、フィーネが話した事と同じで、無理をする必要を感じてはいなかった。
だから、振り回される事に成りかねない四人の事を案じ、もう一度フィーネと話をしようと、僕が口を開きかけた時……
「あの……フィーネさん、二層で頑張れば盾がもっと上手く扱えるように成りますか?」
四人で話す以外は僕達の会話に口出ししてこなかったティムが、珍しくそう尋ねてきた。
「そうね~、あなた達に足りないのは純粋に腕力ね~、まだ子供だから体重が軽いのはどうにもならないけど……二層で大量の魔素を吸収すれば個人差はあるでしょうが、基礎体力が上がって盾の扱いも楽になると思うわ~」
フィーネの言う個人差という部分には、僕も思い当たる所があった。成長した今も、純粋な腕力の伸びは持久力や俊敏さ魔力量の伸びに比べると若干鈍い気がしている。
それでも、ガザフに来たばかりの頃に比べれば、随分と腕力もついたと思う。三人が持っている盾も来たばかりの僕なら、扱いに苦労していただろうと思う。
(壁として使っているあの盾を、ティムは盾として使いたいのかもな)
「僕達もっと強くなりたいんです! そうすれば下の子達をダンジョンに連れて来てあげる事も出来るでしょうし……」ティムのその小さくなった声を引き取って、「そうすれば育成も自分達で出来るようになります、そうよね? ティム」今度はリーゼがそう言った。
今まで大人しかったティムのその秘めていた強い想いを聞き、僕は自分達が現状の食糧問題を解決する事だけを念頭に置いて、彼等の想いを置き去りにしていたと感じた。
それはサラにも伝わったようで、「分かったわ、私達もずっと付いていてあげられる訳じゃないのよね……二層に急ぎましょう!」
またやる気に火が付いたらしいサラが先頭を早足で歩いていく。
出会った当初は愛想の無い取っ付きにくい雰囲気だった彼女も、慣れてくると段々、彼女の見た目相応の砕けた態度で接してくれるようになってきた。
(それでも、年齢はわからないけど)
親しくはなったが、エルフの年齢を聞くのは何となく憚られた。
「さあ~、張り切って二層に向かいましょう、それがシルフ様の御言葉に叶う事になるでしょう~」フィーネが気になる事を言っている。
「シルフィー、キャロも強くなれるかな?」ディーネと手を繋ぎ、僕の前を歩いているキャロが頭上のシルフィーに無邪気にそう尋ねた。
「強くなれるわよ! 貴女には私が付いている大丈夫よ!」
「うん! キャロも頑張るよ!」
目の前の会話に癒されながら、僕達は二層に向かうのだった。
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