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071:魔法弓2

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 フィーネのその申し出に、僕は驚かされた。いくら廉価な品とは言え魔法弓なのだ。

「驚くのも無理無いわね~、でも誰も使わないなら勿体ないじゃない~、どうせなら必要としてくれる人に使って貰ったほうがその子も喜ぶでしょ~」

 理屈は分かるけど、今日手伝った報酬としては高価過ぎるようにも思えた。

 (まあ僕の考えすぎで、単にフィーネの気まぐれかもしれないが)

「何故、僕なんです? 勿体ないならエルフィーデの他の人でも構わないのでは?」

 普通に考えれば、喜んで貰っておけば良いのかもしれない、だが相手はエルフィーデ女王国の関係者なのだ、慎重になるのも無理はなかった。

「そうね~、理由が必要なんだったら、こうしましょう。今度の遠征迄に十層の試練に挑めるようになる、其を条件にしましょう~」

 つまり、遠征前迄に九層に到達するという事らしい。

「勿論、強制じゃないわ、無茶をして貰いたい訳でもないのよ~、もし無理だと思ったら、弓を返してくれればいいの」

 裏を返せば、攻略出来そうな階層まで自由に使って良いとも取れる。なんとも緩い条件みたいだ。

「こんな条件を出すのも、理由があるのよ~、シルフ様がね~」フィーネがそう言い出した時、

 突然、「フィーネ! それは!」蜂の処理をしながらも、話を聞いていたらしいサラが大きな制止の声をあげた。

「あら~、この子はハーフとはいえエルフだし、召喚精霊を二体も従えていて精霊契約者なのよ、無関係とはいえないわよね~」

 フィーネは僕の事を思っていたより、知っているみたいだ。

 サラは「そうだったわね」と、思ったよりあっさりと納得して、また作業に戻ってしまった。

 僕としては、普段から自分の事をハーフエルフだと意識する事はほとんど無く、常に人間種として物事を考えている。

 人間種が黒魔鉄鉱を扱えないと聞いて、自分達の問題として心配になったくらい人間種としての意識しかないのだ。

 (容姿的にも特に意識する事無く、村で暮らしてきたし仕方ないよね)

 ハーフエルフだという事も、精霊達との関係からふと思い出すくらいだ。

 だから、エルフに関係者扱いされても違和感しかなかった。

 (僕みたいな中途半端な存在ってエルフの社会ではどう思われるんだろう)

 もしエルフの容姿で村で暮らしていれば、色々あったと思う。今の少し女性的な容姿でも少し村で浮いた存在だったのだ。

 だがサラ達はあまり気にした風には見えない。サラは誰に対しても同じような気もしたが、フィーネに関してはエルフとして接してくれてる気がした。

 (シルフィーも初めて会った時から隔意なく接してくれてたけど)

 ただあの時は、癒しで助けたという事情もあった。

 (精霊いうのは、僕達とは違う何かを、人間とエルフに見ているのかもしれないな)

 僕がその場にあまり関係ない事を色々考えていると、

フィーネが「シルフ様が仰ったの……」

先程までの間延びした口調が、鳴りを潜めたかと思うと……

 ……どこから声が出ているのだろう……不思議な声が響いた。

『今のままでは可能性が足りないのです。育てなさい国を問わず、種族を問わず、新たなる若き力を……そこに希望が生まれるかもしれません』
 
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