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チリアの町

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チリアは小国で、首都に国と同じチリアという城下町がある。王ではなく公爵が治めている独立国で、少数の貴族のほかは商人が大多数の国。大陸の中でも豊かなところとして知られている。チリアの町は多分江戸時代の大阪を西洋に持ってきた感じの商人文化で貴族兼商人という強者も多い。豊かなので治安は良い。

「わー、賑やかー」

私は庶民の娘の格好をして、キョロキョロ町を探索中。フィニアンのいうとおり大通りも中ぐらいの通りもすごく活気に溢れていて、景気がいい。

「らっしゃい!お嬢ちゃん、何か気に入ったものはあるかい?」

露天商で綺麗な髪留めを見つけた。銀の細工に緑の石が入ったものだ。

これなら金の髪にも似合うだろう。

「ああ!これねえ、これは今はやりの髪留めでねえ、お嬢ちゃんの黒髪に合うんじゃないかなあ?」

「えっ?」

「そんな見事な黒髪ならアップにしても似合うと思うねえ」

露天商のふくよかなおばさんがにっこりという。

「それに、この石はエメラルドのクズ石なんだけど、お嬢さんの緑の瞳にぴったりだ!」

髪留めをつけて、渡された手鏡を見てみる。手鏡の女の子は金髪に青い瞳の私だ。

「ほらあ、同じ緑だろう?」

光の加減で緑に見えたりするのかしら?

おばさんには緑の瞳の少女として見えているらしい。

「じゃあ、これいただきます」

「15フォリントね!ありがとう!」

フィニアンにもらった革袋から銀貨を出して支払う。

セシリアは試しに衣料店にも行って見た。

「いらっしゃいませえー。何をお探しですか?」

セシリアと同じ歳ぐらいの黒髪、黒目のソバカスだらけの少女が接客してくれる。」

「私の髪と目の色に似合う服を買いたいのだけれど、どれがいいかわからないの」

少女はセシリアを覗き込んで、

「うん、お姉さんは綺麗な黒髪にエメラルドの瞳してるからあ、これと、これに、こういうのはどうかな?」

持ってこられたのは、緑のドレスと、黒いドレスそれから緑を貴重にして黒いレースがついているドレスだった。

セシリアの姿は金髪に青い瞳ではなく、黒髪に緑の瞳に見えているらしい。

念のために、セシリアが金髪に青い瞳に似合うブルーのドレスを持ってくると、

「ああ、それはちょっと瞳の色に合わないかもしれないかも。お姉さんは少しぽっちゃり気味だから、そういうヒラヒラしたのは合わないかも」

ぽっちゃり気味?

セシリアは鏡の中の金髪で青い瞳のほっそりとした自分を見つめる。

どうやら全く違う姿に見られているようだ。

「ええ。そうね。でも、緑の服はあまり着ないから、これにしてくださるかしら?」

セシリアは白いシンプルなワンピースを手に取ると娘に手渡した。

「これならどの色にも会いますねえ!お嬢さんいいセンスしてるう!ありかとうございましたあ!」

セシリアは自身の姿が全く別の姿に周りから見えていることを確認すると、少し減ったお腹を満たすために、近くの露店で、肉を挟んだパンと飲み物を買って、公園に出かけた。

周りには立ち食いをしている者たちもいたが、そういう風に食事をしたことがないため座れるところがないと食べられないのだ。

チリアは景気もいいため、公共施設も整っており、公園にはたくさんの花々が植えられていた。

「綺麗」

パンをちぎって口に運ぶ。

他の人に別人に見えてたということはエリアスもそうだったのかしら?

これも月光花の副作用なのかしら?

エリアスに軽蔑されて捨てられたわけではなかったのかもしれないわ。

わずかな希望を見出して、曇っていたセシリアの心に光が射し始めた。














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