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082:孤児達の戦い4

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 戦いはまだ続いていた。攻撃手段が無いのだから当然の事なのだ。

 四人は、ただひたすら防御するだけの、この作業とも言えるような戦いに徐々に慣れ、声を出して互いに注意しあい連携めいた物も生まれている。

 ひたすら防御されたレッサーラビットが【耳打ち】の体制に入ったのが見えた。耳が片方しかないがやるつもりのようだ。

「シルフィー、【耳打ち】が来る、そろそろ止めを!」僕の声にシルフィーは頷き、キャロの頭上から飛び立った。

 シルフィーの手のひらに小さな風の渦が見え、恐らく【風刃】と思われる物が放たれた。

 放たれた【風刃】は、一撃でレッサーラビットの頭部を吹き飛ばしてしまった。

「ちょっと力込めすぎたみたいね」シルフィーのその呟きに、下級精霊の実力を垣間見た僕だった。

 戦いが終ると四人は、その場にへたり込んでしまった……どうやら緊張の糸が切れて疲れが襲ってきたのだろう。

「さあさ、疲れてるのは分かるけど、魔素吸収だけは済まそうね」シルフィーにそう叱咤され、四人は頑張って初めての魔素吸収を始めた。

 四人がかりの魔素吸収はすぐ終わり、僕はディーネに指示して血抜きの手伝いをして貰う。

 それを、食い入るように見ていたルナが「凄い」と呟き、「私にもやらせて下さい」とディーネに頼んでいる。

「うん」とディーネは呟き、ルナに場所を譲った……譲られたルナが獲物に手を置き、水属性での血抜きを試みる……だが上手くいかないようだ。

 (やはり闇属性の一種なんだろうか)

 僕がそんな事を考えていると、ディーネがルナに近ずき、ルナの手の甲に自分の手のひらを重ねた。

「分かる?」ディーネの手のひらに魔力が循環しているのが分かった。

「あ! 分かる、分かったよ!」ルナが珍しく興奮したのか、大声を出した。

 そして、その事に気が付いたのだろう、今度は、囁くように「一人でやってみるね」とディーネに告げた。

 ディーネが手を離しても、血の流れ落ちる状態は止まらなかった……ルナは一人で出来るようになったようだ。

 これからの食糧調達の面で、血抜きの効率化をルナも出来るようになったのは、大きな進歩だった。

 (どうやらディーネのやっている事は、水属性の力だったようだ)

 僕は内心で少しほっとしていた。やはり闇属性という物に少し不安を感じていたからだ。

「ルナ上手」ディーネがルナを誉めている……ルナも嬉しそうにディーネに笑顔を向けている。

「ディーネは復活する時に、ルナの魔力の影響を受けてるから親和性が高いようね」シルフィーが僕に近寄り教えてくれた。

 僕としては、ルナとディーネが仲良さそうにしているのが嬉しかった。

「さあ~、休憩したら移動しましょう、移動しながら狩れるだけウサギを狩り、二層にいきま~す」

 突然の方針転換に皆、驚いてる……最初の育成方針は、四人だけで一層で狩りを出来るようにするというものだったからだ。

「ユーリ、サラ、シルフィー、あなた達にも手伝ってもらいますね、二層で蜂を狩って、この子達を二日程かけて出来る限り育成します~」

 フィーネはそう宣言したのだった。
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