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041:青い鳥と共に4
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結果から言えば、ルピナスの案内に従ったのは正解のようだった。最初にレッサーラビットを狩った木の場所まで、帰りにかかった時間は、血抜きの待ち時間を除いても半分くらいかもしれない。
最初は木の位置から検討をつけて飛んでいるのかとも思ったが、ルピナスが飛ぶルートは中継地点に使った木の側を通過せず、真っ直ぐ目的地に飛んでいくので、方向を分かっているとしか思えなかった。
「戻ってシルフィーがいたらルピナスの事、いろいろ確認してみたいな」
昨日、キャロと契約したシルフィーはこれからは、いつもキャロと一緒にいる事になった。
ルナが今日も作業場所を借りに来ていれば、キャロと一緒に猪鹿亭にいるはずだ。
僕は、ルナに錬金術用の石臼の他にも、じいちゃんの使っていた錬金の作業台や、薬草について書かれた本、それから、僕がポーチに大量に持っていた薬草粉末を渡してある。
薬草粉末は、じいちゃんが亡くなってから薬草畑に自生していた物を僕が天日干しを行い、石臼で粉末にして瓶に保存していたものだ。
薬草粉末の代金は、ポーションが売れたら売上の一部で受け取る事になった。
いろんな物を預ける僕に、困惑していたルナだったが、僕も装備を借りたりで人に助けられている事を説明すると、なんとか納得したようだった。
本当のところは、じいちゃんが大切にしていた物を僕が使いたかったという想いもある。
でも残念ながら僕には錬金術の適正属性が無かった、だから必要としているルナの役に立つなら、じいちゃんも喜ぶような気がしたのだ。
◻ ◼ ◻
朝一番から狩りを始めたのとルピナスの助けで狩りも順調だったので、僕がダンジョンを出たのはまだ夕刻前だった。
噴水広場は時間のせいか、まだ探索者の数はまばらだった。
衛兵の一人が二匹のレッサーラビットを吊り下げた僕を見て「凄いじゃないか! 二匹も狩るなんてな! 」と驚いている。
もう片方の衛兵も「この前もソロだから気になってんだが、まだ子供みたいな年齢だろうにウサギ狩りだったのか……薬草採取かと思ってたんだが……まあ余り無理はしないようにな」
「はい、わかりました! 気を付けます」僕は覚えられていた事を驚いたが、挨拶をして、その場を去った。
探索者ギルドまで戻ると、今度は串焼き屋のおじさんが慌てて屋台から此方に来た。
「そのウサギ、お前さんが狩ったかい?」おじさんはたいそう驚いたようだった。
僕はおじさんの勢いに少し気圧されながら「そうですが……どうかしましたか?」と答えた。
「あ、ああ、すまねえ! えらい勢いで詰め寄っちまって……お前さんそのウサギ、ギルドに納品するのかい? ……もしそうなら、俺の依頼を受けてくれ。ギルドには依頼済みだからさ!」
僕はやっと話しが見えてきて、少しホッとしていた。えらい剣幕なので怒られるのかと思ったのだ……
(たしか、依頼書出してたんだよね、おじさん)
「もちろん、かまいませんよ」僕は元々、三匹は納品するつもりだったのだ。どうせなら、知り合いに喜んで貰えるなら僕も嬉しいかった。
「すまねえ! 依頼書一枚の事で大騒ぎしちまって、俺の店の名前で依頼してある。[ウサギ串焼きのダン]て名前だ」
(その名前でボア肉は売れないよね……屋台の絵もウサギだし……)
「助かるぜ、名前変えちまえばいいんだろうが、こちとら十年近くこの名前でやって来たからな……愛着もあるんだよ」
僕はこれからもできるだけ頑張りますと約束して、ギルドに納品する為にその場を後にしたのだった。
最初は木の位置から検討をつけて飛んでいるのかとも思ったが、ルピナスが飛ぶルートは中継地点に使った木の側を通過せず、真っ直ぐ目的地に飛んでいくので、方向を分かっているとしか思えなかった。
「戻ってシルフィーがいたらルピナスの事、いろいろ確認してみたいな」
昨日、キャロと契約したシルフィーはこれからは、いつもキャロと一緒にいる事になった。
ルナが今日も作業場所を借りに来ていれば、キャロと一緒に猪鹿亭にいるはずだ。
僕は、ルナに錬金術用の石臼の他にも、じいちゃんの使っていた錬金の作業台や、薬草について書かれた本、それから、僕がポーチに大量に持っていた薬草粉末を渡してある。
薬草粉末は、じいちゃんが亡くなってから薬草畑に自生していた物を僕が天日干しを行い、石臼で粉末にして瓶に保存していたものだ。
薬草粉末の代金は、ポーションが売れたら売上の一部で受け取る事になった。
いろんな物を預ける僕に、困惑していたルナだったが、僕も装備を借りたりで人に助けられている事を説明すると、なんとか納得したようだった。
本当のところは、じいちゃんが大切にしていた物を僕が使いたかったという想いもある。
でも残念ながら僕には錬金術の適正属性が無かった、だから必要としているルナの役に立つなら、じいちゃんも喜ぶような気がしたのだ。
◻ ◼ ◻
朝一番から狩りを始めたのとルピナスの助けで狩りも順調だったので、僕がダンジョンを出たのはまだ夕刻前だった。
噴水広場は時間のせいか、まだ探索者の数はまばらだった。
衛兵の一人が二匹のレッサーラビットを吊り下げた僕を見て「凄いじゃないか! 二匹も狩るなんてな! 」と驚いている。
もう片方の衛兵も「この前もソロだから気になってんだが、まだ子供みたいな年齢だろうにウサギ狩りだったのか……薬草採取かと思ってたんだが……まあ余り無理はしないようにな」
「はい、わかりました! 気を付けます」僕は覚えられていた事を驚いたが、挨拶をして、その場を去った。
探索者ギルドまで戻ると、今度は串焼き屋のおじさんが慌てて屋台から此方に来た。
「そのウサギ、お前さんが狩ったかい?」おじさんはたいそう驚いたようだった。
僕はおじさんの勢いに少し気圧されながら「そうですが……どうかしましたか?」と答えた。
「あ、ああ、すまねえ! えらい勢いで詰め寄っちまって……お前さんそのウサギ、ギルドに納品するのかい? ……もしそうなら、俺の依頼を受けてくれ。ギルドには依頼済みだからさ!」
僕はやっと話しが見えてきて、少しホッとしていた。えらい剣幕なので怒られるのかと思ったのだ……
(たしか、依頼書出してたんだよね、おじさん)
「もちろん、かまいませんよ」僕は元々、三匹は納品するつもりだったのだ。どうせなら、知り合いに喜んで貰えるなら僕も嬉しいかった。
「すまねえ! 依頼書一枚の事で大騒ぎしちまって、俺の店の名前で依頼してある。[ウサギ串焼きのダン]て名前だ」
(その名前でボア肉は売れないよね……屋台の絵もウサギだし……)
「助かるぜ、名前変えちまえばいいんだろうが、こちとら十年近くこの名前でやって来たからな……愛着もあるんだよ」
僕はこれからもできるだけ頑張りますと約束して、ギルドに納品する為にその場を後にしたのだった。
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