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1章

7話 不安感とは?

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自己紹介を終えると、お互い状況報告をした。
その後、陸はにこやかに笑って

「やっぱりそっちも見つけられなかったの?このゲームは難しいね」

2年生では珍しい爽やか系男子だ。

(ただ…この不安感がなければ…)

そう思っていると、大賀が私の耳に近づいてきた。
その顔は困惑顔だ。

「な、なぁ…何もないって、なんでつくんだ?こいつは信用してもいいと思うが…?」

「…ダメ。こんなゲームが始まってる時点で、知らないやつ相手に情報与えるのは…ご法度だと思った方がいい」

(それは本当。現に皆に言うなと伝えた…でも、本音は…こいつは、信用できないから)

それらのことを言った時、刹那と零那は納得していた。
ただ大賀は反対だと言っていた。
大賀が信用した方がいいと言っているのも、陸の雰囲気なのだろう。温厚そうだ。

「…じゃあ、一緒に探さない?その方が効率がいい」

「……」

どうする…?
刹那達に目配せをするが、皆悩んでいるようだ。
これは、私が決めなければいけないかもしれない。

「…じゃ、いくつか聞きたいことがあるんだけど…いい?」

「…!…ああ、いいよ…」

(…?あ…そうか…少し反応が見えたのは…のか………自信…なんだろう?)

「まず、ペアの人…来る気配ないけど…」

「僕のペア?…いないよ、最初からいなかったよ」

「そうなんだ…?…次、君は陸から見てどういう印象?」

「千都世さ…先輩…?不思議な人だと思うよ」

(……最後の仕上げ…これでわかる…はず!)

「これで最後にしよう…裏切り者がいるとしたら…誰だと思う?」

「…なんのこと?このゲームに裏切り者がいるって?」

「答えて」

「いるんじゃない?ありえない話じゃない…けど、誰かはわからないよ。会ったのも君達が最初だし」

ああ、確信した。
この人は…この不安感の正体は…

「裏切り者…ね…。ねぇ、いつまで隠してるの?陸…いや、裏切り者さん?」

「え!?陸が!?」

大賀がとても驚いている。
刹那と零那は今ここで言うか!?という顔をしている。

(ここでしなきゃ意味無いでしょうよ…)

「………」

陸はずっと黙って俯いている。
図星か…それとも…

「…ははっなかなかやるね…せっかく今まで隠してもらっていたのに…」

「で、どうなの?」

「ああ、そうだよ。僕が裏切り者…。こちらこそ聞きたいことがあるんだけど…いいかい?」

(…多分…さっきの聞いたことに関してか…)

「どうぞ?」

「なんで、聞いただけで分かった?あんな少しの質問で…」

一週間前、用事があって調べていて…生徒会長と仲良くてよかった…
1年も2年も、違う学年のとこの生徒の情報。

(情報と言っても…詳しくは知らないけどね…)

「ペアはただ気になっただけ…2つ目の、チトセ君ってのは…私は2年生の、陸と同じクラスの子を言ったんだよ」

「ふぅん。僕が裏切り者なら1番近い存在のことを言うと?でも、僕は不思議だと言っただけだけど。それだと、その子にも当てはまるのでは?」

あの子は元気な子だ。
不思議とはあまり言えないと思う。
人によってその人の見え方は違うけれど…

「一般的に見て、不思議だとは思えないよ。あいつ単純だし、頭の中」

「…ま、その子のこと記憶にないから、どっちにしろ僕の負け」

「そ…で、最後。裏切り者っていうワードを出せば、少しは動揺してくれるかなと…それだけ」

「…はぁ、単純だね…それに引っかかる僕も単純か…」

(さて…と…)

「刹那!…さっき、なんて言ってたっけ?ねぇ?私の意見反対してたよね?裏切り者探しのこと!」

もちろん、とことん刹那を弄る。実はさっきイラついておりましたので。

「………」

「ああー、ああー、もう…!…今から喧嘩始めるのはやめてー!」

仕方あるまい。弄れるところは弄っておかないといけないんだけど。
零那が言うなら…

「あのー…もういい?」

「あー、なんか平常運転らしいよ。これで」

「大賀君は混ざらないの?」

「これに混ざったらいつまでも疲れそうだ」

「そうだね…僕、裏切り者なんだけどな…警戒って言葉知ってるのかな」

何故か哀れみの視線を感じる。

…茶番が終わり、改めて話そうとすると先に陸が口を開いた。

「では、裏切り者を見つけたと言うことで、我らの統率者の元へ、送りましょう」

パチンっ

「扉?」

陸が指を鳴らすと、いきなり目の前に扉が現れた。

「ここからは…依舞、刹那、零那…さん達だけで行ってください」

?なぜ私達3人だけ?
そもそもどうやってこんな扉出したの?

「色々疑問が湧いているでしょうが、この先で分かると思います。さぁ僕の役目はここまで…」

(…分かるのであれば、行く)

どうやら2人も同じの様で、覚悟を決めている。
私とは別の、何かを見据えている。

でも、だからこそ、信じられる。2人のことは。

扉が開く。進むんだ。現状から。
人を救うとかは、今はいい。ただ知りたいから。
自分のことも、2人のことも。


ーーーーーーーーーーーーーーー

大賀side

ゆっくりと依舞達が入っていった扉が閉まる。
そこで気づく。

(俺もうすることないじゃん…!)

…と。

「…で、俺はどうすればいいの?これから」

「んー…そうだね…もうじきこのゲームも終わると思うから、ゆっくりしてれば?」

「ふぅん…?…なら、待つことにするよ」

いきなり目的がなくなって退屈だ。
面白い人達がいなくなると静かだと実感する。

「そういえば…」

気になることは後回しにしていた為、どっと頭にぎったのだ。
それを説明してくれそうな人物が今、ここに、目の前に、いるじゃないか。

「このゲームは一体なんなんだ?それに陸も謎すぎるし」

「あー、やっぱり気になる?」

「そりゃあ…当たり前でしょ」

当然だろう。気にならない方がおかしい。
というかそれを直ぐに聞かなかった俺はなんなんだろう。そうか、俺もバカなのか。

「このゲームは彼女を捕まえる為、僕らの統率者が命じたこと…なんだけど…僕…実は乗り気じゃなかったんだよね~あはは…」

「分かったけど分かんないから…はぁ…ん?捕まえるって言ってもこんな回りくどいことしなくてもいいんじゃないの?普通に1人になったところで…ばっ!て」

「あの人…考えていること意味不明だからね」

「っていうかその…主犯の人って…誰なの?それに彼女って…」

「教えられない…けど、彼女って言った人のことは教えてあげる」

「誰?」

「その人は…さっきまで一緒にいた人だよ」
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