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花嫁修行とエリアスの提案

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婚約が正式に決まってから、アルザス公爵家にはたくさんの家庭教師たちが訪れることになった。ガートランドの王妃として淑女教育は受けているが、アルザス公爵の妻として領地の産業やティールザードの歴史、王家のしきたりと公爵家の役割。元王族と家族のプロトコールなど学ぶことはたくさんあった。

立派な公爵夫人になるために頑張るわ!

基本どの先生も高い知識を備えており、教え方が上手であったので苦痛ではない。だが膨大に覚えることがたくさんあった。

だが、セシリアは久しぶりに燃えていた。

「勉強はどう?はかどっている?」

普通1年間の花嫁修行をその半分で終える為、朝食を食べてから午前中と午後のほとんんどはずっと勉強の時間になってしまうので、エリアスとあまり顔を合わすこともない。


「エリアス。ええ、先生たちが丁寧に教えてくださるので、助かっていますわ」

セシリアは前世が日本人のため基本努力家だ。だから与えられた課題に全力で取り組む。それにお飾りの公爵夫人でいたくなかった。知識を増やすことでエリアスを助けたいと思ったということが頑張るエネルギーになった。

「少し、息抜きをしてもいいんですよ?」

「お式まで6ヶ月しかありません。覚えることはたくさんありますわ」

午後のお茶の時間とエリアスが直接教えてくれるてティールザードのダンスの時間がエリアスと会える時間だ。もっとも公務を自身でし始めたエリアスもかなり忙しかった為、もしセシリアが暇だったとしても、かまえる時間がそんなにないことも事実だったのでちょうど良かったのかもしれない。

「そうですね。あなたが私の花嫁となる日が待ち遠しいです」

「この間、お義母様のオススメのデザイナーの方にドレスを採寸していただきました」

「母上はどうでしたか?」

「ドレスを選ぶのに色々助言をしてくださったのですが、元王族のため色々気をつけなければならないことがあるなんて思っておりませんでしたから、とても助かりましたわ。そのあとお茶をいただきました」

「気に入ったドレスを作れそう?」

「ええ。いくつかのアイデアを提示しておきましたから、その図案が届く筈ですわ。その時にまたお義母様とお会いすることになっています」

「母上はセシリアに失礼なことはしてない?」

婚約後、エリアスの口調がたまに砕けたものに変わってきたのをセシリアは気づいて嬉しくなった。

主人としてではなく、ひとりの女として、彼の婚約者として対等に接してもらいたいからだ。

「お義母様にもとても優しくしてもらっています。優しいところはエリアスみたいだわ」

「セシリア、あなたはどこまで私を夢中にさせたら気が済むんですか?」

「えっ?」

エリアスは母親と仲が良かった。そして、婚約者のセシリアともそのようになってもらいたいと思っていたのだ。まあ、それは強要することはできないので、打ち明けることはするつもりはなかったが。

エリアスはセシリアの髪にキスすると、

「週末は二人でどこかに出かけましょう?」

とセシリアを誘った。


「まあ、お出かけなんて久しぶりね?」


「うちの領地の1つなんですが、湖畔に別荘があるのです。そこでのんびりしましょう」

2人きりとはいっても侍女と従者がつくことになるのだが、それでも公爵家にいるよりはプライベートな気分になれる。

「まあ!素敵ね!」

「あなたに対するご褒美と私に対するご褒美でもありますけどね」

泊まりがけで領地に行くプチ旅行なんてロマンチックだ。アルザスの領地は自然が豊かで実りの多いところである、公爵家から、馬で飛ばして、4時間ほどのところに美しい湖とたくさんの珍しいハーブが栽培されているところがあるのがだ。これらのハーブたちは魔法薬の材料として自国のみだけでなく、他国にも高値で取引される。

「楽しみだわ」

アルザス公爵家に戻ってから、セシリアとエリアスの寝室は別になっている。結婚前に妊娠などしてはならないための処置だった。

「ああ。セシリアと水入らずの時間なんて久しぶりだからね」

セシリアには次女のエミリアが付くことになり、基本彼女がセシリアの世話をすることになっている。公式な業務の時に参加するための準備にはたくさんの侍女が付くことになるが、普段はあまり着飾ることを好まなくなったセシリアはシンプルな装いを好むため、そんなにたくさんの侍女はいらないのだ。

「この間作ってもらった服を着て行くことことにするわ!」

公爵夫人ともなると基本どのような服にするか、は侍女たちが選ぶのだが、平民として旅を続けてその楽チンさを思い知ったセシリアは、まだ公爵夫人ではないから、と必要最小限の服と作るだけに留めたので、自分がどんなドレスを持っているのか把握していた。

「可愛らしい君の姿を見るのが楽しみだよ」

エリアスは週末の旅行を楽しみにしているようだった。あの満月の夜からキスとハグ以外エリアスはセシリアには1本も指を触れていない。

それは寂しくもあった。

セシリアを大切にしてくれているというのはわかっているし、結婚式を挙げる前に子供を身ごもるなんてことはできないのは承知の上だが、やはり、触れ合いたいという気持ちがある。

自分の考えに顔を赤らめたセシリア。

「セシリア?大丈夫ですか?」

「ええ、少しお茶が熱かったみたい」

と誤魔化して、甘い菓子で口を濁した。

「週末は甘い時間を過ごしましょうね?」

彼女の考えを読んだかのようにエリアスは微笑むと、さらにセシリアを赤面させるセリフを口にして彼女の滑らかな指先に口付けた。















































































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