42 / 213
042:初めての納品
しおりを挟む
探索者ギルドの前まで来て、獲物を持ってどうしようかと入り口近くで突っ立っていた。ギルドまで来たのは良いが獲物をどこに持って行くのか分からなかったのだ。
(この前ギルドに来た時は、獲物なんて持ってる人いなかったよね……という事は場所は別なんだろうな)
僕が周囲をキョロキョロ見ていると……
「坊主そんなとこ突っ立ってると通行の邪魔だぜ! 納品なら裏回りな!」後ろからやって来た、口は悪いが親切な中年探索者に教えられた。
「すみません! ありがとうございます」僕は慌ててギルド裏に向かってみることにした。
ギルド裏はちょっとした広場になっていて、レッサーボアなどの大物を降ろした探索者がギルド職員から獲物の検分をうけている。
(ギルドの建物に裏口があったのか、ここに入ればいいのかな?)
裏口から中に入るとカウンターらしき物があり、中年のギルド職員らしき人が立っていた。
「おお、レッサーラビットかよ! 珍しいじゃねえか」
表のギルド受付嬢達とは随分違う、砕けた感じの口調でそう話しかけてきた。
「このまま、お渡しすればいいんですか?」僕は勝手が良くわからないので、そう尋ねた。
「ああ、納品は初めてか? そのままで構わない。身分証持ってるよな?」
僕はポーチから身分証を出して手渡した。そして、もう一匹のレッサーラビットを出し、追加でカロさんに解体してもらった、皮と魔石も納品した。
「ほお、綺麗に皮取りしてあるな、それに獲物も首筋だけの傷でとても良い状態だ、これなら皮も買いとれるな」
(不意討ちや、ルピナスのおかげで、手間どらなかったからな……)
「レッサーラビットの解体料金は一匹当たり銅貨五枚だ、皮は一匹分で大銅貨一枚、魔石は銅貨五枚だな」そう言って、身分証を返してくれた。
「その身分証に今回の受け取り情報が記録されている。適当な依頼書を選んで受付に渡してくれ、清算してくれるはずだ。本当は事前に受付して貰うんだが、ウサギの依頼は余ってるから問題ないだろ」
僕は身分証を受け取り、表の受付エリアに繋がっている通路を教えてもらった。
(獲物持ってたらここ通れないのか)
一方通行の通路を通り、清算するため受付エリアに向かうのだった。
◻ ◼ ◻
受付エリアの掲示板で残っている依頼書から、ダンさんの依頼書は直ぐに見つかった。
(ウサギの依頼もそれなりに余ってるけど、まあボア肉で代用が十分訊くしダンさんみたいに困っている人は珍しいかな)
今どんな物が求められているのか知りたかったので、ついでに依頼書を見て回った。
僕が読んでも全く分からない魔物の素材なんかを軽く読み飛ばしていると……【急募蜂蜜のお願い、このままでは焼き菓子作れません!】という何やら、切迫しているような、いないような微妙な依頼書が目にとまった。
依頼書の内容は本人が記載し、ギルドが受け付けるようだったので、その依頼書が子供の字なのが気になってしまったのだ。
キャロが猪鹿亭で美味しそうに、焼き菓子を頬張っていたのを思いだした僕は「焼き菓子を作れないなんて大変だ」と呟きながら、その依頼書とダンさんの依頼書を剥がした。
そして、受け付けて貰うためにマリアさんの列に並ぶのだった。
(この前ギルドに来た時は、獲物なんて持ってる人いなかったよね……という事は場所は別なんだろうな)
僕が周囲をキョロキョロ見ていると……
「坊主そんなとこ突っ立ってると通行の邪魔だぜ! 納品なら裏回りな!」後ろからやって来た、口は悪いが親切な中年探索者に教えられた。
「すみません! ありがとうございます」僕は慌ててギルド裏に向かってみることにした。
ギルド裏はちょっとした広場になっていて、レッサーボアなどの大物を降ろした探索者がギルド職員から獲物の検分をうけている。
(ギルドの建物に裏口があったのか、ここに入ればいいのかな?)
裏口から中に入るとカウンターらしき物があり、中年のギルド職員らしき人が立っていた。
「おお、レッサーラビットかよ! 珍しいじゃねえか」
表のギルド受付嬢達とは随分違う、砕けた感じの口調でそう話しかけてきた。
「このまま、お渡しすればいいんですか?」僕は勝手が良くわからないので、そう尋ねた。
「ああ、納品は初めてか? そのままで構わない。身分証持ってるよな?」
僕はポーチから身分証を出して手渡した。そして、もう一匹のレッサーラビットを出し、追加でカロさんに解体してもらった、皮と魔石も納品した。
「ほお、綺麗に皮取りしてあるな、それに獲物も首筋だけの傷でとても良い状態だ、これなら皮も買いとれるな」
(不意討ちや、ルピナスのおかげで、手間どらなかったからな……)
「レッサーラビットの解体料金は一匹当たり銅貨五枚だ、皮は一匹分で大銅貨一枚、魔石は銅貨五枚だな」そう言って、身分証を返してくれた。
「その身分証に今回の受け取り情報が記録されている。適当な依頼書を選んで受付に渡してくれ、清算してくれるはずだ。本当は事前に受付して貰うんだが、ウサギの依頼は余ってるから問題ないだろ」
僕は身分証を受け取り、表の受付エリアに繋がっている通路を教えてもらった。
(獲物持ってたらここ通れないのか)
一方通行の通路を通り、清算するため受付エリアに向かうのだった。
◻ ◼ ◻
受付エリアの掲示板で残っている依頼書から、ダンさんの依頼書は直ぐに見つかった。
(ウサギの依頼もそれなりに余ってるけど、まあボア肉で代用が十分訊くしダンさんみたいに困っている人は珍しいかな)
今どんな物が求められているのか知りたかったので、ついでに依頼書を見て回った。
僕が読んでも全く分からない魔物の素材なんかを軽く読み飛ばしていると……【急募蜂蜜のお願い、このままでは焼き菓子作れません!】という何やら、切迫しているような、いないような微妙な依頼書が目にとまった。
依頼書の内容は本人が記載し、ギルドが受け付けるようだったので、その依頼書が子供の字なのが気になってしまったのだ。
キャロが猪鹿亭で美味しそうに、焼き菓子を頬張っていたのを思いだした僕は「焼き菓子を作れないなんて大変だ」と呟きながら、その依頼書とダンさんの依頼書を剥がした。
そして、受け付けて貰うためにマリアさんの列に並ぶのだった。
0
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる