転生王女は隣国の冷酷皇太子から逃れて美形騎士と結ばれたい!

Erie

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SSの置き場&番外編

転生王女のバレンタイン

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前世の記憶はもうすごい薄れてしまったけれど、1つだけ覚えていることがある。2月14日は恋人たちが愛を囁く日、バレンタインデーだ。前世はそんな行事に縁のない立場だったけれど、今は違う!

セシリアは厨房に立つことは滅多になかったけれど、料理長に頼んで、手伝ってもらったりして、ふわふわのチョコレートケーキを焼き上げた。


「わあ!綺麗にできているわ!ありがとう料理長!」

「良かったです、奥様」

「これをお茶の時間に出してね?初めのカットしたのはエリアスに。あとは子供達にあげてもいいわ」

「了解致しました。そのように給仕に伝えますね?」

「ありがとう!」

チョコレートケーキが綺麗に焼きあがったから、あとはおしゃれをするだけだわ!

入浴の後、侍女達に身なりを整えてもらって、とびきりに着飾って昼食の席に着いたセシリアを見て、エリアスは彼女を抱きしめた。

「もう気分は良くなったようですね?」

「ええ、ありがとう。エリアス」

「今日も私の妻は最高に綺麗だ」

「まあ、エリアス。あなたも素敵ですわ」

「さあ、昼食をいただこう」

ルシアンとソフィア・ローズはお腹が空いていたのか騒ぐこともなく目の前に出される食事に夢中になっている。

彼らのそばには乳母が着いていて、食事の作法の指導を含めた世話を焼いていた。

「最近、お仕事の方はどうですの?」

「少し落ち着いてきたから、休みでも撮ろうと思っている。最近、君との時間が取れていないでしょう?」

結婚しても変わることなくセシリアのことを気にかけてくれるエリアスは彼女を安心させる。

真綿に包まれたような幸せなんて、国を出ることには想像していなかった。

「ええ。素敵ですわね。エリアス、後で、お茶の時間をご一緒してもよろしいかしら?」

「ええ、今日はそんなに執務が立て込んでないから、それはできると思いますが?」

「良かった!」

いつも執務の時間に邪魔をすることがないセシリアの提案に興味をくすぐられたエリアスが、その意味を知ったのは
それから数時間後のことだった。

エリアスは綺麗に焼かれたチョコケートケーキを眺める。

「そして、これ!」

彼女の愛の言葉が綴られたカードを渡されて、嬉しそうに表情を和らげた。

「異国の習慣でね、愛する人にチョコレートとカードを送るところがあるの。ずっとやってみたかったんだけど、今までバタバタしていたでしょう?だからなかなか手作りする機会がなくて」

「これ、セシリアが作ったんですか?」

「ええ。料理長にも少し手伝ってもらったけれど。本当は朝からこれを作ってたの。エリアスに食べて欲しくて!」

「ありがとう」

「エリアス、大好きよ?」

「セシリア、愛しています。やはりあなたは世界一美しく可愛らしい奥さんだ」

チョコレートケーキを食べた後の甘さが口の中に広がるキスだったけれど、2人は久しぶりに恋人チックな時間を過ごしたのだった。

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