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夏の始まり

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暑い夏の日、蝉の鳴き声が頭に響く。
額に浮かぶ汗を拭って、一つ溜息を吐いた。
この暑さは異常だ、暑すぎる。このままでは死んでしまうのではないか。
年々増していくこの暑さを抑える方法はもっとないのだろうか。

「暑い…暑すぎる…」
拭ってもすぐに浮かんでくる汗に、少し苛立ってくる。
こんな中、部活を入れた顧問にも苛立った。
全部顧問のせいだ。部活がなければ今頃、クーラーの効いた涼しい部屋でアイスを食べて至福な時間を過ごせたというのに。今日みたいな暑い日に部活をやっても、まともな練習なんて出来るわけがない。

学校に向かって歩いている。
家から学校が近いからと、自転車を買ってくれなかった親をこの時ばかりは恨んだ。
自転車があれば、向かい風で少しは涼しかっただろうな…。

学校の正門が見えたところで、急に後ろから聞き覚えのある声がした。
藍花らんかちゃん…」
「うわ、びっくりした!八重やえちゃん!驚かさないでよー」
「ごめんごめん。ほんとに暑すぎてもうふらふら」
笑いながらわざと左右にゆらゆらと揺れる八重ちゃんは、真っ赤な顔をして額と鼻先に汗を浮かべていた。
「ほんとにやばいよね、今日。こんな時に部活入れるなよー!」
正門を通り、私は近づく校舎に向かって、大きな声で言った。
「全くもう!」
八重ちゃんも私に続いて、大きな声で言う。
「あはは、顧問に聞こえちゃってるかな?」
「俺だって暑いんだ!って怒られそうだね」
「絶対言う!」

私たちは昇降口で靴を脱いで、階段を上がる。
最上階まで上がらなくてはいけないこの階段に困憊こんぱいする。

「部室、クーラーついてるかなあ」
「クーラー…クーラー…」
八重ちゃんは階段をとぼとぼ上がりながら、まるで皿屋敷のお菊さんのように言った。
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