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077:孤児院の育成準備2
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サラから準備作業の詳細な話を聞きながら歩いていると、孤児院が見えてきた。
「ここに来たのは初めて?」サラから確認されてみて改めて気が付いた。
(近くまで来た事はあったけど、ルナとキャロに孤児院に寄っていけと言われた事はないな)
僕が中に入った事は無いと答えると、「そう、慣れるまでちょっと大変よ」と、意味深に笑って玄関からさっさと中に入っていった。
孤児院は古い石積みのかなり大きな建物で、そうと知らなければ国の施設にしか見えない。
事実、この建物は旧市街がガザフの中心だった頃にエルフィーデの施設として建てられたものだった。
エルフィーデがガザフから手を引くに際して、孤児院としての体裁が整えられたらしいと、サラから聞かされた。
僕が玄関で建物を見ていると、
「そんな所で突っ立ってないで入りなよ~、みんな~ユーリきたよ~」フィーネが僕にそう言った後、建物の中の誰かに話し掛けた。
「こんにちわ~」「ウサギ肉ありがと~」「中に入らないの? 院長先生待ってるよ!」
なんだかワラワラと小さな子供達が集まってきた。僕はすっかり取り囲まれ奥に連れていかれた。
(慣れろってこの事?)
子供達に引っ張られながら、僕はそう思った。
◻ ◼ ◻
連れていかれた広い部屋は子供達で溢れていた。「ユーリ!」その中にキャロの姿があった。ルナも側にいて二人とも僕の方にやって来た。
(子供達、いったい何人いるんだろ? ウサギ一匹じゃ足りないな)
僕がそんな事を考えていると、ティムとリーゼが隣の部屋から現れた。
リーゼが僕に群がっている子供達を大切な話があるからと引き離してくれた。
僕はポーチからウサギを三匹出しティムに渡した。今日はダンジョンから真っ直ぐここに来たのでポーチに入ったままだったのだ。
ティムは数に驚いたようだったが、頭を下げて礼をすると「処理してきます」と一言だけ言って、男の子達を集め部屋を出ていった。
僕は少し後悔していた、もっと早く現状を確認しに来るべきだったと。
ただ、最近はサラがお土産で二匹くらい狩って帰るので随分、助かっていたに違いない。
残ったルナとキャロが出来上がった貫頭衣と盾を持ってきて僕に見せてくれた。
貫頭衣は僕が思っていた以上に服になっていて、要所に鉄の板が埋め込まれていて、丁寧に裁断し縫合もしっかりされている。
(銅板じゃなく鉄板になってる、蜂蜜のおかげで余裕があったんだな)
これなら簡易装備とは呼べない、とても女性らしい見た目も意識した作りだった。
残念ながら盾は、消耗品と考えての割り切りの作品だった。それでもしっかりとした作りになっていて、見た目より実用重視といった感じだった。
貫頭衣は寒い日には普段着のコートにしても恥ずかしくない出来映えだった。
(盾は恐らく、男の子達の作品なんだろうな)
女性陣の並々ならぬ気合いの入りかたと、男の子との落差を僕が可笑しく思っていると隣の部屋からサラが現れ、
「ユーリ! こっちで院長先生がお会いしたいって」と告げてきたのだった。
「ここに来たのは初めて?」サラから確認されてみて改めて気が付いた。
(近くまで来た事はあったけど、ルナとキャロに孤児院に寄っていけと言われた事はないな)
僕が中に入った事は無いと答えると、「そう、慣れるまでちょっと大変よ」と、意味深に笑って玄関からさっさと中に入っていった。
孤児院は古い石積みのかなり大きな建物で、そうと知らなければ国の施設にしか見えない。
事実、この建物は旧市街がガザフの中心だった頃にエルフィーデの施設として建てられたものだった。
エルフィーデがガザフから手を引くに際して、孤児院としての体裁が整えられたらしいと、サラから聞かされた。
僕が玄関で建物を見ていると、
「そんな所で突っ立ってないで入りなよ~、みんな~ユーリきたよ~」フィーネが僕にそう言った後、建物の中の誰かに話し掛けた。
「こんにちわ~」「ウサギ肉ありがと~」「中に入らないの? 院長先生待ってるよ!」
なんだかワラワラと小さな子供達が集まってきた。僕はすっかり取り囲まれ奥に連れていかれた。
(慣れろってこの事?)
子供達に引っ張られながら、僕はそう思った。
◻ ◼ ◻
連れていかれた広い部屋は子供達で溢れていた。「ユーリ!」その中にキャロの姿があった。ルナも側にいて二人とも僕の方にやって来た。
(子供達、いったい何人いるんだろ? ウサギ一匹じゃ足りないな)
僕がそんな事を考えていると、ティムとリーゼが隣の部屋から現れた。
リーゼが僕に群がっている子供達を大切な話があるからと引き離してくれた。
僕はポーチからウサギを三匹出しティムに渡した。今日はダンジョンから真っ直ぐここに来たのでポーチに入ったままだったのだ。
ティムは数に驚いたようだったが、頭を下げて礼をすると「処理してきます」と一言だけ言って、男の子達を集め部屋を出ていった。
僕は少し後悔していた、もっと早く現状を確認しに来るべきだったと。
ただ、最近はサラがお土産で二匹くらい狩って帰るので随分、助かっていたに違いない。
残ったルナとキャロが出来上がった貫頭衣と盾を持ってきて僕に見せてくれた。
貫頭衣は僕が思っていた以上に服になっていて、要所に鉄の板が埋め込まれていて、丁寧に裁断し縫合もしっかりされている。
(銅板じゃなく鉄板になってる、蜂蜜のおかげで余裕があったんだな)
これなら簡易装備とは呼べない、とても女性らしい見た目も意識した作りだった。
残念ながら盾は、消耗品と考えての割り切りの作品だった。それでもしっかりとした作りになっていて、見た目より実用重視といった感じだった。
貫頭衣は寒い日には普段着のコートにしても恥ずかしくない出来映えだった。
(盾は恐らく、男の子達の作品なんだろうな)
女性陣の並々ならぬ気合いの入りかたと、男の子との落差を僕が可笑しく思っていると隣の部屋からサラが現れ、
「ユーリ! こっちで院長先生がお会いしたいって」と告げてきたのだった。
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