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告白
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いきなり突然魔界のお城から姿を消して、心配しているに違いないと思って妖精王にアルフォンソ様と話したいと伝えると、空間からホログラムの様なものが出てきた。
「水鏡式の書簡です」
「ホログラムみたい」
「これに向かって話すとリナの姿と声が届けたい相手の水鏡に映ります」
「アルフォンソ様、突然お城を抜け出してごめんなさい。魔華の秘密がわかりました。昨日キャルーナのほとりで覚醒した時にわかったんです。でも私にはリリアナ様や他の様な方の症状はみられませんでした。力のコントロールはできませんでしたが、決して危険なものではありませんでした。私が死ぬこともありません。だけど、このまま貴方の国にいれば、ドワールにもあなたにも危険が訪れることがわかりました。だからアルフォンソ様の国にはいられなくなりました。詳しいことは話せませんが、ドワールの平和を保つために、新しい治世の元今までよりも一層豊かで良い国にしてください。今までお世話になってありがとうございました」
私がそれだけいうと、水鏡のホログラムはフッと消えた。
「アルフォンソが水を使った時に現れる様にしてあります」
「ありがとうございます」
「あなたのお話ではこの世界の王とあなたが交わってできた子供はとてつもない魔力を持つのでしょう?」
「ええ。だから、アルフォンソ様の元はもちろん他国にも行けません」
「幸い私ならそういうことにはなりませんけれどね」
「えっ?そうなの?」
「妖精は生殖行為を行うことはありませんからね。私たちは光から生まれてきます」
「私たちに子供が生まれることはありません。あなたがここにいる限りドワールは平和なままです」
「よかった」
あの並行世界の私とアルフォンソ様は今より少し年上で、愛し合い、家庭を持っていた。ティルナノーグにいる限り、少なくとも私自身にも危険が訪れることはなさそうだった。
「時渡りの力の制御が必要ですね。これから特訓をしていきましょう」
「制御できたりするの?」
「どこまできるかわかりませんが、私たちがする魔力のコントロール法を教えますから。向こうの世界に迷い込んで帰ってこられなくなったら、私が困りますからね」
「ありがとう」
「戴冠式でバタバタしていたからまだ門を開通させていませんが、そのことももう一度考え直す必要がありそうですね。国交は大切ですが、アルフォンソがこちらに頻繁に来る様になってはティルナノーグに連れ戻した意味がなくなります」
「うん」
「あなたがティルナノーグにいることで平和をもたらすという予言は成就されます。とにかく、あなたは私がお守りしますから」
「ありがとう」
妖精王に抱きしめられて、銀色のサラサラの髪が肌をくすぐる。
この人の腕の中はお日様の匂いがする。
幸せ。
ドキドキする気持ちとポカポカとした気持ちが胸の中で混ざり合う。
私、この人が好き。
一緒にいると温かい気持ちになる。
「リナ?」
「私、あなたが好き」
「リナ、私もあなたを愛しています。この命が尽きても永遠に」
美しい妖精王の唇が私の唇と重なる。羽の様なキスと優しい腕に包まれてリナは幸せに浸っていた。
「水鏡式の書簡です」
「ホログラムみたい」
「これに向かって話すとリナの姿と声が届けたい相手の水鏡に映ります」
「アルフォンソ様、突然お城を抜け出してごめんなさい。魔華の秘密がわかりました。昨日キャルーナのほとりで覚醒した時にわかったんです。でも私にはリリアナ様や他の様な方の症状はみられませんでした。力のコントロールはできませんでしたが、決して危険なものではありませんでした。私が死ぬこともありません。だけど、このまま貴方の国にいれば、ドワールにもあなたにも危険が訪れることがわかりました。だからアルフォンソ様の国にはいられなくなりました。詳しいことは話せませんが、ドワールの平和を保つために、新しい治世の元今までよりも一層豊かで良い国にしてください。今までお世話になってありがとうございました」
私がそれだけいうと、水鏡のホログラムはフッと消えた。
「アルフォンソが水を使った時に現れる様にしてあります」
「ありがとうございます」
「あなたのお話ではこの世界の王とあなたが交わってできた子供はとてつもない魔力を持つのでしょう?」
「ええ。だから、アルフォンソ様の元はもちろん他国にも行けません」
「幸い私ならそういうことにはなりませんけれどね」
「えっ?そうなの?」
「妖精は生殖行為を行うことはありませんからね。私たちは光から生まれてきます」
「私たちに子供が生まれることはありません。あなたがここにいる限りドワールは平和なままです」
「よかった」
あの並行世界の私とアルフォンソ様は今より少し年上で、愛し合い、家庭を持っていた。ティルナノーグにいる限り、少なくとも私自身にも危険が訪れることはなさそうだった。
「時渡りの力の制御が必要ですね。これから特訓をしていきましょう」
「制御できたりするの?」
「どこまできるかわかりませんが、私たちがする魔力のコントロール法を教えますから。向こうの世界に迷い込んで帰ってこられなくなったら、私が困りますからね」
「ありがとう」
「戴冠式でバタバタしていたからまだ門を開通させていませんが、そのことももう一度考え直す必要がありそうですね。国交は大切ですが、アルフォンソがこちらに頻繁に来る様になってはティルナノーグに連れ戻した意味がなくなります」
「うん」
「あなたがティルナノーグにいることで平和をもたらすという予言は成就されます。とにかく、あなたは私がお守りしますから」
「ありがとう」
妖精王に抱きしめられて、銀色のサラサラの髪が肌をくすぐる。
この人の腕の中はお日様の匂いがする。
幸せ。
ドキドキする気持ちとポカポカとした気持ちが胸の中で混ざり合う。
私、この人が好き。
一緒にいると温かい気持ちになる。
「リナ?」
「私、あなたが好き」
「リナ、私もあなたを愛しています。この命が尽きても永遠に」
美しい妖精王の唇が私の唇と重なる。羽の様なキスと優しい腕に包まれてリナは幸せに浸っていた。
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