16 / 213
016:ウサギとの戦い1
しおりを挟む
目印の木の側で発見したレッサーラビットを、初めて見た僕の感想は、屋台のおじさん絵が上手だね……そして、可愛くない。
更に大きい村の標準的な四歳児より大きいかもしれない……顔もかなり凶暴そうで耳が異様に細くて長い。
そして、先端が丸く玉のようになっていた。
(……はっきり言って異様な感じだな……そうだ!)
僕は自分の装備の確認を行っていない事を思い出したのだ。
(あぶない、あぶない、じいちゃんにもよく注意を受けたっけ。えっと……)
まず盾は、左腕に装備していて、木製の平盾に山ボアの皮を張り、そこに銅板を縫込んだ物だ。
軽くて多少は衝撃を吸収してくれる。
防具は、ボア革のベストで、これも銅板を縫込んだ物で、村で狩りをする時に着ていたものだ。
じいちゃんから、譲り受けた黒豹の肌着を服の下に着ている。
腰にはバゼラードが鞘に収まっている。
他の人が僕の外見を見れば田舎の狩人にしか見えないかもしれない……
(……ウサギに似ていても、やはり魔物なんだな……でも山ウサギは可愛いから狩るのに罪悪感があって辛かったけど……これにはないな……)
「ないな!」そう叫んで、一気に距離を詰めると、バゼラードを抜いて突きの体制から飛びかかった。
気合いを入れるために叫んだ僕はウサギが異常に耳が良い事を忘れていた。
僕の必殺の気合いのこもった一撃は、辛うじて首の皮に掠めたようだ。
どうやら察知して回避されたようだ……
三層までの魔物は敵対行動を取らなければ、襲ってこないものが多い。
レッサーラビットは、敵を察知すると距離を取り警戒態勢にはなるが、襲ってはこない。
それでも、少しでもダメージを受けると、自分か敵が死ぬまで凶暴に襲いかかってくる。
(ああ、なにやってんの僕は……耳が良いのは山ウサギで経験済みなのに……でもなんとか当たった……)
内心で自分を罵りながらも、なんとか気持ちを切り替え敵に集中する。
僕を敵と判断したレッサーラビットは、猛然と突撃してきた。
そのジャンプからの足蹴りをなんとかかわしたが、蹴りにより地面が軽く陥没していた。
その威力に驚いた僕だったが、そのお陰でかえって冷静になった。
(……威力がある……今まで、じいちゃんから教わった事を思い出すんだ。僕の戦い方は相手の攻撃からのカウンターだ!)
最初の一撃で相手に致命傷が無理でもダメージを与え、ダンジョン初の実戦を短時間で終わらせようと考えていた。
そんな目論見の失敗は、思っていた以上に僕から冷静さを失わせていたようだ。
それからの僕は攻撃を捨て、レッサーラビットの動きの観察に徹した。
これから何度も戦う事になる敵なのだ、全ての攻撃の挙動を見極めるくらいのつもりだった。
集中して敵の動きをひたすら観察していると、段々パターンが読めてきた、左斜め、右斜めからのフェイント蹴り、前方突進蹴り、そして同じ動作の頭突きだった。
頭突きは蹴りより高さがあり、顔めがけて攻撃してくる厄介な攻撃だ。
初めて頭突きがきた時は、慌ててしまい辛うじて盾で受けるので精一杯だった。
予期せぬ攻撃に盾でまともに受けて、左腕が痺れて動かなくなり、なんとか剣の突きで牽制しながら、距離を取り凌いだ。
頭突きと、蹴りのコンビネーションは厄介だったが、知ってしまえば、盾を使って弾いてさばく事が出来るようになった。
それでもまともに受けた事による盾のダメージが深刻で、そろそろ限界がきそうだ。
(……次の攻撃に対してカウンターの突きで攻撃しよう……)
そう考え実行に移そうとした時、その攻撃はきたのだ……レッサーラビットは僕から見て左斜めへフェイントのジャンプを行い、少し溜めの動作の後、仰け反り……
(頭突き? でも軌道が低くて速い!)
危険を感じ盾で弾こうとして……何かが当たる衝撃がきた。一瞬で盾が半分に折れ、更に前から鞭のようなものがうねるように飛んでくるのが見えた。
それは……レッサーラビットの長い二本の耳だった。
長い耳が鞭のような働きをしたに違いない。だが僕の分析もそこまでだった。
(連続攻撃……もう防げない……魔力循環!)
僕は一瞬で体に魔力を込め、次の瞬間に来るだろう衝撃に備えるのだった。
更に大きい村の標準的な四歳児より大きいかもしれない……顔もかなり凶暴そうで耳が異様に細くて長い。
そして、先端が丸く玉のようになっていた。
(……はっきり言って異様な感じだな……そうだ!)
僕は自分の装備の確認を行っていない事を思い出したのだ。
(あぶない、あぶない、じいちゃんにもよく注意を受けたっけ。えっと……)
まず盾は、左腕に装備していて、木製の平盾に山ボアの皮を張り、そこに銅板を縫込んだ物だ。
軽くて多少は衝撃を吸収してくれる。
防具は、ボア革のベストで、これも銅板を縫込んだ物で、村で狩りをする時に着ていたものだ。
じいちゃんから、譲り受けた黒豹の肌着を服の下に着ている。
腰にはバゼラードが鞘に収まっている。
他の人が僕の外見を見れば田舎の狩人にしか見えないかもしれない……
(……ウサギに似ていても、やはり魔物なんだな……でも山ウサギは可愛いから狩るのに罪悪感があって辛かったけど……これにはないな……)
「ないな!」そう叫んで、一気に距離を詰めると、バゼラードを抜いて突きの体制から飛びかかった。
気合いを入れるために叫んだ僕はウサギが異常に耳が良い事を忘れていた。
僕の必殺の気合いのこもった一撃は、辛うじて首の皮に掠めたようだ。
どうやら察知して回避されたようだ……
三層までの魔物は敵対行動を取らなければ、襲ってこないものが多い。
レッサーラビットは、敵を察知すると距離を取り警戒態勢にはなるが、襲ってはこない。
それでも、少しでもダメージを受けると、自分か敵が死ぬまで凶暴に襲いかかってくる。
(ああ、なにやってんの僕は……耳が良いのは山ウサギで経験済みなのに……でもなんとか当たった……)
内心で自分を罵りながらも、なんとか気持ちを切り替え敵に集中する。
僕を敵と判断したレッサーラビットは、猛然と突撃してきた。
そのジャンプからの足蹴りをなんとかかわしたが、蹴りにより地面が軽く陥没していた。
その威力に驚いた僕だったが、そのお陰でかえって冷静になった。
(……威力がある……今まで、じいちゃんから教わった事を思い出すんだ。僕の戦い方は相手の攻撃からのカウンターだ!)
最初の一撃で相手に致命傷が無理でもダメージを与え、ダンジョン初の実戦を短時間で終わらせようと考えていた。
そんな目論見の失敗は、思っていた以上に僕から冷静さを失わせていたようだ。
それからの僕は攻撃を捨て、レッサーラビットの動きの観察に徹した。
これから何度も戦う事になる敵なのだ、全ての攻撃の挙動を見極めるくらいのつもりだった。
集中して敵の動きをひたすら観察していると、段々パターンが読めてきた、左斜め、右斜めからのフェイント蹴り、前方突進蹴り、そして同じ動作の頭突きだった。
頭突きは蹴りより高さがあり、顔めがけて攻撃してくる厄介な攻撃だ。
初めて頭突きがきた時は、慌ててしまい辛うじて盾で受けるので精一杯だった。
予期せぬ攻撃に盾でまともに受けて、左腕が痺れて動かなくなり、なんとか剣の突きで牽制しながら、距離を取り凌いだ。
頭突きと、蹴りのコンビネーションは厄介だったが、知ってしまえば、盾を使って弾いてさばく事が出来るようになった。
それでもまともに受けた事による盾のダメージが深刻で、そろそろ限界がきそうだ。
(……次の攻撃に対してカウンターの突きで攻撃しよう……)
そう考え実行に移そうとした時、その攻撃はきたのだ……レッサーラビットは僕から見て左斜めへフェイントのジャンプを行い、少し溜めの動作の後、仰け反り……
(頭突き? でも軌道が低くて速い!)
危険を感じ盾で弾こうとして……何かが当たる衝撃がきた。一瞬で盾が半分に折れ、更に前から鞭のようなものがうねるように飛んでくるのが見えた。
それは……レッサーラビットの長い二本の耳だった。
長い耳が鞭のような働きをしたに違いない。だが僕の分析もそこまでだった。
(連続攻撃……もう防げない……魔力循環!)
僕は一瞬で体に魔力を込め、次の瞬間に来るだろう衝撃に備えるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
315
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる