上 下
2 / 41

第1話2 転生と無自覚な活躍

しおりを挟む
 とは言え、レイはこの時点で全てを思い出している訳ではない。いまだ、自分が悪役モブであることにも気づいていないし、それに、はりつけにされて餓死する運命だということも思い出していない。


 その上、転生の記憶が溢れたのが原因でレイヴン・ヴィランとしての記憶までも曖昧になっている――自己同一性アイデンティティが揺らいでいる。


 だから、それがどれだけ悪手なのか気づかず、レイは自分のアイデアに浮かれて「わーい」と【聖女】に近づこうとした。


 足を引っかけられた。


 やったのは【聖女】に声をかけようとしていた貴族の男の子で、足を引っかけると言うよりもうほとんど蹴りを入れたような感じ――足払いをして、そのまま蹴り上げ、レイを顔面から転ばせようという意思が感じられた。


 が、それは成功しない。


「へ?」


 と、男の子は間抜けな声を出す。


 蹴り出した男の子の足がレイの足によってグンッと弾き返され、そのまま体勢を崩して顔から転ぶ。


 不様に、転ぶ。


 レイにやろうとしたことがそのまま自分に返ってきて、男の子は羞恥に顔を赤く染めた。


 一方のレイは何が起きたのか解っていない――はっきり言って男の子が足をかけようとしたことにすら気づいておらず、キョトンとした顔をして、


「……君なにしてんの?」


 そう尋ねた。


 あおるな。


 男の子はさらに顔を真っ赤に染めた。


 当然である。


 レイのステータスはこの直前、この場の全員に公表されている。


 抜粋すれば以下の通り。


===========

 攻撃力:   1(MAX)
 防御力:   1(MAX)
 魔法攻撃力: 1(MAX)
 魔法防御力: 1(MAX)
 敏捷:    1(MAX)

 スキル:

===========


 MAXの文字はこれ以上数値が上がらないことを意味していて、つまり、レイは魔法も武術も何にも適性がない。


 そんな、クソザコともいえるレイに足をかけて、逆に転ばされた男の子。


 それはつまり、そんなクソザコ以下であると、この場の全員に公表してしまったようなもので、男の子は顔をどす黒くして涙目になった。


「お、お前……どんな魔道具使った! この俺に恥掻かせやがって!」

「え……ええ……」


 レイは困惑した。


(魔道具なんて使ってないよ。勝手に転んだんでしょ?)


 実際にはそうではない。


 もちろん魔道具が使われた訳でもない。


 貴族の男の子が転んだのはレイののせいである。


 ただし、レイは自分にユニークスキルがあることに気づいていない。


 それも当然のことだった。


 ユニークスキルは――もしもスキルがなければそもそも「スキル」という項目が出現しない。


 そして、この事実をこの場の全員が理解していない――だから馬鹿にされているし、当の本人であるレイも解っていないので、いま目の前で貴族の男の子が転んだのがわざとだと思っている。


(こんなの当たり屋だよ! きっと医療費と慰謝料請求されるんだ!)


 そう考えてレイは頭を抱えた。


(そ、そうだ! 証人! きっと周りの人たち見てただろうから証人になってもらえば僕が転ばしたんじゃないって解るはず! えっと――)


 と、レイは周りを見回して、そして【聖女】と目が合った。


「あの! 見てましたよね!? 僕、魔道具なんて使ってない!」

「……ええ、確かに使っていません」

「ああ、よかった」

「魔道具を使わずに転ばせていました」


(裏切り者おおおおおお!! ほんとに【聖女】かお前えええええ!)


 衝撃過ぎて叫ぶこともできないレイだったが、周りの貴族たちが頷いているのを見てさらに衝撃を受けた。


(そうか、解ったぞ! 全員グルなんだ! みんなして僕を陥れようとしてるんだ! みんな僕のこと嫌いだから!!)


 レイがそんな勘違いをしている傍らで、男の子は叫んだ。


「いや、違う! 魔道具だ! 絶対魔道具だ!」


 男の子としてはそうあって欲しい――と言うかそうでないと困る。魔道具ではないとすれば、本当にあの弱小ステータスにやられたと言うことになってしまい、彼の沽券に関わる。


 そんなことなど知らないレイは、


(なにケンカしてんの、この子たち。いいじゃんどっちでも。どっちにしたって、このあと転ばせた僕のこと責めるんでしょ? 身ぐるみ剥がして、何もかも持って行くんだ! 嫌だあああ!)


 そう考えて、


「魔道具を理由にして、僕のこと脱がすつもりでしょ!」

「はあ!? 何考えて――」

「え、最高じゃん! あ……」


【聖女】が何かを口走ってすぐに両手で口を押さえた。


【聖女】は腐女子だった。


 たぶん【聖女】の称号返納した方がいい。


「なんでもありません。続けてください」

「なにを!?」


 レイは叫んで、確信した。


(やっぱり全員グルなんだ! 止めようともしないもん! もうダメだ。このままじゃ僕裸に剥かれて殺される!)


 身の危険を感じたレイはあたりを見回して、メイドを呼んだ。


(あの子がきっと助けてくれる。僕はもう無理です。怖いもん!)


「ヨル! ヨル!」


 レイは背伸びをしてあたりを見回していた。きっと一目散に駆けつけてくれるそう思っていた。
 

 しかし、


「はいな!」


 と、声が聞こえたのは上だった。


 レイが見上げると、ヨルは音もなく落ちてきて着地し、ぽいっと担いでいたものを投げ捨てる。


 四人の男たち。
 全員気絶している。


 レイも【聖女】も、その場にいた貴族たちもぎょっとしてそれを見て、それからヨルの方へ視線を向けた。


 真っ黒なメイド服に真っ黒な髪。
 身長は大きく豊満な体つきをしている。
 

 ヨルはガジガジと自分の親指を甘噛みしてから、


「仕事したぜぃ、レイヴン様。ケーキを所望する」

「……この人たち何?」

「なんだあ、解ってるっしょ。その【聖女】様を狙ってた悪い奴らよ――誰だかは知らねえけど」

「え!」


 と、【聖女】は身を固めて男たちを見下ろした。


「アタシ……狙われてたの……?」

「この教会に入ったときからずっと、なんかいるなぁと思ってたぜ。レイヴン様も気づいてたはず――そうじゃなきゃ、わざわざ近づいて助けに来ねぇもん」


(気づいてないよ)


 レイが反論しようとするのも無視して、ヨルは人差し指を甘噛みしてから続けた。


「いやあ、しかしレイヴン様さすがだぜ。ステータスで周りを油断させてから、時間稼ぎのために近づいていくなんてなぁ。こいつら焦ってたぜ。『あんな低いステータスが近くにいたんじゃ、必ず巻き添えになる。霧の伯爵を敵に回すのは悪手だ』ってなあ。さすがの一手だぜ」


(ああ、この子バカなんだ。僕なにもしてないのに)


 とレイは思った。


「僕何も指示してないのに」

「その深意をおもんぱかるのが使用人ってもんだろ。レイヴン様のやろうとしてることくらい解ってるぜ、もちろん。【聖女】に近づいた時点で行動開始ってのがはっきり解るもんな。普通は近づかねえから」

「…………」


(僕は大真面目に近づいたんだよ! え、もしかして僕馬鹿にされてるのかな!?)


 だんだん皮肉を言われている気がしてきたけれど、ヨルは全くそんなことを考えていない――彼女はマジでレイのことを称賛して、続ける。


「しっかし、ウチが気づいてない悪い奴まで見つけるなんて凄えよな、レイヴン様は」


 ヨルは言って、レイに足を引っかけた貴族の男の子を指さした。


「な! 俺は違う!」

「あのなあ、いいか?」


 ヨルはぶわっと魔力を噴出させた。


 それは明らかな威嚇。


 周りにいた貴族たちが怯えたように後退り、男の子は尻餅をつく。


「お前はレイヴン様をあざ笑うだけじゃ飽き足らず、危害を加えようとしたんだ。蹴りを入れただろ? な? その時点でウチはお前をひねり潰したかったんだけどよ、お前の背中をみて止めたんだ。ウチは上から落ちてきたからな。よおく見えたぜ、その入れ墨」


 ヨルは言って、尻餅をついている男の子の襟元を掴んだ。確かに、背中に入れ墨が入っているのが見える。


「いけないよなあ。これ、魔紋だろ? 魔力の流れを変形させて、ステータスを底上げする。いわゆる、詐欺ってやつだな。で、教会の石版ちょろまかすような凄え魔紋ってよ、違法じゃなかったか? しかも、これ、ウチが気絶させた奴らに同じのついてるよな? なんでだろうなあ? おかしいよなあ?」


 ヨルは男の子に顔を近づけて笑みを浮かべた。


「その体に聞いても良いんだぜ」


 男の子は気絶した。


 一方、完全に状況に置いてきぼりを喰らっているレイは、今すぐにでもここから逃げ出したかった。


 さっきと理由は違う。


(何でこんなに目立ってるのかな!? 僕はただ【聖女】とお友達になろうとしただけなのに!!)


 レイは人垣の中に紛れ込んで縮こまって、ヨルのこと置いて一人で帰ろうかなと思っていた。


 ヨルに呼ばれるまでは。


「あれ? レイヴン様がいない。レイヴン様! 終わったぜ? レイヴン様! あ、いた」

「ああうん、はい」


 これ以上自分の名前を呼ばれたくなかったのでレイはすごすごと出て行って、ヨルのお尻を押す。


「帰ろ帰ろ。こんなとこいたくない」

「あの!」


【聖女】が言ってレイを呼び止めた。


「アタシ……狙われてるなんて思ってもみなくて……救ってくれてありがとうございました」

「ヨルがやったことだから」

「何言ってるんです! レイヴン様がやったことでしょう」


(僕に責任を押しつけるな!!)


「ヨルがやったことだから! じゃあね!」


 レイは叫んで、逃げるようにその大教会を後にした。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ
ファンタジー
飛ぶ鳥を落とす勢いで、たちまち一目を置かれる存在となったギルド【フレイムナイツ】 この剣と魔法の異世界では、数多の冒険者達が日々活躍していた。 基本は4人編成のパーティから始まるが、ランクや実績を重ねたパーティは人数を増やし、自分達でギルド経営をする事が多い。 この世界では、10歳になると全ての人間が“職種適正”を受け、その適正で【剣士】や【魔法使い】といった職種が決まる。そうして、決まった職種と生まれ持った魔力を合わせて冒険者となる人が多い。 そんな中で、パーティ結成から1年しか経たないにも関わらず、その確かな実力で頭角を現してきたギルド……フレイムナイツー。 ギルドには【剣士】【魔法使い】【ヒーラー】【タンク】等の花形の職種が当然メインだが、ギルド経営となるとその他にも【経営】【建設】【武器職人】等々のサポート職種もとても重要になってくる。 フレイムナイツのマスターで剣士の『ラウギリ・フェアレーター』 彼を含めた、信頼できる幼馴染み4人とパーティ結成したのが全ての始まり―。 ラウギリの目標は異世界一の最強ギルドを築き上げる事。 実力も仲間も手に入れ、どんどん成長していくラウギリとその仲間達が織り成す怒涛の異世界成り上がりストーリー!! ………ではなく、 「無能で役立たずなお前はもういらねぇ!俺のギルドの邪魔だ!消え失せろッ!」 「え……そんな……嘘だよね……?僕達は幼馴染みで……ここまで皆で頑張ってきたのに……!」 「頑張ったのは“私達”ね!【商人】のアンタは何もしていない!仕方なくお世話してあげてたのよ。アンタはもう要らないの」 信じて疑わなかったラウギリと幼馴染達……。仲間達から突如お荷物扱いされ、挙句にギルド追放で海のど真ん中に放り棄てられた【商人】担当、『ジル・インフィニート』のお話――。 「そういえば……ギルドって沢山あるけど、この“海”には1つも無いよね……」 役立たずと捨てられたジルであったが、開花した能力と商才で1からギルドを立ち上げたら何故か実力者ばかり集まり、気が付いたら最強勢力を誇る異世界No.1のギルドになっちゃいました。 婚約破棄された人魚に蛙と融合した武術家、剣を抜けない最強剣士に追放された聖女から訳アリ悪役令嬢までその他諸々……。 変わり者だが実力者揃いのジルのギルドは瞬く間に異世界を揺るがす程の存在となり、国の護衛から魔王軍との戦いまで、波乱万丈な日々がジル達を迎える―。

処理中です...