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エリアスの祖国
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船の旅が終わって、何事もなく、ティールザードに到着した。
貿易で栄える海辺の小国ティールザードは首都ティールザードにおよそ10万人住んでいる。首都に住む平民のほとんどは商人で、いくつかの大きな貿易商がギルドを作っており、そこに所属しているものがほとんどで、その他は外国人相手の宿場、酒屋、レストランなどがあるだけで、外国の様々なものが売られた店がたくさん並ぶ賑やかなところだ。
「まあ、すごい、外国の人がたくさんいるのね?」
セシリアは興味深そうに城下町と行き交う人々を見ている。
「ええ、貿易で盛んですから」
首都には少し離れた郊外に貴族の館などもあるが、ティールザードは小国のため、公爵家が2家、侯爵家が1件、伯爵家が2件、そして子爵家が2件、男爵家が3件あるだけだ。そして、海辺の反対の国境に公爵家と同等の権力と地位を持つ辺境伯で構成され、これ以外は全て商人か平民で構成されている。ちなみにエリアスは臣下に下った王族なので、公爵である。
エリアスはさっと町を案内した後、自宅である公爵家に向かう。もちろん、自身の詳しい生い立ちや立場はまだ話していないが、とりあえず船旅で疲れ果てたセシリアを慰労したいので、すぐに家に連れていくことにしたのだった。
「ここから馬で、30分のところに私の自宅があります」
「まあ!エリアスのお家!見て見たいわ!」
ティルザードには外国からの裕福な商人が使うための日雇いの馬車がある。エリアスはそれを借りて、公爵領まで馬車を走らせた。
「セシリア様、気分はどうですか?」
「もう船酔いはないけれど、髪や体が塩っぽいわ」
「5日もの船旅でしたからね。うちに着いたら、暖かいお風呂と食事を出させましょう」
馬車は町を抜けて、緑の多い田園地帯に入る。
「まあ、ここは農業も盛んなのね?」
「ええ。この辺りはティールザードの小麦を生産しています。そしてティールの実もね。外国で甘くて焼き菓子にぴったりだと、人気があるんですよ」
「へえー」
田園地帯を抜けると森に入っていく。すごく大きな森ではないが、ここはエリアスの邸宅の離れの庭といった感じで、ここを抜けると、エリアスのアルザス公爵家に着く。
「まあ!すごい綺麗な森ね!」
「自然のまま残してあるので、ここらの木々は500年から1000年以上のものもあります」
「まあ、エリアスは物知りね!」
まだセシリアは知らないが、ここはエリアスの領地である、なので彼が知っているのは当たり前のことなのだが。
馬車が森の奥に入った時、突然ガタンと音を立てて、停止した。馬の嘶きで異変を感じたエリアスが外に出てみると、馬車は12の影に囲まれていた。
「エリアス?」
「セシリア様!絶対にここから出ないでくださいね」
エリアスはできるだけ優しい口調で愛しい姫に伝える。
影がこれだけいるということは、その主である皇太子もどこかでこの状況を見ているのだろう。
「トールの光、永遠の祝福を与え、我が愛するセシリアを守りたまえ」
エリアスの詠唱で馬車に光の壁が貼られる。
「リーラの矢、我の意思に答え、闇を貫け!」
エリアスの詠唱で光の矢が影たちを射抜いた。影の正体はなんなのかはわからないが、人ではなく、黒い影そのものなので、闇魔法で召喚されたものだという予測の元に光の矢を放つ。
聖なる光は闇を無に返す力があるのだ。防御だけでなく、いくつか攻撃魔法も覚えたほうがいいというシリウスの提案で、習得したが、使うのは初めてだ。
リーラの矢に貫かれた影たちは悲鳴をあげて、消えていく。残りの影が3体になった時、
「茶番はそこまでだ」
と冷え切ったトーンの声が背後から聞こえた。
貿易で栄える海辺の小国ティールザードは首都ティールザードにおよそ10万人住んでいる。首都に住む平民のほとんどは商人で、いくつかの大きな貿易商がギルドを作っており、そこに所属しているものがほとんどで、その他は外国人相手の宿場、酒屋、レストランなどがあるだけで、外国の様々なものが売られた店がたくさん並ぶ賑やかなところだ。
「まあ、すごい、外国の人がたくさんいるのね?」
セシリアは興味深そうに城下町と行き交う人々を見ている。
「ええ、貿易で盛んですから」
首都には少し離れた郊外に貴族の館などもあるが、ティールザードは小国のため、公爵家が2家、侯爵家が1件、伯爵家が2件、そして子爵家が2件、男爵家が3件あるだけだ。そして、海辺の反対の国境に公爵家と同等の権力と地位を持つ辺境伯で構成され、これ以外は全て商人か平民で構成されている。ちなみにエリアスは臣下に下った王族なので、公爵である。
エリアスはさっと町を案内した後、自宅である公爵家に向かう。もちろん、自身の詳しい生い立ちや立場はまだ話していないが、とりあえず船旅で疲れ果てたセシリアを慰労したいので、すぐに家に連れていくことにしたのだった。
「ここから馬で、30分のところに私の自宅があります」
「まあ!エリアスのお家!見て見たいわ!」
ティルザードには外国からの裕福な商人が使うための日雇いの馬車がある。エリアスはそれを借りて、公爵領まで馬車を走らせた。
「セシリア様、気分はどうですか?」
「もう船酔いはないけれど、髪や体が塩っぽいわ」
「5日もの船旅でしたからね。うちに着いたら、暖かいお風呂と食事を出させましょう」
馬車は町を抜けて、緑の多い田園地帯に入る。
「まあ、ここは農業も盛んなのね?」
「ええ。この辺りはティールザードの小麦を生産しています。そしてティールの実もね。外国で甘くて焼き菓子にぴったりだと、人気があるんですよ」
「へえー」
田園地帯を抜けると森に入っていく。すごく大きな森ではないが、ここはエリアスの邸宅の離れの庭といった感じで、ここを抜けると、エリアスのアルザス公爵家に着く。
「まあ!すごい綺麗な森ね!」
「自然のまま残してあるので、ここらの木々は500年から1000年以上のものもあります」
「まあ、エリアスは物知りね!」
まだセシリアは知らないが、ここはエリアスの領地である、なので彼が知っているのは当たり前のことなのだが。
馬車が森の奥に入った時、突然ガタンと音を立てて、停止した。馬の嘶きで異変を感じたエリアスが外に出てみると、馬車は12の影に囲まれていた。
「エリアス?」
「セシリア様!絶対にここから出ないでくださいね」
エリアスはできるだけ優しい口調で愛しい姫に伝える。
影がこれだけいるということは、その主である皇太子もどこかでこの状況を見ているのだろう。
「トールの光、永遠の祝福を与え、我が愛するセシリアを守りたまえ」
エリアスの詠唱で馬車に光の壁が貼られる。
「リーラの矢、我の意思に答え、闇を貫け!」
エリアスの詠唱で光の矢が影たちを射抜いた。影の正体はなんなのかはわからないが、人ではなく、黒い影そのものなので、闇魔法で召喚されたものだという予測の元に光の矢を放つ。
聖なる光は闇を無に返す力があるのだ。防御だけでなく、いくつか攻撃魔法も覚えたほうがいいというシリウスの提案で、習得したが、使うのは初めてだ。
リーラの矢に貫かれた影たちは悲鳴をあげて、消えていく。残りの影が3体になった時、
「茶番はそこまでだ」
と冷え切ったトーンの声が背後から聞こえた。
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