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024:三人の元ウサギ狩人達の結論
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「それにしてもまさか坊主が、ラロルフさんの孫だったなんてなあ!」ドルフさんが感慨深そうにそう言うと。
「まったくだぜ! こんな偶然あるんだな!」ザザさんが大声をあげた。
だがゼダさんだけは、「そうか……ラロルフさん亡くなったのか……」
その一言で、他の二人も黙りこみ、暫くは静かに目を瞑ってそれぞれ何かを思い出しているようだった。
初めに話し出したのは意外にもザザさんだった。
「俺はよお! 駆け出しの何もわからねえ時よ! ……世話になったんだよ……」
普段、威勢の良いザザさんは激情家らしく目に涙をうかべている。
「ああ俺も寂しいが……ラロルフさんの事を考えると懐かしさが先にくるぜ……」ドルフさんはそう言ったきり、また黙りこんだ。
ゼダさんが突然「ラロルフさんの村での暮らしを聞いてもいいか?」と言ってきた。
僕は、じいちゃんの村での暮らし、錬金術師としてのポーション作りや薬草栽培、暇があれば僕の勉強や剣術訓練……平和で充実していたように思う。
「冬の終わり頃に体調を悪くして回復しないまま……そして亡くなる前にダンジョン行きを勧めて、翌朝眠るように亡くなりました」僕が話しをそう締め括るとゼダさんが
「当時のトップ組に加わるような攻略者だったラロルフさんが怪我で引退したと聞いた時は、残念に思ったものだが……穏やかで静かな最後を迎えられたのだ、これで良かったのかもしれん……」
静かにそう呟いたのだった。
◻ ◼ ◻
「それにしても、ラロルフさんが錬金術師ってのが意外だな、俺の中じゃ斧ぶっぱなしてる豪快なイメージしかねえんだが」ドルフさんがしみじみと言うと
「そうだぜ! ラロルフさん、いつもウサギ瞬殺してから、俺はここに来た最初から一撃必殺だぜ! とチマチマやってる俺に自慢してたからな!」ザザさんが楽しそうだ
ドルフさんが「これは知らねえな……」
そしてザザさんも、「ああ、耳打ちなんざ知るわけねえ!」
「ウサギ追い詰める前に、終るんなら知るわけなかろう。謎は解けたな」ゼダさんがそう結論を述べた。
「よかったな坊主、ラロルフさんはお前の実力を見誤ったりはしてねえよ、只、ラロルフさんと坊主では戦い方が違いすぎる。そう言う意味での見誤りはあったかもしれんがな……」
ドルフさんが一人納得したように頷いた。
「俺もそう思う、ウサギが絶望するくらいの回避力だ技術的には問題ないだろう。」ゼダさんが請け負ってくれた。
「だがよ! 坊主の防具を見れば問題が起こったのも事実だぜ⁉」
威勢が良いわりには慎重な性格なのか、ザザさんが慎重意見を唱えた。
「滅多に起こらねえ攻撃にそこまで気い使う必要あるか?」ドルフさんがすかさず反論した。
「うむ、同感だが、それを初戦闘で経験する程の坊主の慎重さだ……今の防具を修理して使っても、問題なくいけそうだが……対策しとくのが最善かもしれん」
ゼダさんは、そう言うと立ち上がり、二人を集めて相談を始めた。
「まったくだぜ! こんな偶然あるんだな!」ザザさんが大声をあげた。
だがゼダさんだけは、「そうか……ラロルフさん亡くなったのか……」
その一言で、他の二人も黙りこみ、暫くは静かに目を瞑ってそれぞれ何かを思い出しているようだった。
初めに話し出したのは意外にもザザさんだった。
「俺はよお! 駆け出しの何もわからねえ時よ! ……世話になったんだよ……」
普段、威勢の良いザザさんは激情家らしく目に涙をうかべている。
「ああ俺も寂しいが……ラロルフさんの事を考えると懐かしさが先にくるぜ……」ドルフさんはそう言ったきり、また黙りこんだ。
ゼダさんが突然「ラロルフさんの村での暮らしを聞いてもいいか?」と言ってきた。
僕は、じいちゃんの村での暮らし、錬金術師としてのポーション作りや薬草栽培、暇があれば僕の勉強や剣術訓練……平和で充実していたように思う。
「冬の終わり頃に体調を悪くして回復しないまま……そして亡くなる前にダンジョン行きを勧めて、翌朝眠るように亡くなりました」僕が話しをそう締め括るとゼダさんが
「当時のトップ組に加わるような攻略者だったラロルフさんが怪我で引退したと聞いた時は、残念に思ったものだが……穏やかで静かな最後を迎えられたのだ、これで良かったのかもしれん……」
静かにそう呟いたのだった。
◻ ◼ ◻
「それにしても、ラロルフさんが錬金術師ってのが意外だな、俺の中じゃ斧ぶっぱなしてる豪快なイメージしかねえんだが」ドルフさんがしみじみと言うと
「そうだぜ! ラロルフさん、いつもウサギ瞬殺してから、俺はここに来た最初から一撃必殺だぜ! とチマチマやってる俺に自慢してたからな!」ザザさんが楽しそうだ
ドルフさんが「これは知らねえな……」
そしてザザさんも、「ああ、耳打ちなんざ知るわけねえ!」
「ウサギ追い詰める前に、終るんなら知るわけなかろう。謎は解けたな」ゼダさんがそう結論を述べた。
「よかったな坊主、ラロルフさんはお前の実力を見誤ったりはしてねえよ、只、ラロルフさんと坊主では戦い方が違いすぎる。そう言う意味での見誤りはあったかもしれんがな……」
ドルフさんが一人納得したように頷いた。
「俺もそう思う、ウサギが絶望するくらいの回避力だ技術的には問題ないだろう。」ゼダさんが請け負ってくれた。
「だがよ! 坊主の防具を見れば問題が起こったのも事実だぜ⁉」
威勢が良いわりには慎重な性格なのか、ザザさんが慎重意見を唱えた。
「滅多に起こらねえ攻撃にそこまで気い使う必要あるか?」ドルフさんがすかさず反論した。
「うむ、同感だが、それを初戦闘で経験する程の坊主の慎重さだ……今の防具を修理して使っても、問題なくいけそうだが……対策しとくのが最善かもしれん」
ゼダさんは、そう言うと立ち上がり、二人を集めて相談を始めた。
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