31 / 213
031:ポーション売りの少女2
しおりを挟む
「ええ、勿論、本物ですよ!」僕は強く言い切った。
じいちゃんのポーションを今まで大量に見てきたのだ、本物かどうかぐらいわかるからだ。
「サクラとかじゃねよな?」随分、疑い深いがなんだろう?気にいらなければ無視して通り過ぎればいいのに……
「僕は二日前にガザフに着いたばかりの探索者です。近くのダリル鍛冶屋で防具のメンテナンスを頼んで、偶然、この子達からポーション買っただけですよ」
そう言って僕はギルドの身分証まで見せた。
「そ、そうかすまんな、確かに昨日の登録だ。疑うような事、言って悪かったな」
口調はともかく、態度は最初から悪くないので、絡むために話しかけてきたようには見えない。
「いえ、分かって貰えたのならかまいませんよ、でも、疑わしいなら無視すれば良いのでは?」
僕は自分の証明が終わったので、ここで会話を打ち切ってもよかったのだが、気になったのでそう質問してみた。
「ああ、あんたの言う通りなんだが……前から気になっててな、売れてないみたいだから。買ってやりたいとは思ってたんだが……以前、露天商で安くポーション買ってただの浄化水だった事があってな、探索者にとっちゃ命に関わるからな」
僕はやっと理解出来た。子供達のポーションが売れてないのが可哀想だったみたいだ、見かけより優しい人達だったみたいだ。
「僕は錬金術師ではありませんが、祖父は村で錬金術師をやっていたのでポーションの目利きぐらいは出来ます。それから……」
僕はポーチからポーション瓶に詰めてあった薬草粉末を取りだした。
「これは、僕が村で薬草から作った粉末です。このままでも多少の治療効果があります。その手の傷を治療しても? 」実はさっきから、その探索者の手の傷が気になっていたのだ。
「あ、ああ頼む……」男は若干不安そうだが、手を差し出してきた。
その時、女の子が「私が作った、浄化水です! よかったらどうぞ」と差し出してくれた。僕は普通の飲み水を使うつもりだったので有り難く受け取った。
そして、男の手に薬草粉末を少し振りかけ、その上から浄化水を少しふくませた。
「おお! ジクジクしていた痛みが引いていく!」男の傷は見た目より悪かったようで、放置していて化膿しかかっていたようだ。
「治療効果は低いですが、そのうち治るでしょう……つまり何が言いたいかというと、薬草にも詳しいので、この子達が天日干ししてる、薬草も本物だとわかるわけです」
少々まわりくどくなったが僕が説明を終えると……
「あのお客様、その薬草粉末少し頂けませんか? ……もちろん、後ほど、お金は支払います」
僕が不思議そうに薬草粉末を手渡した。すると……
「私、この場でポーションを錬成します!」と、女の子は力強く宣言したのだった。
じいちゃんのポーションを今まで大量に見てきたのだ、本物かどうかぐらいわかるからだ。
「サクラとかじゃねよな?」随分、疑い深いがなんだろう?気にいらなければ無視して通り過ぎればいいのに……
「僕は二日前にガザフに着いたばかりの探索者です。近くのダリル鍛冶屋で防具のメンテナンスを頼んで、偶然、この子達からポーション買っただけですよ」
そう言って僕はギルドの身分証まで見せた。
「そ、そうかすまんな、確かに昨日の登録だ。疑うような事、言って悪かったな」
口調はともかく、態度は最初から悪くないので、絡むために話しかけてきたようには見えない。
「いえ、分かって貰えたのならかまいませんよ、でも、疑わしいなら無視すれば良いのでは?」
僕は自分の証明が終わったので、ここで会話を打ち切ってもよかったのだが、気になったのでそう質問してみた。
「ああ、あんたの言う通りなんだが……前から気になっててな、売れてないみたいだから。買ってやりたいとは思ってたんだが……以前、露天商で安くポーション買ってただの浄化水だった事があってな、探索者にとっちゃ命に関わるからな」
僕はやっと理解出来た。子供達のポーションが売れてないのが可哀想だったみたいだ、見かけより優しい人達だったみたいだ。
「僕は錬金術師ではありませんが、祖父は村で錬金術師をやっていたのでポーションの目利きぐらいは出来ます。それから……」
僕はポーチからポーション瓶に詰めてあった薬草粉末を取りだした。
「これは、僕が村で薬草から作った粉末です。このままでも多少の治療効果があります。その手の傷を治療しても? 」実はさっきから、その探索者の手の傷が気になっていたのだ。
「あ、ああ頼む……」男は若干不安そうだが、手を差し出してきた。
その時、女の子が「私が作った、浄化水です! よかったらどうぞ」と差し出してくれた。僕は普通の飲み水を使うつもりだったので有り難く受け取った。
そして、男の手に薬草粉末を少し振りかけ、その上から浄化水を少しふくませた。
「おお! ジクジクしていた痛みが引いていく!」男の傷は見た目より悪かったようで、放置していて化膿しかかっていたようだ。
「治療効果は低いですが、そのうち治るでしょう……つまり何が言いたいかというと、薬草にも詳しいので、この子達が天日干ししてる、薬草も本物だとわかるわけです」
少々まわりくどくなったが僕が説明を終えると……
「あのお客様、その薬草粉末少し頂けませんか? ……もちろん、後ほど、お金は支払います」
僕が不思議そうに薬草粉末を手渡した。すると……
「私、この場でポーションを錬成します!」と、女の子は力強く宣言したのだった。
0
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
異世界でもプログラム
北きつね
ファンタジー
俺は、元プログラマ・・・違うな。社内の便利屋。火消し部隊を率いていた。
とあるシステムのデスマの最中に、SIer の不正が発覚。
火消しに奔走する日々。俺はどうやらシステムのカットオーバの日を見ることができなかったようだ。
転生先は、魔物も存在する、剣と魔法の世界。
魔法がをプログラムのように作り込むことができる。俺は、異世界でもプログラムを作ることができる!
---
こんな生涯をプログラマとして過ごした男が転生した世界が、魔法を”プログラム”する世界。
彼は、プログラムの知識を利用して、魔法を編み上げていく。
注)第七話+幕間2話は、現実世界の話で転生前です。IT業界の事が書かれています。
実際にあった話ではありません。”絶対”に違います。知り合いのIT業界の人に聞いたりしないでください。
第八話からが、一般的な転生ものになっています。テンプレ通りです。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめてになります。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる