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SSの置き場&番外編
エリアスの過去3
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気持ち的にもかなり面白くない夜会がおひらきになる頃、商談を終えたエリアスが、わたくしを迎えに来た。
「セシリア?気分でも悪いのですか?」
「身体的には大丈夫よ。さっき面白い話を耳にしたんだけれど…お仕事のお話はどうでしたの?」
「君のおかげで上手くまとまった」
「わたくしの?」
「私がセシリアの側にいなくても、僕の奥さんは社交界の渦に巻き込まれないすべを知っているからね」
エリアスの言葉に、先程の出来事を言おうかどうか迷ったけれど、公爵邸へ向かう馬車の中で、セシリアは
全てを打ち明けた。
「ああ、あの姫様ですか。あれはあちらの国がすごく乗り気で、私とくっつけようとしてたんですけれどね、どうもあのタイプが苦手で。それよりもあの頃は剣の腕を磨く事に夢中でしたし」
「あなたの王家の方でもまんざらでもなく有利な外交政策だといってたわよ?」
「第一王子でもない私と婚姻を結んだところで影響力はたかがしてています」
「では、エリアスの方からも、王家の方からも望んでない申し込みだったって事なの?」
「まあ、手短に言えばそうなりますね。あなたの騎士になってから、私は一生かけて守る姫君を見つけましたから。あなたへ騎士の誓いをした頃から、私の心はセシリア様だけのものですよ?」
「えっ?」
「確かにあの頃ははっきりと自分の気持ちを自覚していませんでした。セシリア様の婚約の話が持ち上がらなければ、はっきりと意識していなかったと思います」
「でも、わたくし、エリアスの気持ちを知らなかったわ」
「それは、そうでしょう。私自身も自覚するのに時間がかかりましたから」
「夫婦の間に隠し事はなしだと決めたのに、彼女の事、知らなかったわ」
「記憶にも残っていない女の話なんて、するだけ時間の無駄でしょう?」
「覚えてないの?」
「全然。セシリアが話してくれてやっと名前は思いましましたけれど、どんな顔だったかも思い出せません。私の記憶のほとんどはあなたのことで占めていますからね」
「え、そうなの?そんなこと一度も聞いてない」
「こんな恥ずかしい話、こういう機会でもないとするわけないでしょう?」
エリアスは、機嫌が直ったセシリアの唇にキスをしながら、囁いた。
「私の全てを熱くするのは、昔も、現在も、そして今もセシリア、あなただけですよ?」
「エリアス…」
「あなたは、どうですか?」
「わたくし?」
「子供達よりも私が1番大事ですか?」
エリアスの言葉にセシリアはすぐに言葉を返すことができなかった。
エリアスも子供達も同じぐらい愛しているから。
彼女の顔を見て、クスッと笑ったエリアスは、さらに言葉を続けた。
「私が、あなたの最愛である事を自覚するように、今夜はじっくりベットで教えてあげなければいけませんね?」
真っ赤な顔で見上げたセシリアにエリアスは妖しい微笑みを浮かべた。
「セシリア?気分でも悪いのですか?」
「身体的には大丈夫よ。さっき面白い話を耳にしたんだけれど…お仕事のお話はどうでしたの?」
「君のおかげで上手くまとまった」
「わたくしの?」
「私がセシリアの側にいなくても、僕の奥さんは社交界の渦に巻き込まれないすべを知っているからね」
エリアスの言葉に、先程の出来事を言おうかどうか迷ったけれど、公爵邸へ向かう馬車の中で、セシリアは
全てを打ち明けた。
「ああ、あの姫様ですか。あれはあちらの国がすごく乗り気で、私とくっつけようとしてたんですけれどね、どうもあのタイプが苦手で。それよりもあの頃は剣の腕を磨く事に夢中でしたし」
「あなたの王家の方でもまんざらでもなく有利な外交政策だといってたわよ?」
「第一王子でもない私と婚姻を結んだところで影響力はたかがしてています」
「では、エリアスの方からも、王家の方からも望んでない申し込みだったって事なの?」
「まあ、手短に言えばそうなりますね。あなたの騎士になってから、私は一生かけて守る姫君を見つけましたから。あなたへ騎士の誓いをした頃から、私の心はセシリア様だけのものですよ?」
「えっ?」
「確かにあの頃ははっきりと自分の気持ちを自覚していませんでした。セシリア様の婚約の話が持ち上がらなければ、はっきりと意識していなかったと思います」
「でも、わたくし、エリアスの気持ちを知らなかったわ」
「それは、そうでしょう。私自身も自覚するのに時間がかかりましたから」
「夫婦の間に隠し事はなしだと決めたのに、彼女の事、知らなかったわ」
「記憶にも残っていない女の話なんて、するだけ時間の無駄でしょう?」
「覚えてないの?」
「全然。セシリアが話してくれてやっと名前は思いましましたけれど、どんな顔だったかも思い出せません。私の記憶のほとんどはあなたのことで占めていますからね」
「え、そうなの?そんなこと一度も聞いてない」
「こんな恥ずかしい話、こういう機会でもないとするわけないでしょう?」
エリアスは、機嫌が直ったセシリアの唇にキスをしながら、囁いた。
「私の全てを熱くするのは、昔も、現在も、そして今もセシリア、あなただけですよ?」
「エリアス…」
「あなたは、どうですか?」
「わたくし?」
「子供達よりも私が1番大事ですか?」
エリアスの言葉にセシリアはすぐに言葉を返すことができなかった。
エリアスも子供達も同じぐらい愛しているから。
彼女の顔を見て、クスッと笑ったエリアスは、さらに言葉を続けた。
「私が、あなたの最愛である事を自覚するように、今夜はじっくりベットで教えてあげなければいけませんね?」
真っ赤な顔で見上げたセシリアにエリアスは妖しい微笑みを浮かべた。
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