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氷の姫と悪魔の中間試験
AS After story and next story
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「すまなかった、お前達には本当に迷惑をかけた。この通りだ」
試合終了後、俺たちの居る部屋に最初に来たのはまさかのザスターだった。
「気にしなくていいっすよ、えぇっと……ザスター……さん?」
頭を上げて俺の顔を見ると「ありがとう」とまた頭を下げる。こんなに下手な感じでこられると、今までのこの人は本当に操られていただけなんだと認めざるおえない。
「特にお前には一番迷惑をかけた、本来は俺が解決すべき問題なのにお前の手を煩わせてしまった。魔龍皇にもすまなかったと伝えおいてくれ」
「分かりました、まぁこいつは特に気にしてないと思いますけど」
次に氷翠の方を向く。
「氷の姫君にも大変迷惑をかけた、聞けば君はこの騒動とは関係ないらしいではないか、これからこの世界に飛び込む君に詫びではないがこれを送りたい」
氷翠の手に青い宝石のネックレスが置かれる。氷翠はそれを貰ってめっちゃ嬉しそうだ。
「わー!何これ!めっちゃ綺麗じゃん!」
「気に入ってもらえたようでなによりだ。次にローランとやら、俺の仲間によればお前は……いや、ここで言うのはよそう。バチカン本部の最高顧問は初代騎士王だ」
ローランが明らかに動揺した様子を見せる。なんだ?教会の最高顧問?
「そうか……やっぱり彼が……ありがとうございますザスターさん、これは僕の問題です」
「…………最後に、リーナ、深那、俺のことを助けてくれて感謝する。そして……こういう場面で言うことではないのかもしれないが……」
「なに?勿体ぶらずに言いなさいよ」
「分かった……リーナ、お前が集めたこの五人は今プロの世界にいる俺から見ても異質で、異常で、面白い奴らだ。今はまだ戦術が未熟な面も見られるが個々の能力は素晴らしい。お前達がこれからのブレイビンフィールドでの大番狂わせになることを期待している」
ザスターの意外な一言に俺を含めた全員が驚く。
「当然よ、私はこのチームで絶対にタイトルを獲るわ。その時はザスター、あなたとも正々堂々戦いたいわね」
「ふっ、そうだな!俺はこれでお暇させてもらうよ。じゃぁなリーナ、そして魔龍皇」
そう言って部屋から出て帰って行った。
「なんかこう、最初と全く印象が違くて違和感しかないっすね」
「ふふふ、そうね、あんなにちゃんとお礼を言うザスターは珍しいわ。それほど今回は私達に感謝しているということでしょう?」
そうか……そうだな。俺もお前のことは忘れないぜ?アンラマユ、俺が最初に出会った神さんよ。
「うん?そう言えば……明日から中間試験じゃないか?」
結斗さんが唐突にそう言う。そう言えば本当は試験のために合宿組んだわけで…………?
「「ああああぁああああ!」」
俺と氷翠の叫びがグランシェール邸に響き渡る。
「大丈夫よ、舞璃菜はあれだけ勉強したし、悠斗だってこの一週間で強くなったんだから、安心しなさいな」
「さ、それはそうかもしれませんけどぉ」
「いやもうこうなったらやるしかないよ悠斗君!」
そして試験二日目、トーナメント第一戦、相手はまさかの拓翔だった。
「ハル、まさかお前が相手だとはよ、なんか因縁っぽいな。いくらFランクだからといっても手加減しねぇかんな!」
「んだよそれ、うーん……そうだな、拓翔と初めて会った時よりはありえないほど強くなってるよ」
それだけ言葉を交わして、それぞれのスタート位置につく。
『それでは!中間試験トーナメント戦第一試合!リーナグランシェールチーム対新條拓翔チーム!レディ……ゴー!』
ワァァァァァアアァアアア!
歓声が聞こえる、それもそうだこのイベントはこの学園では体育祭の次にハードなイベントなんだから。
俺はずっと決めていたことを先輩に伝える。
「先輩、一つお願いがあります」
すると先輩は全て分かっていたかのように、すぐに返した。
「分かってるわよ、相手チームのリーダーと戦いたんでしょ?いいわ、存分に戦ってらっしゃい」
「はい!」
試合が進み、ついに試合終盤にさしかかる。
「ハル!」
遠くから拓翔の声がした。あいつリーダーなのにそんなに堂々としてていいのかよと突っ込んでやりたいところだが、あいつにそんなこと言っても無駄だ。
「分かってるよ、俺はここにいるぜ?」
深呼吸を一つして、
「いくぞ、アジ・ダハーカ」
『あぁ、この俺の復活をこの場をもって知らしめてやる』
「拓翔!俺はお前がどれだけ強かろうとここで倒す!」
正面にいる拓翔にそう言い放つ。拓翔は大笑いして、自身の魔力、いや、オーラを放出させた。
「いいじゃん!いいじゃん!それだよ俺がお前に求めてたのは!お前は強い!誰がなんと言おうと、天地がひっくり返ってもそれだけは変わらねぇ!俺が停学中に何もしてないとでも思ったか!?」
俺も拓翔に習って、体から紅い炎を燃え上がらせる。
「んなわけねぇだろォォォォオアアアア!轟々と舞乱れろ!紅煉!」
俺の変化を見た拓翔がニヤリと笑う。
「キシシ、やっぱ強えじゃねぇかよ!」
「お前こそ!」
両者が同時に動きだし、衝突する。
そしてトーナメントは俺達の優勝で幕を閉じる。
試合終了後に先輩達からなぜ『氷獄の悪魔』を使わなかったのかと聞かれたが、答えなかった。
アブソリュート・メリス──絶対の悪意──俺はこれを自分の悪意を向けるべき相手にのみ使おうと思った。
そしてアンラマンユ、俺はお前を絶対に忘れない。
試合終了後、俺たちの居る部屋に最初に来たのはまさかのザスターだった。
「気にしなくていいっすよ、えぇっと……ザスター……さん?」
頭を上げて俺の顔を見ると「ありがとう」とまた頭を下げる。こんなに下手な感じでこられると、今までのこの人は本当に操られていただけなんだと認めざるおえない。
「特にお前には一番迷惑をかけた、本来は俺が解決すべき問題なのにお前の手を煩わせてしまった。魔龍皇にもすまなかったと伝えおいてくれ」
「分かりました、まぁこいつは特に気にしてないと思いますけど」
次に氷翠の方を向く。
「氷の姫君にも大変迷惑をかけた、聞けば君はこの騒動とは関係ないらしいではないか、これからこの世界に飛び込む君に詫びではないがこれを送りたい」
氷翠の手に青い宝石のネックレスが置かれる。氷翠はそれを貰ってめっちゃ嬉しそうだ。
「わー!何これ!めっちゃ綺麗じゃん!」
「気に入ってもらえたようでなによりだ。次にローランとやら、俺の仲間によればお前は……いや、ここで言うのはよそう。バチカン本部の最高顧問は初代騎士王だ」
ローランが明らかに動揺した様子を見せる。なんだ?教会の最高顧問?
「そうか……やっぱり彼が……ありがとうございますザスターさん、これは僕の問題です」
「…………最後に、リーナ、深那、俺のことを助けてくれて感謝する。そして……こういう場面で言うことではないのかもしれないが……」
「なに?勿体ぶらずに言いなさいよ」
「分かった……リーナ、お前が集めたこの五人は今プロの世界にいる俺から見ても異質で、異常で、面白い奴らだ。今はまだ戦術が未熟な面も見られるが個々の能力は素晴らしい。お前達がこれからのブレイビンフィールドでの大番狂わせになることを期待している」
ザスターの意外な一言に俺を含めた全員が驚く。
「当然よ、私はこのチームで絶対にタイトルを獲るわ。その時はザスター、あなたとも正々堂々戦いたいわね」
「ふっ、そうだな!俺はこれでお暇させてもらうよ。じゃぁなリーナ、そして魔龍皇」
そう言って部屋から出て帰って行った。
「なんかこう、最初と全く印象が違くて違和感しかないっすね」
「ふふふ、そうね、あんなにちゃんとお礼を言うザスターは珍しいわ。それほど今回は私達に感謝しているということでしょう?」
そうか……そうだな。俺もお前のことは忘れないぜ?アンラマユ、俺が最初に出会った神さんよ。
「うん?そう言えば……明日から中間試験じゃないか?」
結斗さんが唐突にそう言う。そう言えば本当は試験のために合宿組んだわけで…………?
「「ああああぁああああ!」」
俺と氷翠の叫びがグランシェール邸に響き渡る。
「大丈夫よ、舞璃菜はあれだけ勉強したし、悠斗だってこの一週間で強くなったんだから、安心しなさいな」
「さ、それはそうかもしれませんけどぉ」
「いやもうこうなったらやるしかないよ悠斗君!」
そして試験二日目、トーナメント第一戦、相手はまさかの拓翔だった。
「ハル、まさかお前が相手だとはよ、なんか因縁っぽいな。いくらFランクだからといっても手加減しねぇかんな!」
「んだよそれ、うーん……そうだな、拓翔と初めて会った時よりはありえないほど強くなってるよ」
それだけ言葉を交わして、それぞれのスタート位置につく。
『それでは!中間試験トーナメント戦第一試合!リーナグランシェールチーム対新條拓翔チーム!レディ……ゴー!』
ワァァァァァアアァアアア!
歓声が聞こえる、それもそうだこのイベントはこの学園では体育祭の次にハードなイベントなんだから。
俺はずっと決めていたことを先輩に伝える。
「先輩、一つお願いがあります」
すると先輩は全て分かっていたかのように、すぐに返した。
「分かってるわよ、相手チームのリーダーと戦いたんでしょ?いいわ、存分に戦ってらっしゃい」
「はい!」
試合が進み、ついに試合終盤にさしかかる。
「ハル!」
遠くから拓翔の声がした。あいつリーダーなのにそんなに堂々としてていいのかよと突っ込んでやりたいところだが、あいつにそんなこと言っても無駄だ。
「分かってるよ、俺はここにいるぜ?」
深呼吸を一つして、
「いくぞ、アジ・ダハーカ」
『あぁ、この俺の復活をこの場をもって知らしめてやる』
「拓翔!俺はお前がどれだけ強かろうとここで倒す!」
正面にいる拓翔にそう言い放つ。拓翔は大笑いして、自身の魔力、いや、オーラを放出させた。
「いいじゃん!いいじゃん!それだよ俺がお前に求めてたのは!お前は強い!誰がなんと言おうと、天地がひっくり返ってもそれだけは変わらねぇ!俺が停学中に何もしてないとでも思ったか!?」
俺も拓翔に習って、体から紅い炎を燃え上がらせる。
「んなわけねぇだろォォォォオアアアア!轟々と舞乱れろ!紅煉!」
俺の変化を見た拓翔がニヤリと笑う。
「キシシ、やっぱ強えじゃねぇかよ!」
「お前こそ!」
両者が同時に動きだし、衝突する。
そしてトーナメントは俺達の優勝で幕を閉じる。
試合終了後に先輩達からなぜ『氷獄の悪魔』を使わなかったのかと聞かれたが、答えなかった。
アブソリュート・メリス──絶対の悪意──俺はこれを自分の悪意を向けるべき相手にのみ使おうと思った。
そしてアンラマンユ、俺はお前を絶対に忘れない。
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