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覚醒
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突然白い光に身を包まれて、リナの体は宙に浮いていた。
妖精王マナナン・マクリールはそれを止めようと詠唱を唱えたが、何も起こらない。
気を失っていた少女の瞳が開かれる。彼女の体は相変わらず宙に浮いたままだ。
「リナ!」
そしてその姿は妖精王の前から消えた。
◇ ◇ ◇
私はうっすらした意識の中で目の前のものを見つめていた。
それはいくつもに分かれたタイムラインで、並行世界のいくつもの映像の中にいろいろな世界のリナが写っていた。
そのどれもがティルナノーグやドワールにいる。元の世界で普通に高校生活を送っている現実はなかった。テレビの
パネルのように無限に広がるいくつもの画面に触れると、その世界に引きずり込まれた。
「リナ、そんなところで何をしているのだ?」
目の前にいたのは魔族の王、アルフォンソ様だった。戴冠式の頃よりも大人びている。
「えっ?」
「こんなところにいては危ない。今が戦時中なのはわかっているだろう?」
「戦時中?」
「認めるのは辛いかもしれない。マナナンがお前にしてくれたことを考えれば、私もあの国に攻め入りたくないのだ」
「えっ、妖精国と戦争中なの?」
「妖精国だけではない、エトワールやドワールのほとんどの国が同盟を結んで我が国に立ち向かってきている」
「あんなに平和だったのに、どうして?」
「お前を奪われるわけにはいかないのだ。わかってくれ。マナナンはまだしも、他の者たちがお前を手に入れて、どうするかなんて予想がつく。お前を守るためだ」
「私の、ため?」
「ああ。何があっても、私の命に変えても守ってやる。私たちの子のためにも」
!!!!!!!!!!!!!!!
妊娠?妊娠してるんですか。私。
「お前は私の妃だ。命にかけてもお前たちを守る」
なんかアルファンソ様と結婚しちゃってる世界なわけ?
っていうか、この世界の「私」はどこよ?
アルファンソ様から話を聞いてみたら、ここは戴冠式から2年後の世界。私は彼と結婚し、王子を身ごもっているという。私の魔華の力とアルファンソ様の力の混ざった子供は、ドワールを手にする力を持つのだという。そして、魔華を持つ異世界の女は時空を渡ることができ、過去も未来も自由に作り変えることできる。それは世界の歴史を変えることができる力なのだという。私たちの婚礼の儀で魔華のことを知らせれた他国の王族たちは、密かに魔界に諜報部隊を送り込んだ。それは魔界の侵略と魔華で狂うらしい私のことを恐れての行動だったのだけれど、その結果、その力の意味を知ることになった他国の王族たちが、私と私の息子の力を手に入れようとしたことによって起こった戦争なのだという。
「マナナンは…あの人は争い興味はないわ」
「あいつはお前を救うためだけに動いている。戦争には興味はない。だが、あいつには渡せない。もうお前は私の妻だ。家族もいる。お前のいる場所は私の腕の中だ」
アルファンソ様はそういうと私を抱きしめて口付けた。
そうして、戦争が訪れ、ドワールは血の海になった。アルフォンソ様もマナナンもいなくなった。
頭の中に他の時間軸のイメージが飛び込んでくる。どの世界の私も「魔界にいる私」は争いの中にいて、愛する人たちを失っていった。
◇ ◇ ◇
「リナ!リナ!」
妖精王の声が響く。
私がゆっくりと目を開けると、心配そうな緑の瞳が私を見つめていた。彼の腕の抱きしめられている。日本から転移してきた時もそうだったなあ。
「大丈夫ですか?どこか痛いところは?」
私は涙を流していた。
「マナナン、私、魔界にいられない。ティルナノーグに連れていって!」
「えっ、でも…」
「このままだと大変なことになるの!ここにはいられない!今すぐ」
「わかりました」
次の瞬間、光に包まれた。そして、私は妖精王の腕に抱かれながら懐かしいティルナノーグに帰ってきた。
「リナー!」
ティルナノーグのお城に着くと、早速プカが姿を現して私の胸に飛び込んで来た。
「プカ!」
「会いたかった!リナのいないお城つまらないね!」
ふかふかの黒い体が気持ちが和らいだ。
「リナ、先程は…?」
再会の抱擁が落ち着いたところで、妖精王がいう。
「それは、お着替えをされてから、お茶の支度をしながらでもよろしいですか、王?」
いつの間にかマリアンヌさんが立っていた。
「マリアンヌさん!」
「おかえりなさいませ、リナ様」
私はプカを腕に抱えたまま、マリアンヌさんに抱きついた。
「リナ様のいないお城は火が消えたようで、つまらなかったですわ。さあ、お支度をしましょう。魔界の衣装は華やかさに欠けます!さあ参りますわよ!」
「でも、お話は?」
「お支度の後でもよろしいでしょう!さあさあ!」
妖精王が頷いたのを見届けて、マリアンヌさんは私の黒っぽいドレスを見てそういうと、私の部屋まで私を引きずっていった。
私の部屋は元のまま。しばらくいなかったのが信じられないほど、同じだ。
マリアンヌさんがドレスと装身具をテキパキと揃えていく。
「軽いお食事もされるでしょうから、コルセットは必要ありませんわね。これと、髪は下ろしましょう」
黒いドレスを脱がされて、若葉色のフワフワした体にフィットしているけれど、かなり楽なドレス姿になる。
「やはり、リナ様はこの色が一番ですわ!」
妖精王の瞳と同じ色。それからアップにしていた髪にブラシをかけると、髪をハーフアップにしてから、銀とエメラルドの髪飾りを留めた。
「出来ましたわ!」
目の前にはいつもの私が映っていた。
「ありがとう」
「さあ、王がお待ちですよ。参りましょう」
妖精城のサロンは庭園の中にあった。緑に囲まれたサンルームみたいなところに客間があるのだ。
「リナ、綺麗ですよ」
「あっ、ありがとう」
褒め言葉には慣れてきたけど、やっぱり顔が赤くなってしまう。
「軽い食事も用意しています」
サロンには紅茶とスコーン、サンドイッチ、ミニケーキなどが3段の可愛らしい銀のトレイの並べられている。
「アフタヌーンティー?」
「ええ。あなたの国でも食べられていたかわからないですが」
「嬉しい!ありがとう!」
給仕は妖精さんたちがしてくれる。勝手にミルクがティカップに注がれていく。
「美味しい」
温かい紅茶とクロテッドクリームとジャムがたっぷり塗られたスコーンを一口食べると、さっきのことが夢だったのかと思うぐらい幸せな気分になった。
「落ち着きましたか?」
「ええ」
「先程のことを聞かせていただきますか?」
私は頷くと、ゆっくりと私が見た時空の中の並行世界のこと、その世界の1つに引き摺り込まれたこと、そしてその世界は戦争をしていること、その理由が魔界以外の王たちがドワールを手にすることができる魔華の力と私の子供を欲したからであることを妖精王に伝えた。魔界にいる限りどの時間軸も悲しいものだった。妖精王は優しい瞳で黙って聞いている。
「それは、時渡りの力です。やはりあの予言は本当の様ですね。魔華の力は時を渡ることができる」
「過去とか未来に行くんじゃないの。幾つもの並行世界がたくさん並んでいる空間に移動したの」
「ええ。その力は古代ドワールの妖精王や魔界の王しか使えなかったといいます。そして、現在はそれを使える者はドワールにはいません。あなたを除いては、ね」
「あのままあそこにいれば、ドワールが不幸になるの」
「だから、ティルナノーグに戻りたいといったのですね?」
「ええ。魔華のことは知りたけど、日本に帰りたいけど、そのためにここの人たちを不幸にできない。アルフォンソ様の元にいられない」
「私も、その点に関しては同感です。で、その世界のアルファンソはあなたを守るために戦をすることにしたのですね?」
「ええ」
「私は、あなたを取り戻すために?」
「ええ」
「あなたとティルナノーグさえあればドワールを征服することは私に興味はありません。少なくともあなたは魔華で狂うことはない様ですし、ここにいれば戦争が起こることはありませんよ」
「本当に?」
「ええ。そう予言にも示されているでしょう。それに私はあなたの笑顔も守りたいのですよ?」
「ありがとう」
私は妖精王の穏やかな微笑みを見つめながら、平和な世界に帰ってきたことに安堵していた。
妖精王マナナン・マクリールはそれを止めようと詠唱を唱えたが、何も起こらない。
気を失っていた少女の瞳が開かれる。彼女の体は相変わらず宙に浮いたままだ。
「リナ!」
そしてその姿は妖精王の前から消えた。
◇ ◇ ◇
私はうっすらした意識の中で目の前のものを見つめていた。
それはいくつもに分かれたタイムラインで、並行世界のいくつもの映像の中にいろいろな世界のリナが写っていた。
そのどれもがティルナノーグやドワールにいる。元の世界で普通に高校生活を送っている現実はなかった。テレビの
パネルのように無限に広がるいくつもの画面に触れると、その世界に引きずり込まれた。
「リナ、そんなところで何をしているのだ?」
目の前にいたのは魔族の王、アルフォンソ様だった。戴冠式の頃よりも大人びている。
「えっ?」
「こんなところにいては危ない。今が戦時中なのはわかっているだろう?」
「戦時中?」
「認めるのは辛いかもしれない。マナナンがお前にしてくれたことを考えれば、私もあの国に攻め入りたくないのだ」
「えっ、妖精国と戦争中なの?」
「妖精国だけではない、エトワールやドワールのほとんどの国が同盟を結んで我が国に立ち向かってきている」
「あんなに平和だったのに、どうして?」
「お前を奪われるわけにはいかないのだ。わかってくれ。マナナンはまだしも、他の者たちがお前を手に入れて、どうするかなんて予想がつく。お前を守るためだ」
「私の、ため?」
「ああ。何があっても、私の命に変えても守ってやる。私たちの子のためにも」
!!!!!!!!!!!!!!!
妊娠?妊娠してるんですか。私。
「お前は私の妃だ。命にかけてもお前たちを守る」
なんかアルファンソ様と結婚しちゃってる世界なわけ?
っていうか、この世界の「私」はどこよ?
アルファンソ様から話を聞いてみたら、ここは戴冠式から2年後の世界。私は彼と結婚し、王子を身ごもっているという。私の魔華の力とアルファンソ様の力の混ざった子供は、ドワールを手にする力を持つのだという。そして、魔華を持つ異世界の女は時空を渡ることができ、過去も未来も自由に作り変えることできる。それは世界の歴史を変えることができる力なのだという。私たちの婚礼の儀で魔華のことを知らせれた他国の王族たちは、密かに魔界に諜報部隊を送り込んだ。それは魔界の侵略と魔華で狂うらしい私のことを恐れての行動だったのだけれど、その結果、その力の意味を知ることになった他国の王族たちが、私と私の息子の力を手に入れようとしたことによって起こった戦争なのだという。
「マナナンは…あの人は争い興味はないわ」
「あいつはお前を救うためだけに動いている。戦争には興味はない。だが、あいつには渡せない。もうお前は私の妻だ。家族もいる。お前のいる場所は私の腕の中だ」
アルファンソ様はそういうと私を抱きしめて口付けた。
そうして、戦争が訪れ、ドワールは血の海になった。アルフォンソ様もマナナンもいなくなった。
頭の中に他の時間軸のイメージが飛び込んでくる。どの世界の私も「魔界にいる私」は争いの中にいて、愛する人たちを失っていった。
◇ ◇ ◇
「リナ!リナ!」
妖精王の声が響く。
私がゆっくりと目を開けると、心配そうな緑の瞳が私を見つめていた。彼の腕の抱きしめられている。日本から転移してきた時もそうだったなあ。
「大丈夫ですか?どこか痛いところは?」
私は涙を流していた。
「マナナン、私、魔界にいられない。ティルナノーグに連れていって!」
「えっ、でも…」
「このままだと大変なことになるの!ここにはいられない!今すぐ」
「わかりました」
次の瞬間、光に包まれた。そして、私は妖精王の腕に抱かれながら懐かしいティルナノーグに帰ってきた。
「リナー!」
ティルナノーグのお城に着くと、早速プカが姿を現して私の胸に飛び込んで来た。
「プカ!」
「会いたかった!リナのいないお城つまらないね!」
ふかふかの黒い体が気持ちが和らいだ。
「リナ、先程は…?」
再会の抱擁が落ち着いたところで、妖精王がいう。
「それは、お着替えをされてから、お茶の支度をしながらでもよろしいですか、王?」
いつの間にかマリアンヌさんが立っていた。
「マリアンヌさん!」
「おかえりなさいませ、リナ様」
私はプカを腕に抱えたまま、マリアンヌさんに抱きついた。
「リナ様のいないお城は火が消えたようで、つまらなかったですわ。さあ、お支度をしましょう。魔界の衣装は華やかさに欠けます!さあ参りますわよ!」
「でも、お話は?」
「お支度の後でもよろしいでしょう!さあさあ!」
妖精王が頷いたのを見届けて、マリアンヌさんは私の黒っぽいドレスを見てそういうと、私の部屋まで私を引きずっていった。
私の部屋は元のまま。しばらくいなかったのが信じられないほど、同じだ。
マリアンヌさんがドレスと装身具をテキパキと揃えていく。
「軽いお食事もされるでしょうから、コルセットは必要ありませんわね。これと、髪は下ろしましょう」
黒いドレスを脱がされて、若葉色のフワフワした体にフィットしているけれど、かなり楽なドレス姿になる。
「やはり、リナ様はこの色が一番ですわ!」
妖精王の瞳と同じ色。それからアップにしていた髪にブラシをかけると、髪をハーフアップにしてから、銀とエメラルドの髪飾りを留めた。
「出来ましたわ!」
目の前にはいつもの私が映っていた。
「ありがとう」
「さあ、王がお待ちですよ。参りましょう」
妖精城のサロンは庭園の中にあった。緑に囲まれたサンルームみたいなところに客間があるのだ。
「リナ、綺麗ですよ」
「あっ、ありがとう」
褒め言葉には慣れてきたけど、やっぱり顔が赤くなってしまう。
「軽い食事も用意しています」
サロンには紅茶とスコーン、サンドイッチ、ミニケーキなどが3段の可愛らしい銀のトレイの並べられている。
「アフタヌーンティー?」
「ええ。あなたの国でも食べられていたかわからないですが」
「嬉しい!ありがとう!」
給仕は妖精さんたちがしてくれる。勝手にミルクがティカップに注がれていく。
「美味しい」
温かい紅茶とクロテッドクリームとジャムがたっぷり塗られたスコーンを一口食べると、さっきのことが夢だったのかと思うぐらい幸せな気分になった。
「落ち着きましたか?」
「ええ」
「先程のことを聞かせていただきますか?」
私は頷くと、ゆっくりと私が見た時空の中の並行世界のこと、その世界の1つに引き摺り込まれたこと、そしてその世界は戦争をしていること、その理由が魔界以外の王たちがドワールを手にすることができる魔華の力と私の子供を欲したからであることを妖精王に伝えた。魔界にいる限りどの時間軸も悲しいものだった。妖精王は優しい瞳で黙って聞いている。
「それは、時渡りの力です。やはりあの予言は本当の様ですね。魔華の力は時を渡ることができる」
「過去とか未来に行くんじゃないの。幾つもの並行世界がたくさん並んでいる空間に移動したの」
「ええ。その力は古代ドワールの妖精王や魔界の王しか使えなかったといいます。そして、現在はそれを使える者はドワールにはいません。あなたを除いては、ね」
「あのままあそこにいれば、ドワールが不幸になるの」
「だから、ティルナノーグに戻りたいといったのですね?」
「ええ。魔華のことは知りたけど、日本に帰りたいけど、そのためにここの人たちを不幸にできない。アルフォンソ様の元にいられない」
「私も、その点に関しては同感です。で、その世界のアルファンソはあなたを守るために戦をすることにしたのですね?」
「ええ」
「私は、あなたを取り戻すために?」
「ええ」
「あなたとティルナノーグさえあればドワールを征服することは私に興味はありません。少なくともあなたは魔華で狂うことはない様ですし、ここにいれば戦争が起こることはありませんよ」
「本当に?」
「ええ。そう予言にも示されているでしょう。それに私はあなたの笑顔も守りたいのですよ?」
「ありがとう」
私は妖精王の穏やかな微笑みを見つめながら、平和な世界に帰ってきたことに安堵していた。
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