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第二章 選択する、選択させる

武器の作成

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 俺が家に帰るとナオミは俺の姿を見て目を見開いた。

「大丈夫ですか? お怪我なされているのでは?」
「俺の血じゃない。シャワーを浴びてくるよ」

 ナオミの脇を通って2階に上がり、熱いシャワーを浴びたが気分は晴れない。一階に戻ってテーブルにつくと、ナオミが俺の隣りに座った。

「何があったのですか? 私で良ければお聞きします」

 俺はポツポツと語り始め。最後には泣きながら、マーラとレイの死を語った。
 ナオミはじっと何も言わずに聞き入り、最後には俺のことを抱きしめてくれた。俺は彼女の細い体を強く抱きしめて、子供のように泣きじゃくった。

「ごめん」

 落ち着くと俺はナオミに言った。

「いえ、私も同じような経験をしているのでお気持ちはわかります」

 ナオミが話したのは彼女の過去だった。ナオミは捨て子で、村の老婆が広い育ててくれたそうだ。彼女の村は小さかったが暖かく、皆優しい人々だった。ある日盗賊によって村は襲われ、皆が惨殺された。彼女はそれを檻の中で何もできずただ見ていたという。村にいた若い娘は彼女だけだった。ナオミは奴隷として売られ、たくさんの苦痛を受けてきたという。

「辛かったね」
「もう昔の話ですから。今はユキハル様のほうがお辛いでしょう」

 彼女はもう一度俺のことを抱きしめてくれた。俺は彼女に甘えた。心が少しだけ落ち着きを取り戻した。

 ◇

 カマエルの言う通り、部屋にあったパンの箱とインベントリはクローゼットになっていた。クローゼットの中には何も入っていない。俺はスマホを使ってクローゼットの行き先を参照した。街の素材買取所、クロトアという地のナサギ教会、そして獣人たちの村。ダンジョンの入口も設定されている。おそらくだが索敵装置を置けばそこが転移先として登録されるのだろう。

 転移できる場所を見ているうちに俺はある一つの場所に目を吸い寄せられた。

『ライアン・バーネル子爵邸』

 心がざわついた。今すぐにでも殺しに行きたい。家にいる人間は使用人だろうが子供だろうが殺すつもりだ。しかし準備をしなければ。

 一度も作ったことのなかった魔法兵器を2つ作成。今まで拡張しかボタンはなかったが、今回のアップデートで縮小というボタンが増えた。俺は2つの魔法兵器を縮小する。これで身にまとうことができる。バリスタも作り縮小した。索敵装置も同様だ、これがなければ狙いを定められない。銃のようには使えない、が今まで無視してきた項目の中に発射装置なるものがあるのに気がついた。2つ作成する。

 家だけではなく武器もスマホで結合分解できる。そりゃそうだ。家に武器を結合できたんだ。家の備品である武器でできないはずがない。

 俺は両肩の上部にプレデターのように魔法兵器をつけ、両脇の下部にバリスタを装着、両手に発射装置を握る形を考案した。索敵装置は両肩の上に直接乗っている。

 性能を調べたかったので、外に出て森の中をさまよい、ブラックウルフを見つけた。発射装置を押す。すると索敵装置が正しく反応し、素早く動く狼の動きを捕捉、魔法兵器からは光の弾のようなものが発射され、バリスタは秒3発の速度で連射した。ブラックウルフは跡形もなく消えてしまった。

 これでいい。性能はバッチリだ。

 俺は家に戻ると黒いローブを0ポイントで作成。

 ナオミに家を出ると伝え、クローゼットの中に入った。
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