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お茶の時間
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「はい、あーん」
お菓子というものはカトラリーで食べるものだとセシリアは、把握していた。
「・・・あーん」
だけど、毎回お茶の時間にハインリッヒがするのは自らの手で、繊細に飾り付けられたケーキなどをちぎってはセシリアに与えるというものだった。
「どうした?」
真っ赤になりながら、ケーキを飲み込んだあと、セシリアは力なく抗議する。
「あの、私一人で食べられます」
「あなたはカトラリーなしで、菓子を食された経験があるのか?」
「いいえっ、それは、でも、そういうものをお持ちいただければ・・・」
「あなたがここにいることは秘密なのに、カトラリーを2組持ってくるのですか?」
「ハインリッヒ様用のものだけでも・・・」
「剣の稽古の合間につまめるものをリクエストしているのだ。私は普段でも手でつまめるものを好んで食すことを知られているのだ。不自然な行動はできぬ」
セシリアはこのお茶の時間が純粋なお茶の時間というよりも、とっても恥ずかしいことをしているような気持ちにさせられるのを感じ始めていた。
「でも、あの、私」
「私の与えるものが気に入らぬか?」
「いえ、そんなことは、ただ、恥ずかしくて」
「正式な様式で菓子を食せられないのは申し訳ないが、レディとして、あなたが手づかみで食すよりは恥ずかしくないでしょう?クリームがまだついています。舐めなさい」
セシリアはハインリッヒの指についている生クリーㇺを舌で舐めとっていく。それが終わるとハインリッヒが新たな菓子をセシリアの口に帆織り込む。自身はそのたまの合間につまむといった程度で、ほとんど、餌付けといっていいような光景が展開されている。
「ケーキの味はどうだ?」
「美味しいです。とっても」
セシリアの言葉に気をよくして、最初は1種類だった菓子が、最近は2-3種類のなっている。それもなぜがクリームがふんだんに使われているものばかり。味は美味しいので、異存はないのだが、一国の王太子に食べさせてもらうという光景は「なんとなく間違っている」ような気がするし、子供ではないのだから、あーんして食べされてもらうのは気恥ずかしい。
もっとも男の目線でみれはそれ以上にとっても恥ずかしいことをしているのだが、男女の睦言の知識が乏しいセシリアにはそれがわからない。
「また、クリームがついた」
セシリアは丁寧にハインリッヒの指を舐めとっていく。
「お前のそういう顔はそそるものがあるな」
たまに、ハインリッヒがそういうことをいって、セシリアの唇を奪うのだが、そのままベッドになだれ込むことにはならない。それはセシリアが昼の間は相変わらず少年の姿だからだ。
ハインリッヒの庭に咲いている月光花を1度試したのだが、元に戻らなかった。「魔術師がいう特殊な状況でないから」だろうとハインリッヒがいっていたが、真夜中に花の蜜を飲まなかったことも一因だろう。セシリアをむさぼるのに夢中になっていたハインリッヒが花の蜜を与えたのはそれから数時間後のことだったから。
「・・・っん!」
「今夜が楽しみだ」
口を犯されるような口づけをされたあと、何事もなかったように、セシリアに甘い菓子を与え続けるのだが、城中がひっそりと夜の帳に包まれる頃に彼女に元にやってきて、一晩中啼かされ続けるのだ。
セシリアはその行為が「彼女の日常」に組み込まれてしまい、あれほど恐れていた男を受け入れてしまっている自分に驚いていた。
私は、やはり、淫乱なのかしら?
エリアスだけでなく、ハインリッヒにも反応し、受け入れてしまった自分に困惑していた。そういう風になるようにハインリッヒが仕向けているだけなのだが、セシリアにはわからない。一人の男に忠実でありたいのに、ハインリッヒが触れるたび、彼の少し意地悪な囁きを聞く度に反応してしまう体を持て余していた。
お菓子というものはカトラリーで食べるものだとセシリアは、把握していた。
「・・・あーん」
だけど、毎回お茶の時間にハインリッヒがするのは自らの手で、繊細に飾り付けられたケーキなどをちぎってはセシリアに与えるというものだった。
「どうした?」
真っ赤になりながら、ケーキを飲み込んだあと、セシリアは力なく抗議する。
「あの、私一人で食べられます」
「あなたはカトラリーなしで、菓子を食された経験があるのか?」
「いいえっ、それは、でも、そういうものをお持ちいただければ・・・」
「あなたがここにいることは秘密なのに、カトラリーを2組持ってくるのですか?」
「ハインリッヒ様用のものだけでも・・・」
「剣の稽古の合間につまめるものをリクエストしているのだ。私は普段でも手でつまめるものを好んで食すことを知られているのだ。不自然な行動はできぬ」
セシリアはこのお茶の時間が純粋なお茶の時間というよりも、とっても恥ずかしいことをしているような気持ちにさせられるのを感じ始めていた。
「でも、あの、私」
「私の与えるものが気に入らぬか?」
「いえ、そんなことは、ただ、恥ずかしくて」
「正式な様式で菓子を食せられないのは申し訳ないが、レディとして、あなたが手づかみで食すよりは恥ずかしくないでしょう?クリームがまだついています。舐めなさい」
セシリアはハインリッヒの指についている生クリーㇺを舌で舐めとっていく。それが終わるとハインリッヒが新たな菓子をセシリアの口に帆織り込む。自身はそのたまの合間につまむといった程度で、ほとんど、餌付けといっていいような光景が展開されている。
「ケーキの味はどうだ?」
「美味しいです。とっても」
セシリアの言葉に気をよくして、最初は1種類だった菓子が、最近は2-3種類のなっている。それもなぜがクリームがふんだんに使われているものばかり。味は美味しいので、異存はないのだが、一国の王太子に食べさせてもらうという光景は「なんとなく間違っている」ような気がするし、子供ではないのだから、あーんして食べされてもらうのは気恥ずかしい。
もっとも男の目線でみれはそれ以上にとっても恥ずかしいことをしているのだが、男女の睦言の知識が乏しいセシリアにはそれがわからない。
「また、クリームがついた」
セシリアは丁寧にハインリッヒの指を舐めとっていく。
「お前のそういう顔はそそるものがあるな」
たまに、ハインリッヒがそういうことをいって、セシリアの唇を奪うのだが、そのままベッドになだれ込むことにはならない。それはセシリアが昼の間は相変わらず少年の姿だからだ。
ハインリッヒの庭に咲いている月光花を1度試したのだが、元に戻らなかった。「魔術師がいう特殊な状況でないから」だろうとハインリッヒがいっていたが、真夜中に花の蜜を飲まなかったことも一因だろう。セシリアをむさぼるのに夢中になっていたハインリッヒが花の蜜を与えたのはそれから数時間後のことだったから。
「・・・っん!」
「今夜が楽しみだ」
口を犯されるような口づけをされたあと、何事もなかったように、セシリアに甘い菓子を与え続けるのだが、城中がひっそりと夜の帳に包まれる頃に彼女に元にやってきて、一晩中啼かされ続けるのだ。
セシリアはその行為が「彼女の日常」に組み込まれてしまい、あれほど恐れていた男を受け入れてしまっている自分に驚いていた。
私は、やはり、淫乱なのかしら?
エリアスだけでなく、ハインリッヒにも反応し、受け入れてしまった自分に困惑していた。そういう風になるようにハインリッヒが仕向けているだけなのだが、セシリアにはわからない。一人の男に忠実でありたいのに、ハインリッヒが触れるたび、彼の少し意地悪な囁きを聞く度に反応してしまう体を持て余していた。
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